一口にブラックホールといっても、粒子加速器の実験で生まれるような原子より小さい量子サイズのマイクロブラックホールから、太陽系をすっぽり飲み込んでしまうようなサイズと重さを持つ超大質量ブラックホールまでさまざまです。そんなブラックホールのうち、ポケットに収まるようなサイズのものが目の前に現れたらどうなってしまうのか、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがわかりやすいショートムービーで解説しました。

The Deadly Power of a Coin-Sized Black Hole #shorts - YouTube

基本的に、ブラックホールのサイズと重さは比例します。もし5グラムのコインと同じ「重さ」のブラックホールがあったら、それは非常に小さなブラックホールです。



原子と比べてもこの大きさ。



このミニチュアブラックホールは、ホーキング放射という熱の放射で一瞬で蒸発してしまい、5グラムの質量は450テラジュールのエネルギーへと変換され大爆発が起きます。



そのエネルギーは、広島と長崎に投下された原子爆弾を合わせたよりも膨大です。



つまり、5グラムのブラックホールが目の前に出現したら、その人はブラックホールとともに蒸発して死ぬことになります。



では、コインと同じ「大きさ」のブラックホールに出くわしたらどうなるかを考えてみます。



たった数センチとはいえ、その質量は地球を上回ります。



重力は距離の2乗に反比例するので、地球をわずかに上回る質量がコインサイズに圧縮されたブラックホールは、地表の何兆倍もの重力を発することになります。



そんなブラックホールが目の前に現れれば、人は極端な潮汐力(ちょうせきりょく)によって引き起こされるスパゲッティ化現象でバラバラに引き裂かれ、ブラックホールに飲み込まれます。



そして、地球の深くに沈み込んだブラックホールは地球を内側から食い尽くし、最後にはブラックホールの周りを回る熱い岩の円盤だけが残ります。



つまり、「コインサイズのブラックホールが目の前に突然出現したら?」という疑問の答えは、「その人が死ぬだけでなく地球そのものがブラックホールに食べられてしまう」となります。



Kurzgesagtは「そんなことにはならないようにしましょう」と締めくくりました。



この動画は、Kurzgesagtが以前公開した動画を簡潔に抜粋して新しいアニメーションを付けたもの。地球に成り代わって地球軌道に居座ったブラックホールが、太陽系に災いをもたらすところまで解説した完全版ムービーの内容は以下の記事から見ることができます。

もしブラックホールがポケットサイズで突然目の前に現れるとあなたはどうなるのか? - GIGAZINE



by NASA's Marshall Space Flight Center