「ミネラルが不足すると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が監修!
ミネラルが不足すると現れる症状とは?Medical DOC監修医がミネラルが不足すると現れる症状・ミネラルが不足する原因とその解消法などを解説します。
≫医師に聞く『骨粗しょう症予防』のための生活習慣とは?【運動・食事・減塩・日光】監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
「ミネラル」とは?
ミネラルとは、酸素・炭素・水素・窒素以外の無機質であり、人体の機能をサポートし、成長・発達・健康維持に重要です。また、ミネラルは体内で作れないため、食べ物や飲み物から摂取する必要があります。
食生活が乱れるとミネラル不足になり、さまざまな症状が現れます。体調が優れない場合、ミネラル不足が考えられます。食生活に原因がないかを見直し、ミネラル不足を解消できるように食事内容の改善が必要です。
人体の細胞が正常に機能するために必要なミネラルですが、多量に必要なミネラル(多量ミネラル)と少量必要なミネラル(微量ミネラル)に分類されます。
多く必要とされるミネラルは、カルシウム・マグネシウム・リン・カリウム・ナトリウムです。現代人は食事によるミネラル摂取量が減少しており、ミネラル不足の人が増えています。
ミネラルが不足すると現れる症状
疲労感・息切れ・頭痛・めまい
カルシウムが不足すると、低カルシウム血症を起こします。そのため、疲労感・息切れ・頭痛・めまいなどの症状が現れます。症状を緩和させるためには、カルシウムを多く含む牛乳・ヨーグルト・小魚・緑黄色野菜の摂取が有効です。また、日光浴をしたり、ビタミンDを含む食べ物を摂取したりするとカルシウムの吸収が促進されます。
筋肉の痙攣・痺れ
筋肉の痙攣や痺れは、マグネシウムが不足していると現れる症状です。症状を軽減するためには、ナッツ・全粒穀物・緑葉野菜を摂取するとよいでしょう。また、ストレッチやヨガで筋肉をリラックスさせ、温かいお風呂につかると筋肉の緊張を緩和でき効果的です。症状が悪化する場合は、内科や心療内科に相談するようにしましょう。
免疫機能の低下
亜鉛が不足すると、免疫機能の低下が見られます。そのため、皮膚炎になったり、傷が治りにくくなったりします。亜鉛を補給するためには、肉類・牡蠣・ナッツ・豆類を摂取すると亜鉛不足が軽減するでしょう。症状が悪化する場合は、皮膚科を受診し症状を医師に伝えるようにしましょう。
骨や歯が弱くなる
骨や歯を丈夫にするカルシウム・リン・マグネシウムが不足すると、骨や歯が弱くなります。ミネラルを含む食品を摂取し、日光浴や軽い運動を取り入れましょう。
イライラすることが増える
カルシウムが不足すると、イライラしやすくなります。カルシウムは脳の興奮を鎮めてくれる役割があるのですが、摂取不足が続くと興奮を抑えることができず、イライラしてしまうのです。また、てんかんになるリスクも高くなるため、注意が必要です。
ミネラルが不足する原因
土壌の栄養価が低下している
作物をつくっている土壌のミネラルが(化学肥料を使っているために)枯渇している場合が多く、そこで育った作物自体のミネラル含有量も減少していることが考えられます。
加工食品
現代人は、多くの加工食品を摂取しています。加工食品にはミネラルや鉄分などの栄養を含まないものが多く、必然的にミネラル不足に陥っている可能性が高いのです。
減塩傾向
高血圧の方や健康志向の方が増えたことで、減塩した食品や調味料が多く見られるようになりました。塩分の摂取を控えることで、ナトリウム以外のミネラルを摂取する機会が減ってしまっているのです。
精製食品の多用
精製された食品(精米や精製された小麦からつくられるパン)には、製造過程でミネラルやビタミンが失われます。精米されたお米や市販されているパンを摂取する機会が多い現代では、ミネラル不足になってしまいます。
偏った食生活
コンビニ弁当・ファストフード・インスタント食品など、加工食品の多い食事はミネラルの含有量が少ないため、ミネラル不足になりがちです。また、炭水化物(パン・白米・パスタなど)が中心の食生活や野菜不足により、ミネラル摂取が不十分になってしまいます。
ミネラル不足を解消する方法
ミネラルを多く含む食品の摂取
ミネラル不足を解消するためには、ミネラルを多く含んでいる食品を摂取する必要があります。必須ミネラルの主な種類と、それを多く含んだ食品は以下のとおりです。
カリウム:乾燥昆布・ひじき・バナナ・メロン・アボカド・ほうれん草
カルシウム:豆腐・納豆・ヨーグルト・牛乳
マグネシウム:イワシ・青のり・乾燥わかめ・ひじき・大豆・アーモンド
ナトリウム:ドライフルーツ・バナナ・じゃがいも・野菜
リン:チーズ・牛乳・肉・魚・ソーセージ
必須ミネラルは、1日100mg以上の摂取が理想であるとされています。一度に多く摂取しても、腸から吸収されるミネラルの量は決まっています。そのため、吸収される以上の量のミネラルを摂取したとしても、余分なものは吸収されずに排泄されてしまう可能性があるのです。
