USJの強さとは...「アトラクループ勢」や「散歩組」ハリー・ポッターエリア10周年を祝福「魔法勢」ファンが超多様化した『ユニバの今』
国内海外の観光客から絶大な人気を集める大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。中でもファンが多いハリー・ポッターエリアは今年開業10年を迎えます。取材すると、アニメやゲームとのコラボを推し進めたUSJは、「大阪のテーマパーク」から客層が「全国」そして「全世界」へ広がる強さがありました。
ハリー・ポッターエリア10周年
7月15日から、「ホグワーツ・キャッスル・ウォーク」が限定復活しました。城の中を歩いて探検する人気のイベントは、新型コロナウイルス流行の影響で休止していて、4年ぶりに復活しました。ただし限定復活で、今年いっぱいで終了する予定です。
10周年の記念グッズも販売されます。例えば人気のバタービール(ノンアルコール)は少しお値段は張りますが、金属製の限定マグカップ(5,400円)や10周年の刻印が入った、フローズン・バタービールも(1,700円)。また、バタースコッチのような甘さの効いた、夏にぴったりのアイスクリームもあるということです。
大阪観光を変えた存在 攻めた24年の歴史
USJは2001年にオープンし、「映画の世界」をテーマにアトラクションを展開してきました。大きな変化があったのは開業10年の2011年ごろ。ユニバーサル・ワンダーランドをオープンさせ、当初は弱かったファミリー層を獲得していきます。
2014年、15年にハリー・ポッターエリアとクールジャパンが始まり、アニメやゲームとのコラボを推し進めたことによって、USJは「大阪のテーマパーク」から、客層は「全国」、そして「全世界」へ、その影響は、数字にもはっきりと表れています。
ハリー・ポッターエリアをオープンさせた翌年から外国人観光客の数は急増。人気ランキングでも、海遊館や大阪城を抑えて堂々の1位となりました。
ハリ・ポタへの総投資額450億円 経済効果推定5.6兆円
外国の方も呼び寄せたもう一つのきっかけが「ハロウィーンホラーナイト」だそうです。日本でこれだけハロウィーンイベントが大盛り上がりするようになったのは、このイベントの始まりがきっかけだったともいわれています。
ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーは、「世界No.1ライド」を過去5年連続受賞、このアトラクションに投資された金額は総額450億円。当時、経済効果は10年で5.6兆円と推定されていました。独特の「没入感」の仕掛けは、曲面に映し出された映像。さらにその曲面が乗っているライドに合わせて動いているそうです。
多彩なファン層 アトラクループ勢や魔法勢?
最近のUSJの特徴として、様々な楽しみ方があり、ファンが細分化されているということです。USJを勝手に応援する会社まで立ち上げてしまったという熱烈ファンの「元内さん」に教えてもらいました。
ファンにもいろいろな呼び方があるそうで、例えば「アトラクループ勢」、「ショーパレファン」、「魔法勢」、「グルメオタ」、「グッズオタ」、さらに「散歩組」・・・。
(「アトラクループ勢」=アトラクションをループして乗り続けるファン。「ショーパレファン」=ショーやパレードのファン。「魔法勢」=ハリー・ポッターのファン。)
「散歩組」はパークで何をしている?
USJは、パーク内の植栽・植物にも力を入れているといいます。春と秋にはバラ園があり、ハリウッドスターの名前がついた高級なバラもあるのだとか。植物園にも負けない高級バラを音楽とともに楽しめるのが人気だそうで、まさにアトラクションに乗らないで楽しむ散歩組がいるそうです。
ほかにも、歩いているだけで嬉しい点が、クルーがいつも褒めてくれること。着けているカチューシャや、持っているペットボトル、声をかけてなんでもほめてくれるそうで、いつでも主役気分を味わわせてくれます。
年間150回通う「グルメ・グッズオタ」
新しいものが始まると全部コンプリートしたいという思いから、1週間連続で行くほどのファン、「ティンカノさん」におすすめを聞きました。年間150回通い、ほぼ全てのグルメを食べているといいます。
ステーキは、一流シェフに高級レストランやホテルから来てもらっているため、味は間違いないそうです。普段は食べることができない、期間限定のフローズンパフェもあるといいます。
VIP待遇 30万円以上の高級プランは2か月先「売り切れ」
スタジオパスは、入場日によって値段を分けて混雑を分散するいわゆる“値段変動制“。そんな中、超VIP待遇が受けられるプランもあるということです。エクスプレス=並ばずにアトラクションに乗れて、美味しいご飯もついている、という特別待遇。そのお値段はなんと、29万8000円〜39万8000円(別途スタジオ・パスや年間パス)。さらに驚くべきことにこの商品、1か月、2か月先まで販売されるのですが、全て”売り切れ“だといいます。
また、USJはファンクラブも作っていて、ポイント制でランクがわかれているそうです。一番上は『ダイヤモンドクラス』。どうすればダイヤモンドになれるのか、というと、、、「非公表」だといいます。
盤石に見えるUSJにささやかれる「2025年問題」。来年開催される大阪・関西万博と、USJでスタッフの奪い合いになるのではと懸念されていました。
ただどうやら懸念に対して、手は打っているそうです。敷金・礼金や家賃の半額補助などをして関西以外の地域から人を呼んで、2年間は働いてもらう、という戦略をとり、すでにしっかり確保しているということでした。今後どんなテーマパークになっていくのでしょうか(2024年7月15日 MBS「よんチャンTV」より)