問題となった激辛ポテトチップス(株式会社磯山商事の公式ホームページより)

 2024年7月16日、都内・大田区の高校1年生約30人が激辛ポテトチップスを食べた後、14人が体調不良を訴えて救急搬送された。

「1人がポテトチップスを持参し、昼休みの間に友人たちと食べたようです。そのポテトチップスには “18禁” という表記があり、食べた生徒はお腹の痛みや吐き気、そして口の痺れなどを訴えました」(社会部記者)

 ポテトチップスの販売元「株式会社磯山商事」のHPを見ると、「18歳未満は食べるの禁止!!」と表記された “18禁シリーズ” がある。ラインナップには、カレーや、カップラーメン、チョコレートなどが並び、それぞれ『タバスコの200倍以上』とされるブットジョロキアという赤唐辛子が使用されているという。

 報道を受けて、磯山商事は、

《18禁カレーチップスを召し上がった高校生が病院へ救急搬送されたとの報道に接しましてお客様はじめ、関係各位に対し多大なるご迷惑をおかけいたし申し訳ございません》

 と謝罪コメントを公式サイトに掲載。一連の流れに、Xではさまざまな意見が飛び交っている。

《18禁シリーズはマジでだめ カレーで1番優しいやつでさえ3口でギブアップするガチの殺戮兵器》

《まぁかなり前から18禁カレーとか出してたし、警告文を理解したかしないかわからんけど、それでも食べた高校生側の自己責任じゃ》

《激辛好きだけどこれはもう一度食べたいとは思わんにしても自己責任なのにこれで製造会社が謝罪するのは…世間体とか気にしたんだろうけど…》

 海外では死亡事例もある “激辛食品” だが、なにがそれほど体にダメージを与えるのだろうか。五良会クリニック白金高輪理事長、五藤良将医師が解説する。

「一般的な食事に出てくる “辛さ” は、うまみを増すものも多いため、生徒たちは、今回の激辛ポテトチップスの危険性について想像することができなかったのでしょう。

 もちろん、辛いものは適量であれば、血行促進や胃粘膜保護作用が働き、胃潰瘍ができにくくなるなどの健康効果があると言われていますが、過剰に摂取すると、最悪死んでしまう可能性があるんです」

 その原因となるのは、唐辛子に含まれる “カプサイシン” だ。

「カプサイシンを摂取すると、TRPV1受容体の活性化により神経細胞が興奮状態になります。これにより、辛さを脳が熱や痛みとして感じるようになります。

 刺激が強すぎると、全身に高熱や物理的な痛みを感じるようになりますし、一時的な炎症反応を引き起こすことにもなります。

 また、カプサイシンを摂取すると口の中だけでなく、気管支や消化管全体にも反応します。気管支が強く刺激されると気管支収縮による息切れや咳が生じ、呼吸困難を引き起こすこともあります。

 大量にカプサイシンを摂取することで、食道や胃、腸などから出血を起こすこともあり、急激な出血によって、低血圧によるめまいや失神、ショック状態に陥り、意識の喪失や重篤な臓器不全が起きるリスクもあります。

 また、 体は血液を重要な臓器に送るため、出血が起きると手足などの末梢部への血流を減らします。その影響で、冷汗や体温低下を起こすこともあります。さらに出血を補おうとして心拍数が増加し、不整脈が生じることもあります。

 いわゆる “激辛商品” は、これほど危険な存在ですから、メーカーがラベルで注意する、といった程度では、安全対策として不十分だと感じます。何らかの対策が必要でしょう」

 度胸試しで命を落とす、なんてことがないといいが……。