便利な使い方・注意点は? 日本でも始まったApple Music Classicalを楽しむ「10のポイント」
アップルがクラシック音楽に特化した音楽ストリーミングサービス「Apple Music Classical」を立ち上げました。本記事では、Apple Music Classicalの利用を始める前に注目しておきたい「10のポイント」を解説します。
ポイントその1 Apple Musicとセットで月額1080円
Apple Music Classicalは500万を超える楽曲が揃う、世界最大級のカタログ規模を誇るクラシック音楽専門のストリーミングサービスです。Apple Musicをベースに構築されたサービスであることから、現在月額1080円(税込)で提供されているApple Musicのサブスクリプションに登録しているユーザーは、追加料金を払うことなく楽しめます。Apple Musicの個人プラン、ファミリープラン、学生プラン、Apple Oneのサブスクリプションが対象になります。
対応するプラットフォームはiOS 15.4以降、iPadOS 15.4以降、Android 9.0以上です。
ポイントその2 検索・再生を快適にするため専用アプリを用意
Apple Music Classicalを楽しむ前に、Apple Musicとは別の専用アプリをダウンロードします。iOS/iPadOSのアプリは「クラシック」という名前。Androidは「Apple Music Classical」です。
なぜ別々のアプリになっているのでしょうか。最大の理由はクラシック音楽の作品に関連付けられる「楽曲情報=メタデータ」の構造がほかのジャンルの音楽と異なるため。検索、ブラウズ、ライブラリ、おすすめ機能などを便利に活用するために独自のユーザーインターフェースを設ける必要があったからです。
開いたアプリの下に並ぶ4つのタブから「検索」を選択して、キーワードに「ベートーベン 運命」と入力してカタログから探してみると、Apple Music Classicalの場合は正確に「交響曲第5番:ハ短調 Op.67 “運命”」を演奏した作品が並びます。これがApple Musicでは、ほかのクラシックの楽曲や、「運命」というタイトルのJポップなどがリストに含まれてしまいます。
それぞれの作品を表示するページにも、Apple Musicのエディターが執筆した詳しい楽曲解説のほか、人気のレコーディング、関連作品など価値ある情報が詰まっています。クラシック音楽の熱心なファンからビギナーまで存分に楽しめるよう、独自のアプリを入念に最適化しているのです。
ポイントその3 クラシック入門に最適なプレイリストが充実
Apple Music Classicalには数百件以上のキュレーションされたプレイリストがあります。クラシック音楽にはあまり詳しくないという方は、プレイリストを頼りにすると魅力的な作品を探せます。
アプリの「見つける」タブを開くと、作曲家やアーティストの代表曲を揃えたプレイリストが並びます。アーティストが自ら推薦する作品を選んだプレイリストもあります。
筆者は遅まきながら最近、ヴァイオリン奏者のヒラリー・ハーンにハマりました。たとえば「はじめての ヒラリー・ハーン」で彼女の代表的な演奏を押さえてから、アーティストによるプレイリスト「ヒラリー・ハーン :Violin Mixtape」で彼女が影響を受けた作品などを知ると、クラシック音楽への興味が深まります。
あるいは楽器を演奏することが好きな方は「見つける」タブの中から「楽器」による作品検索ができます。ハープやファゴット、アコーディオンによる演奏をハイライトした、意外な名演奏に出会える楽しさもあります。
ポイントその4 空間オーディオやハイレゾロスレスも楽しめる
Apple Music Classicalには、ドルビーアトモスによる空間オーディオ対応の作品があり、数千以上の作品で、立体的な音楽再生が楽しめます。iPhoneやiPadに、AirPodsシリーズやBeatsのイヤホン・ヘッドホンなどを組み合わせて聴く楽しみ方が最もシンプルです。
もし、ヘッドホン・イヤホンを装着した状態でユーザーが顔の向きを変えても、楽曲の音がブレることなく適切な方向から聞こえてくる「ダイナミックヘッドトラッキング」機能などが不要であれば、AirPodsシリーズを選ばなくてもiPhoneに手頃な価格のイヤホン・ヘッドホンを組み合わせれば空間オーディオ再生は楽しめます。
なお、Androidアプリは空間オーディオ再生に対応していないので注意が必要です。