必要な分のミネラルを摂取できるよう、適度に食事に取り入れていくようにしましょう
ミネラルと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
ミネラルは、一緒に摂取する栄養素や食品の種類により体内での吸収率がアップし、よりその効果を発揮できます。主なミネラルの、一緒に摂取すると効果を高められる栄養素・食品は次のとおりです。
カリウム
カルシウム
マグネシウム
ナトリウム
リン
ミネラルをはじめ多くの栄養素は、単独で摂取するよりも栄養バランスを見ながらほかの栄養素と組み合わせるとより効果を発揮できます。過剰摂取にならないよう注意しながら、1日に必要な適切量を摂取しましょう
ミネラルの効果を高める摂取タイミング
ミネラルの効果を高めるためには、摂取するタイミングが重要です。ミネラルの種類により異なります。各ミネラルの摂取をするとよい時間帯と避けた方がよい時間帯は以下のとおりです。
カルシウム:食後がよい。空腹時よりも食事と一緒に摂取すると吸収がよくなる。
マグネシウム:就寝前の摂取が効果的。筋肉をリラックスさせる効果があり、睡眠の質の向上に役立つ。
鉄:食間や空腹時に取ると吸収率が高くなる。しかし、胃が弱い方は食事中に摂取するとよい。
亜鉛:食事中の摂取がよい。空腹時は、胃を刺激するため避けた方がよい。
カリウム:日中に食事と一緒に摂取すると効果的。
ナトリウム:摂取するタイミングは特になし。電解質のバランスが崩れるため、過剰摂取には注意が必要。
ヨウ素:食事中に摂取するとよい。海藻や魚介類と一緒に摂取すると効率よく摂取できる。
「ミネラルが不足すると現れる症状」についてよくある質問
ここまでミネラルが不足すると現れる症状を紹介しました。ここでは「ミネラルが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ミネラルが不足すると太りやすくなるのでしょうか?
武井 香七 医師
ミネラル不足が直接的に太りやすい原因となるわけではありませんが、間接的に体重増加や肥満に関連している可能性はあります。ミネラル不足は、エネルギー代謝が低下し、カロリー消費が減少します。そのため、カロリーの消費が減少し体脂肪が蓄積されやすくなり、太りやすくなるのです。また、ミネラルが少ないと筋肉量も減少します。基礎代謝の低下を招くため体脂肪が増加しやすくなります。
ミネラル不足が招く病気について教えてください。
武井 香七 医師
ミネラルが不足している状態が続くと、さまざまな病気になるリスクが高まります。カルシウム不足では、骨粗鬆症・軟骨化症・くる病(小児)になる可能性があります。マグネシウムが不足すると、心血管疾患や片頭痛になりやすいです。カリウムが不足すると、高血圧・不整脈を引き起こします。また、カリウムが不足すると、高血圧や不整脈といった循環器系の病気になりやすいです。
ミネラル不足はサプリメントでも解消できますか?
武井 香七 医師
ミネラル不足は、サプリメントを摂取して補うことが可能です。しかし、サプリメントによるミネラル補給には、適切な使用方法を守ることや注意点が伴います。多く摂取したいからといって過剰摂取してしまう可能性もあります。適切な量を確認し、正しく使用すればミネラルをサプリメントで補うことができます。
まとめ
ミネラルは、人の体内では作れない栄養素です。そのため、知らず知らずのうちにミネラル不足になっている可能性があります。
ミネラル不足になると、成長や代謝に影響がでたり、精神的な不調にもつながる場合があります。
体調が優れないと感じたら、ミネラルが不足していることが考えられます。食生活や生活リズムなどに、ミネラル不足になる原因がないか振り返ることが大切です。
食事で必要なミネラルをすべて摂取することは、なかなか難しいことです。日々の食生活にサプリメントを加え、適切な量のミネラルを摂取できるよう意識してみるのもおすすめです。
体調不良は、ミネラル不足以外に原因がある場合もあります。気になる症状がある場合には、医療機関を受診するようにしましょう。
「ミネラルが不足すると現れる症状」と関連する病気
「ミネラルが不足すると現れる症状」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
心血管科の病気
欠乏症
高コレステロール血症
アテローム性動脈硬化症
「ミネラルが不足すると現れる症状」と関連する症状
「ミネラルが不足すると現れる症状」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
骨や歯が弱くなる
発達異常
肩こり
筋肉痛むし歯になりやすい
参考文献
ビタミン&ミネラル早見表1【18-64歳】(出典先)
ミネラル成分の銅の働きと1日の摂取量(健康長寿ネット)