「左折時は必ず一時停止」全国のトラック運転手に徹底指導へ 徳島の「横断歩道巻き込み」児童死亡事故をうけ 「先に通過できると思った」「見えなかった」撲滅めざす

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トレーラーが左折時に子供をはねる

 国土交通省は2024年6月28日、3年前に発生した徳島県小松島市のトレーラーと児童の衝突死亡事故について、調査報告書を発表しました。

路線バスは多段階停止以外にも右左折時に複数回停止することがあるため、後続の場合には注意が必要

 この事故は、十字路の交差点(信号あり)で最大積載量19.2トンの大型トレーラーが左折する際に、横断歩道を横断していた朝の通学の小学生と衝突し、小学生が死亡したものです。トレーラーの運転手は「横断歩行者妨害」によって免許取り消し処分を受けています。

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 社会的影響が大きく、事故調査委員会による特別な調査、要因分析及び再発防止策の提言が必要なものとして「特別重要調査」が行われることとなりました。今回はその結果が発表されました。

 報告書では、事故の原因について、運転者が「横断歩道の手前で一時停止または徐行するなどして横断歩道周辺の交通状況を十分に確認しないまま左折進行」したこととしています。

 また会社側にも「指導・監督指針に基づく運転者に対する教育が不十分」「死角範囲や内輪差といった車両の特性等に合わせた安全運転の確保は運転者の経験任せ」という原因があるとしています。

 これら原因をもとにした再発防止策として、「特に左折時に歩行者等を見かけたときは、その動静に細心の注意を払いつつ、横断歩道手前で必ず一時停止して、安全を十分確認した上で進行」することとし、会社側にも適切な教育や指導を徹底するよう求めています。

 具体的には、当該運転手の話した以下の状況も問題視されているようです。

 まず、「発進後、道路左側の歩道上に男女の区別は出来なかったが、小学生が、同一方向に歩いているのが見えた」として、交差点近くで横断歩道を渡るかもしれない人物を視認しています。

 しかし、「この時、その小学生が横断歩道に差し掛かる前に当該交差点を左折通過出来ると思った」として、心の中で、横断歩道を先に渡られたらこちらが待つハメになってタイムロスしてしまうといった、焦りのようなものがあったことが見受けられます。

 そして実際に左折する瞬間に、「左折する時にミラーを見たがこの子はいなかったので、そのまま左折した」といいます。

 このような、自分に都合のいい「だろう運転」を防ぐためには、左折時の行動を厳格にルール化すれば嫌でも守るだろうというのが、今回の再発防止策のねらいと言えます。

 報告書では、熟練運転者は交差点周辺できちんと「歩行者が目に入った瞬間、つねに死角に入らないよう注意し続け、一時停止や徐行をしている」ことも示され、やはり当該運転手は不注意すぎたと結論付けています。

 報告書内の再発防止策では、このような不注意なドライバーを発生・放置させないための会社側の対策に重点が置かれ、会社側で運転手への指導・教育を徹底することや、それを形骸化させないようにすることなど7項目を列挙。あわせて、左折確認を徹底しやすいよう「サイドビューカメラ」を積極的に導入するよう求め、それが安価で買えるような市場になってほしいとも書いています。