明らかな酒気帯びに技能実習を途中で放棄! 元教習所教官が出会ったトンデモ教習生
この記事をまとめると
■教習所の教官をしていた筆者が実際に経験した驚きの教習生を紹介
■教習所の教官に対する態度や学科教習において態度が悪い教習生がいる
■さらに実車教習でもあり得ない出来事に遭遇した
ドチラが上ではないけれどいきなりタメ口は……
教習所で勤務していると、さまざまな個性を持った教習生に会います。礼儀正しい生徒、少しヤンチャな生徒、運転で苦労する生徒など、本当に人は十人十色だと改めて感じさせられます。そんななかでも今回は「え? マジ!?」「本当にいるんだ!」と思ってしまった教習生の一部を紹介します。
よくあること? 学科教習の居眠り生徒
運転免許を取得するための教習は、座学の学科教習と運転の技能教習を並行で進めていきます。そのため、1日に学科と技能を詰め込みすぎて疲れ切ってしまう教習生もいます。
指導員をしていたときによく見かけたのは、技能教習で緊張しすぎて疲れ切ってしまい、次の時間の学科教習で寝てしまうというというパターンです。これはよくあるパターンのようですが、学科教習では運転に必要な知識を学ぶ場であるため、寝るのはよくありません。
また、場合によっては、居眠りしていたことで学科教習を受講していないと判断されることもあります。初めての教習所、初めての運転、慣れない環境での勉強や実技などによって、つい眠くなってしまうのはわかりますが、学科教習では寝ないよう気をつけてください。
最初からタメ口で馴れ馴れしい生徒
免許を取得するまで通う教習所では、教習生・指導員ともに「初めまして」となることが多いです。
教習生の立場からすると、初対面の人から運転や運転に関する知識を教えてもらうため、緊張しすぎて思うように運転操作ができなかったり、うまくコミュニケーションを取れなかったり、体調を崩したりすることがあります。
一方、指導員の立場からすると、初対面の教習生がどのような人なのか性格を見極めながら、それぞれの教習生に合った適切な指導を行わなければならないため、頭を使ってさまざまなことを考えながら指導します。
しかし、なかには初対面にも関わらず、以前からの知り合いのような対応をしてくる教習生もいます。このことを「悪くない」と思う人もいれば、「良くない」と思う人もいるため、良い悪いの判断はできません(ちなみに筆者は悪くないと思う側でした)。
ただ、お互いの感情や性格がわからない状態で馴れ馴れしくタメ口で話したり話されたりするのを良くないと思う人も一定数いるため、教習所に通ったり、教習所で講習を受けたりするときは、最低限のマナーを守って対応したほうが良いといえるでしょう。
明け方まで飲んで技能講習に……
教習所の教官にイラッとする教習生
技能教習では、指導員と教習生が1対1で、クルマという狭い空間のなかで教習する機会が多いです。そのため、どのようにしても指導員と教習生の相性が合わないことがあります。相性が合わないと、最悪の場合、教習を続けることができないという事態になることもあります。
実際あった話として聞いたことがあるのは、指導員の態度に苛立った教習生が、技能教習を放棄して教習中断になったというケースです。
この話を初めて聞いたとき、「まさか、本当に?」と思いましたが、どうやら事実のようでした。このように指導員と生徒の関係が崩れてしまうと教習を進められなくなるため、指導する側も指導を受ける側も紳士的な対応が必要だと改めて感じました。
え? 臭うんですけど? お酒が残った状態で教習所に来た教習生
いくら教習所内での教習とはいえ、お酒が残っている状態で運転させるわけにはいきません。これは、筆者が実際に経験して一番驚いたことといっても過言ではないエピソードです。
1段階(場内教習)の初めての実車教習のとき、筆者が運転席に乗り、教習生を助手席に乗せて運転の見本を見せ始めたタイミングで筆者はあることに気が付きました。それは、指導員である筆者の言葉に対して教習生が返事をすると同時にアルコール臭がするということです。
そして、筆者は「間違っていたら申し訳ないのですが……」と話を切り出し、「昨日、お酒飲みましたか? もし、飲んだとしたら、どのくらいの量を飲んで、何時頃まで飲んでましたか?」と聞いたところ、「昨日お酒をある程度たくさん飲んで、明け方頃まで飲んでました」との返事が返ってきました。
教習している時間は、飲酒を終えて数時間しか経過していない午前中。お酒が抜けきれていない可能性が非常に高いと確信した筆者は、すぐに教習の責任者を呼び「明け方頃までお酒を飲んでいて、いまも臭います。この場で教習を続けられるか判断お願いします」と伝えると、その場で責任者が教習生の呼気を確認し、教習中断の判断となりました。
まさか実車教習がある日の明け方までお酒を飲んでいたとは思っていなかったので筆者はかなり驚きました。
場内での教習とはいえ、飲酒運転は絶対にダメです。教習生に運転させる前にお酒の臭いに気がついたため大きな問題にはなりませんでしたが、もし運転させてしまっていたら……と思うとゾッとします。
このエピソードは、いまでも強く印象に残っているエピソードです。
教習生も指導する指導員も「人」
教習指導員として勤務していたとき、毎日さまざまな教習生の指導をしてきました。
それぞれ個性のある教習生を指導してきて改めて思ったのは、教習生も指導員もひとりの「人」であるということです。そのため、指導員と教習生の相性が合わなかったり、前の時間の指導員からキツイことを言われた教習生が次の時間の指導員に感情をぶつけてしまったりすることがあります。
さまざまなことがある教習所ですが、指導員に課せられている使命は「安全な運転者の育成」です。教習指導員は、命に関わる自動車の運転を指導するという立場にあるため、優しい指導だけで済ますことができないこともあります。厳しい指導をされた教習生は「キツいことを言われた」と気持ちが落ち込んでしまいます。しかし、教習生の気持ちが落ち込むのと同時に指導員もじつは心苦しいのです。
このように、指導員にも人としての感情があり、教習生である「あなた」のことを思って厳しい指導をしていることを教習所に通っている方が理解すると、お互いに不快な思いをすることがなくなるのではないかと、いまとなっては思います。