日本とフランスでこんなに違う「50代女性のおしゃれ」。さりげなくステキに見えるコツ
フランス人女性のおしゃれは目立ちすぎず、さりげなくステキに見せています。ベーシックな服装に小物で味つけをする彼女たちのスタイルから学ぶ、シンプルでありながら魅力的なファッション術をご紹介します。フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さんが教えてくれました。
「おしゃれは目立ちすぎずさりげなく」がフランスの大人女性の基本
「おしゃれでいること」はいつも私たちの関心事です。年齢を重ねていけばなおさら。
目立ちたいたいわけではありませんが、さりげないおしゃれでシックに装いたいもの。そのコツを筆者と同世代の50代のフランス女性を参考に考えてみました。
基本の服装はシンプルシック。奇をてらわない
「エミリー、パリへ行く」というドラマが流行りました。パリの美しい風景やフランスの文化の中で葛藤しながら馴染んでいくエミリーの奮闘ぶりが楽しいドラマです。そして毎回、エミリーや彼女の親友の個性的でときには奇抜なファッションがおもしろかったです。頭から爪先まで色を揃えたり、大きな帽子をかぶったり。このドラマの影響か、パリで見かける観光客がとてもカラフルなおしゃれになった気がするのは私だけでしょうか。
それに反してパリに住む女友達や街行く人たちは割とシンプルな格好をしています。基本は普通のシャツやTシャツにジーンズ。それにジャケットやセーターを合わせるといった感じです。たまに目立つ格好をしている人がいますが、その方が少数派です。
基本の服でおしゃれに見せる手っ取り早いコツ
フランス人の友達でおしゃれだと思う人たちに共通するのは、基本の服を着ていても、小物で自分なりの味つけを加えている人たちです。
いちばんよく見るのは、白や黒などベーシックカラーのシンプルな服にカラフルなストールやアクセサリーを足す方法。日本のファストファッションは安くて便利でよく利用しますが、その服を上から下まで着ると、全体が地味になってしまうことがあります。そんなときに取り入れやすい方法です。
緑の瞳の人は黒いワンピースにターコイズブルーやエメラルドグリーンのストール、赤茶色の髪の毛の人はベージュのセーターにボルドーやサーモン系の色が混じった柄物のストール、というふうに小物を加えているのを見かけてステキだなと見惚れました。
日本人の私はどうすればよいのかと迷っていたら、フランス人の友人がフューシャピンクのストールをプレゼントしてくれました。自分ではなかなか選ばない色だったのですが、それをつけるとほめられます。黒髪には青みがかったツヤがあって、青みを感じるフューシャピンクが合うのだと友達は言いました。自分が思うよりも少し大胆な差し色の方がよいようです。
小物は「自分が演出したいイメージ」を基本に選ぶ
「モノトーンの服に大胆な色のストールや、暑い季節にはアクセサリーを足す」と言うだけだと、少し大まかな感じがします。具体的にどういう小物を選べばよいのか、さらに彼女たちを観察してみました。そして気がついたのは、それぞれの人に自分のなりたいイメージがはっきりとあり、それに沿って小物を選んでいるということです。ドラマの役に合わせたファッション小物を選ぶスタイリストのような感覚と言えばよいでしょうか。
たとえば「アート関係の人っぽい感じ」「良家の奥様っぽい感じ」「キャリアがありそうな感じ」「優しくふんわりした感じ」などのテーマがあるように感じます。「アートっぽい感じ」を意識している人はネックレスも大振りで大胆な色使い。「奥様っぽい感じ」の人はパールのネックレスです。毎回違う自分になりたい人もいるかもしれませんが、私の友達はそれぞれのテーマが決まっていてその枠の中でおしゃれを楽しんでいるようです。
フランス人のおしゃれは「おっ?」と思わせる
フランス人のおしゃれは遠くから「すごい色の人が来る」と思われるファッションではなく、近くまで来たときに「さりげないのにどこかステキ」と言う印象を残すものです。
そんな人になれるよう、筆者はフランスに行くと道行く人を眺めながら、カフェで過ごす時間を楽しんでいます。