「ワイン」飲むと“病気予防”になるって本当? 1日の摂取目安量は? 医師に聞いてみた
ビールやチューハイとともによく飲まれるお酒の一つが「ワイン」です。産地によって味が異なるため、さまざまな料理と組み合わせることが可能です。適量のワインを飲むと、病気の予防につながるといわれていますが、本当なのでしょうか。1日の適切な摂取量はどの程度なのでしょうか。なかざわ腎泌尿器科クリニック(石川県野々市)の院長・中澤佑介さんに聞きました。
動脈硬化の予防につながる可能性
Q.適量のワインを飲むと、病気の予防につながるといわれていますが、本当なのでしょうか。ワインを飲むメリットも含めて、教えてください。
中澤さん「ワインには、抗酸化物質の一つである『ポリフェノール』が含まれており、これが心血管疾患の予防に寄与する可能性があります。特に赤ワインには、ポリフェノールの一種である『レスベラトロール』が豊富に含まれており、動脈硬化などの予防効果が期待されています。ただし、作用は摂取量や個々の健康状態によって異なります。
フランス人は、肉類などの動物性脂肪を多く摂取する一方、ワインもよく飲むといわれています。肉や酒を過度に摂取すると体に良くないですが、フランス人は他の西欧諸国に比べて心臓病による死亡率が低いです。このような状況は『フレンチ・パラドックス』と呼ばれており、赤ワインの中に含まれるポリフェノールが原因なのではないかと推測されています」
Q.ワインの1日の適切な摂取量について、教えてください。適量であれば、毎日摂取しても問題ないのでしょうか。
中澤さん「厚生労働省が推進する国民健康づくり運動『健康日本21』では、適度な飲酒量として、1日平均純アルコールで20グラム程度という基準を示しています。ただし、アルコールの適切な摂取量は、個人差があるため、注意してください。
アルコール度数が14度のワインの場合、180ミリリットルを飲んだ時点で20グラムのアルコールを摂取したことになります。飲食店で提供されているグラスワインの多くは、1杯125ミリリットルなので、ちょうどワイングラス1杯半が適量ということになります。
ちなみに、イギリスの国営保健サービスは、男性は1日に30〜40ミリリットル以上、女性は1日に20〜30ミリリットル以上のアルコールを摂取しない方が良いという方針を示しています。毎日、ワインを摂取しても問題ないかどうかは、個々の体調や医師との相談が必要です」
Q.ワインを飲み過ぎると、どのような症状に陥る可能性がありますか。
中澤さん「ワインに限らず、お酒を飲み過ぎた場合、肝臓が、飲酒時に体内で発生する有害物質『アセトアルデヒド』を十分に処理することができないため、血液中のアセトアルデヒドの濃度が高くなります。そのため、アセトアルデヒドの毒性によって胃痛や胃もたれ、胸やけ、吐き気、動悸(どうき)、頭痛などの症状が現れます。また、アルコール中毒や依存症のリスクがあります。
過剰なアルコールの摂取は、肝臓や心臓などにも悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取時は適量を心掛けましょう」