CDの音質を超える最大192kHz/24bit(リニアPCM形式)のハイレゾロスレス音質の作品も、数は公表されていませんが配信されています。このハイレゾ再生はAndroidアプリでも楽しめます。
ただ、iPhone、iPadの場合は単体でハイレゾを聴くことができないので、コンパクトで取り回しのよいUSB-DAC内蔵のヘッドホンアンプやハイレゾ対応のヘッドホン・イヤホンを揃えるとよいでしょう。
ポイントその5 クラシック系の映画音楽やゲーム音楽から入るのもアリ
ここまで楽しみ方をいくつかご紹介してきましたが、それでもやっぱりクラシック音楽に親しみがわかないという方は、有名な映画音楽から聴いてみることをおすすめします。
筆者は『スター・ウォーズ』『E.T.』など、大ヒット映画の音楽を手がけてきたジョン・ウィリアムズの作品がApple Music Classicalのお気に入りです。“エディターのおすすめ”でもあるアルバム『John Williams:The Berlin Concert』には、誰もが聴いたことのある有名な18の楽曲が入っています。
「見つける」タブの中にある「その他のプレイリスト」を深掘りすると「ヒーロー&レジェンド」のプレイリストもあり、映画などで耳なじみのあるクラシックの名作が並んでいます。さらに、「ゲームのためのクラシックミュージック」のプレイリストも聴き応えがありそうです。植松伸夫のアーティストページもあります。私はお気に入り登録しました。
ポイントその6 HomePodとの相性もとてもイイ
Apple Music Classicalはスピーカーを使って、身体で音楽を浴びるように聴くとコンサートホールの情景がリアルに浮かび上がってきます。
Siriを搭載するスマートスピーカーの「HomePod」は、ドルビーアトモスによる空間オーディオ再生にも対応している最適な組み合わせです。クラシック音楽の録音は音場のスケール感やアコースティック楽器による音色の豊かな響きにも近付きやすい、スピーカー再生との相性がとても良いです。
ポイントその7 macOSアプリは登場待ち
Apple Music Classicalの利用を始める前に、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
Androidアプリが空間オーディオ再生に対応していないことは先に触れた通りですが、ほかにもmacOS向けのApple Music Classicalアプリがないことも指摘しておくべきでしょう。
Macとヘッドホン、デスクトップスピーカーなどの組み合わせでハイレゾリスニングを楽しんでいる方はひと手間かかりますが、方法はあります。iPhone、iPad、AndroidスマホのApple Music Classicalでお気に入りの作品をライブラリやプレイリストに追加しておけば、同じ情報が共有されるMacのミュージックアプリから再度アクセスして、デスクトップオーディオ環境で聴くことができます。
ポイントその8 オフライン再生はApple Musicアプリで
もうひとつの注意点は「オフライン再生」です。Apple Music Classicalで配信されている作品はiPhoneやAndroidスマホにダウンロードして、オフラインで聴くことができます。ただしこちらもひと手間かかります。
Apple Music Classicalからお気に入りの作品をライブラリやプレイリストに追加して、Apple Musicアプリからデバイスにダウンロードしましょう。再生もApple Musicから行ないます。
ポイントその9&10 もっとApple Music Classicalを使いこなす「2つの方法」
最後にApple Music Classicalをより深く楽しむためのTIPSを2件紹介します。
ひとつは再生画面の左下に設けられた「i(インフォメーション)」アイコンの活用です。各作品に関連する詳しい情報を参照できるほか、演奏するアーティストや指揮者、オーケストラの関連作品について見識が深まります。
もうひとつは「今すぐ聴く」タブのページにも並ぶ「ムード&アクティビティ」のプレイリストです。ここには仕事に集中したいときのBGMや、朝晩のリラグゼーション・タイムに相応しい楽曲が揃っています。「ながら聴き」からクラシック音楽に親しむ道もアリです。
とにかくApple Musicのユーザーは、追加料金なしで楽しめるApple Music Classicalを試してみない手はありません。この機会にぜひクラシック音楽の魅力に触れてみてください。
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