ツーリングで様々なシチュエーション体験を楽しんでいます。しかし1日に2回ほどヒヤッとする目に遭います。その度に知らず知らずリスクへ近づいている自分へ警鐘を鳴らすのですが、走っていると忘れがちでまた繰り返します。事故りたくないし長く乗り続けたいです、良いアドバイスはありませんか?

A.よ~く、わかります。ボクも長距離ツーリングにハマっている頃があって、日帰り1,000kmとか無茶してました。とにかく走り続けちゃうので、どこかでヒヤッとかドキッとしても、突っ走っているうちに反省した気持ちも失せてしまいがち。そんなとき覚えたのが、とにかく止まるのが大事ということ。

走っているとペースが速くなくても操作優先の状態で、考えるということに集中しない!

思ったよりヘアピングきつかったり、対向車がセンターラインを割ってきたり、田舎道でこっちをまるで見ずに横道から軽トラックが出てきたり……いやはや、ツーリングはリスクだらけ。
そんなヒヤッとかドキッとかしたとき、もう少し注意して万が一を考えた走り方をそいないと、そんな反省がアタマをもたげます。

でも暫く走ると、次々に移り変わるシチュエーションに気を取られ、警戒心が薄れたりとせっかく警鐘が鳴ったのに元の木阿弥。
そしてまたドキッとする目に遭ったりを繰り返す……これでは、いつかやってしまうかも、そんなことを考えたことは何度もありました。

でもバイクは飛ばしていなくても、走っていれば目まぐるしく変わる状況に対応した運転を必要とします。
それに取り組んでいるのですから、気をつける優先度合いが低くなりがちなのは無理もないコト。

止まることを覚える、これが第一歩になるかも知れません……

ライダーはとにかく走り続けがち。なかなか止まろうとしません。
まァ乗ってるコト、走らせているのが楽しいのですから、当然といえば当然でしょう。

が、あるときボクに転機が訪れました。
行ったことのない道を走りたいキャンペーンだったとき、とある山村で軒先の干し柿を見つけ、写真を撮ろうとエンジンを切ったら、お歳を召した女性が出てきてつい話し込んでしまいました。
それまでも漁村でオカミさんたちと話し込んだりと、旅情を楽しんではいたのですが、そこで山の風の囁きについてハナシを聞き、それから林道などでとりあえずエンジンを切って風の音を聞くようになったのです。

風の音というより木々が騒がしかったり、気がつくとどこからか渓流の水音もしたり……
ひとり旅で見ず知らずの自然の環境に自分を置いたときの、心がやすまるというか、とにかく時間に急かされない心が思う感性の違いに驚かされます。

そして運転していない、何かを優先せずに呆然とできる時間の大切さを噛みしめます。
そんなとき、なぜヒヤッとかドキッとかしたのかを考えると、警戒心を怠っていた愚かさも身にしみてきます。

長く乗りたければ、目の前の誘惑に負けない!

バイクは長く乗ったモン勝ちです。
キャリアを積むほど楽しみ方も深く広く、どんどん変貌して知らなかった世界に魅了されます。
だからこそ、一瞬の誘惑に負けないことです。

ちょっと急ぎたいから、目の前のクルマを反対車線に出て一気に追い越す……黄色いセンターラインでないから良心的?とか妙な言い訳しながら、ややラフな行動になるときって多い気がします。
もう一歩慎重であれば、そこで何十秒か余計に時間を費やしたトコロで何の違いがあるのか、そう思えて一歩引く気持ちになれます。

それもこれも、止まっているときには心に刻めることばかり。
だからヒヤッとかドキッとしたら、なるべく近い駐車できるスペースを見つけ、風の音に耳を澄ませる、そんなひと息がお奨め。
休憩ではなく心に変化を与え、反省や様々な思いを刻む時間を持つと、随分とヒヤッとかドキッとかが減ります。
皆さんも色々工夫なさっているかも知れませんが、成りゆきで走り続けるのはそれ自体がリスクを増やしているということを、どこかで意識してみては如何でしょう?

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