探査機ジュノー、衛星イオの溶岩湖を赤外線で観測
木星の衛星イオはガニメデやカリストほど大きくはありませんが、火山活動が活発な天体です。
NASAの木星探査機ジュノーは昨年、そんな衛星を赤外線観測機器で観測。その時のデータから、イオの溶岩湖と火山活動についてわかったことが論文にまとめられ、先月末に発表されました。
興味深い衛星、イオ
イオは火山活動が非常に活発で、NASAいわく何百もの火山が高さ数十マイルに及ぶプルーム(噴煙)を上げている衛星。ジュノーは今年2月に、そのような噴煙を2つ観測しています。また、木星の衛星ではもっとも高温です。
溶岩湖の赤外線画像
ジュノーの赤外線オーロラマッピング装置(JIRAM)は、イタリア宇宙機関が開発したツールです。同探査機は2023年5月と10月にそれぞれ、約3万5000kmと約1万3000kmの距離からイオを観測しました。
今回の論文の筆頭著者でローマの国立天体物理学研究所からのジュノー共同研究員であるAlessandro Mura氏は、JIRAMの赤外線画像で「イオの地表全体がカルデラのような地形に含まれる溶岩湖で覆われていると明らかになった」と説明します。
カルデラとは、火山の陥没によって形成された窪地のこと。またイオは直径が地球の約4分の1と、地球の衛星「月」よりもわずかに大きい天体です。
「イオの表面において私たちがもっとも包括的なデータを有する領域では、約3%がこういった溶岩湖の1つによって覆われていると推定します」
イオの火山活動
JIRAMが取得したデータからはイオの地表下で起きていることについてもうかがい知ることができました。Mura氏によれば、接近観測によってイオでもっとも多い火山活動の種類は「マグマが上下する巨大な溶岩の湖」だと見当がついたそう。
「溶岩の殻は湖の壁に当たって砕けるほかなく、ハワイにある溶岩湖でみられるような典型的な溶岩の輪を形成しています。壁の高さは恐らく数百メートルあり、マグマがあふれ出る様子がなぜほとんど観測されないのかを説明しています」
と補足していました。
研究者たちは去年12月と今年2月の接近観測で収集されたデータに取り掛かり始めたばかり。さらなる発見があるかもしれません。
Source: NASA Science, nature,