スーパーマリオメーカー2は2019年6月28日にNintendo Switch向けに発売されたゲームで、全世界で842万本を売り上げるほどの大ヒットを記録しました。Nintendo Switch Onlineを利用することで世界中のユーザーに向けてコースを投稿したり、投稿されたコースを遊んだりすることが可能ですが、そうした通信に用いられるAPIは全て解析済みであることが明らかになっています。

Mario Maker 2 API

https://tgrcode.com/posts/mario_maker_2_api

Mario Maker 2 Datasets

https://tgrcode.com/posts/mario_maker_2_datasets

任天堂はマリオカート8やスプラトゥーン2などWii U以降のゲームの多くでゲームとサーバーとの通信にNEXと呼ばれるプロトコルを使用しています。このプロトコルはPretendoプロジェクトなどによって解析されており、クライアント・サーバーの両方で偽装が可能です。実際にNintendo Clientsなどの偽装クライアントソフトが登場し、Nintendo Switchを起動せずとも任天堂のサーバーと通信することができるようになっています。

スーパーマリオメーカー2を発売以来何年もプレイし続けてきたというTheGreatRambler氏はNintendo Clientsを使用し、スーパーマリオメーカー2のデータを取得するためのAPIを構築しました。APIは無料で一般公開されており、多数の開発者がこのAPIを使用してスーパーマリオメーカー2に投稿されているコースの中身を閲覧するためのビューワーを構築しています。

そのうちの一つがTheGreatRambler氏のサイトでホストされているレベルビューワーです。サイトにアクセスし、コースIDを入力して「Download Level」をクリックするとコースの中身を閲覧できます。



データが取得されると左にデータの中身そのものが表示され、右にコースの内容が視覚化されて表示されます。制作者にしか分からないような隠し要素も一発でモロバレに。



コースのデータをJSON形式のほか、画像でも保存することが可能です。



TheGreatRambler氏は2022年2月に1カ月かけて全コースのデータをダウンロードし、機械学習向けのデータセットとしてHugging Faceにアップロードしました。データセットは全部で15個に分かれており、容量の合計は2.3TBとのこと。データセット同士のつながりについてはTheGreatRambler氏のブログで解説されています。

2024年4月上旬にWii Uのオンラインプレイサービスが終了するに従い、初代スーパーマリオメーカーではすでに一部のプレイヤーがゲームをオンラインプレイできなくなっています。しかし、スーパーマリオメーカー2のようにAPI解析によりあらゆるコースをインターネット上に保存できるようになれば、例えサービスが終了してしまってもこれまで生み出されてきた数々のクリエイティブなコースたちを記憶だけでなくデータとしても残しておくことができそうです。