マクドナルドがドライブスルーの注文を受けるためIBMと提携して導入したAIチャットボットを撤去
マクドナルドはIBMと提携し、ドライブスルーに「自動で注文を受けることができるAIチャットボット」を試験的に導入していたのですが、このテクノロジーを店舗から撤去する予定であることが、外食産業関連メディア・Restaurant Business Magazineの報道で明らかになりました。
McDonald's is ending its drive-thru AI test
https://www.restaurantbusinessonline.com/technology/mcdonalds-ending-its-drive-thru-ai-test
McDonald’s will stop testing AI to take drive-thru orders, for now - The Verge
https://www.theverge.com/2024/6/16/24179679/mcdonalds-ending-ai-chatbot-drive-thru-ordering-test-ibm
2021年10月、マクドナルドはIBMのAIサービスであるIBM Watsonの自然言語処理技術を用いてドライブスルーに自動注文受付(AOT)テクノロジーを導入するため、IBMとの戦略的提携を発表しました。
マクドナルドがドライブスルーを自動化するためにIBMと提携 - GIGAZINE
マクドナルドはIBMと共同で開発したAI AOTをアメリカの100以上の店舗に導入していたのですが、これを撤去する予定であることが明らかになっています。
マクドナルドは現地時間の2024年6月13日(木)に、全米のフランチャイズ店舗にメールを送信し、AI AOTを今後拡張することなくテストを終了させる予定であることを通達しました。マクドナルドの最高レストラン責任者を務めるメイソン・スムート氏は、メールの中で「これまで成功例もありますが、音声注文ソリューションをより幅広く検討する機会があると感じています」「慎重に検討した結果、マクドナルドはIBMとのAOTに関する現在の提携を終了することを決定し、テスト中の全店舗で2024年7月26日までにこの技術を停止する予定です」と発表しています。
一方で、マクドナルドはドライブスルーにAIを導入して作業を自動化する取り組みを完全に終了させるつもりはないようで、「IBMとの協力により、ドライブスルーの音声注文ソリューションが当社のレストランの将来の一部となるという自信が生まれました。年末までに将来の音声注文ソリューションについて十分な情報に基づいた決定を下すのに役立つ長期的かつ拡張可能なソリューションの評価を継続します」と語っています。
マクドナルドはAIを用いたAOT技術の開発に2021年から取り組んでおり、これは同社のAOT開発部門であるMcD Tech LabsをIBMに売却したところからスタートしたものです。なお、マクドナルドはIBMとの提携についても「IBMは信頼できるパートナーであり、今後も同社の製品をマクドナルドのグローバルシステム全体で多く活用していく」という声明を出しています。
IBM側はマクドナルドと共同開発したAI AOTについて、「この技術は業界で最も包括的な機能のいくつかを持ち、最も要求の厳しい状況でも高速かつ正確であることが実証されています」と評価しており、同テクノロジーをマクドナルド以外のファストフードチェーンに提供する方向で協議を進めていることを明かしています。
マクドナルド以外のファストフードチェーンはドライブスルーにAIテクノロジーを導入することを進めていますが、マクドナルドはAIテクノロジーの導入にかなり慎重なアプローチを取っている模様。なお、AIテクノロジーを導入することができれば、人件費削減や従業員の作業効率向上につながると考えられています。