白物家電で「2023年はパナソニックの年だった」おじさんライター「ズッキュン」5アイテムを熱く語る
いまや国内唯一の総合家電メーカーとなってしまったパナソニック。家事・調理家電からAV機器、健康機器、美容家電、防犯機器、住設機器まで網羅している。総合家電メーカーという立ち位置からか、個々の製品は高機能化・多機能化していき、「1台で何でもできる」という万能モデルも多い。
しかし、「アレもコレも」と多機能化したことで製品の魅力が伝わりづらく、ユーザーが使い切れないことも。なかには、てんこ盛りな機能に埋もれてしまって、本当にやりたいことになかなか到達できない面もあった。良いモノを作っているのにその価値がユーザーに伝わらない……従来のパナソニック製品には、そんなジレンマがあったように思う。
↑東京スカイツリーで使われているパナソニックの照明器具を見学した筆者(2020年撮影)
驚きに満ちた製品が目白押し。2023年はガラリと変わった
ゆえに、少ない機能に特化し、価格を抑えた分かりやすい製品を開発するメーカーに市場を奪われ、存在感が薄れるジャンルもあった。そんなイメージのパナソニックだったが、2023年はガラリと変わったのだ。「えっ! こんなの作っちゃうの…」という新鮮な驚きを与え、「そうそう、そういうのが欲しかったんだ!」という消費者心理を突いた製品が目白押し。2023年のシロモノ家電はパナソニックの年だったと言っても過言ではない。いや、ちょっと言い過ぎかな(笑)。以下では、心に残ったパナソニックの製品を紹介していこう。
【その1】一人暮らし用の食器洗い機で自炊がはかどる!
【食洗機】
SOLOTA(ソロタ)NP-TML1
実売価格3万7620円(税込)
一人暮らしで皿洗いが嫌いだと、健康面やコスト面で避けるべきとわかっていても、自然と外食や弁当が増えてしまう。だから食器洗い機は欲しいところだが、これまでの食洗機は大きく、アパートの狭いキッチンスペースには入らなかった。一方、SOLOTAは完全に1人用と割り切り、食器は6点しか入らない。その割り切りゆえに奥行き225mm、幅310mmとA4サイズ程度の小型化を実現し、狭いキッチンスペースを圧迫しないようになっている。
水タンクが着脱式なのもよい。内蔵型だと別の容器に水を入れて、食洗機に注ぐ作業が面倒だが、着脱式タンクならばタンクに水を注いでセットするだけなので、これまたかなりラク。皿洗いがイヤだから…と敬遠していた自炊もはかどるはずだ。
【その2】「こういうのが欲しかった」ものぐさ男のハートにズッキューン
【炊飯器】
自動計量IH炊飯器 SR-AX1
実売価格4万5540円(税込)
一人だとご飯を炊くのが面倒。なので、高くつく弁当や外食、パックご飯で済ませてしまう。一度にたくさん炊いて冷蔵・冷凍するのもいいが、ご飯の粗熱を冷まして小分けして……ああ、もっと面倒だ(笑)
SR-AX1は、こうしたものぐさ男のハートにズッキューンしたナイスなライスクッカー。約600ml入る水タンクと約13合相当の米が入る米びつを搭載し、スマホアプリで炊飯量と炊きあがり時刻を指定すれば、自動計量して自動でご飯を炊いてくれる(炊飯量は0.5合から2合まで0.25合刻みで指定可能)。無洗米専用なので米とぎも不要。いつでも好きなときに、好きな量だけ炊きたてご飯が食べられる。ホント、こういうのが欲しかった。
【その3】「ホントに剃れるの?」疑っていた自分がバカでした
【電気シェーバー】
ラムダッシュ パームイン ES-PV6A
実売価格4万1580円(税込)
パナソニックがパームインを発表したとき、こんなコンパクトな形でちゃんと剃れるの? と懐疑的だった。手のひらでしっかり握って持たないと、深剃りも細かいキワ剃りもできないでしょうに……。しかし実際に剃ってみると、これが全くの逆。指でつまんで持つことでヒゲを剃っている感触、肌を滑っている感触が指先に伝わりやすく、微妙な力加減を調節できる。指が肌に近い位置にあるので細かな動きもやりやすく、デザインヒゲのキワ、モミアゲのキワも剃りやすい。顎のラインに沿って細かく角度を調整しやすいので、剃り残しも減った。
また、5枚刃でフラッグシップモデル並みの性能を持ちながら、USB-Cに対応しているため、出張や旅行に持っていきやすいのも良い。スマホの充電器とケーブルを併用できるので、荷物が減って助かるのだ。まさにいいことづくめ。本当に剃れるの? と疑っていた自分がバカでした。
【その4】アウトドア趣味人にとってうれしい機能を搭載
【ドラム式洗濯乾燥機】
ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129C
実売価格36万8280円
アウトドアの趣味をもつ人間にとって撥水ウエアは必需品。筆者は山登りとゴルフ、バイク、時々キャンプを趣味としており、レインウエアを2着持っている。タウンユースと違い、雨が降ったらレインウエアはドロドロになるし、内側は汗や皮脂汚れも付着する。放っておくと防水透湿性や撥水機能が失われるので使うたびに洗濯し、洗濯した後は撥水機能回復のために、ドライヤーの熱風を当てるかアイロンをかける必要があった。
その点、「NA-LX129C」には、ウェアの撥水性能をヒートポンプ乾燥の熱を利用してよみがえらせる「はっ水回復」コースがあり、タンブラー乾燥禁止のレインウエアも使用可能。入れられる衣類は1枚まで、運転時間は約120分と制限はあるものの、これまで手でやっていた撥水機能の回復がほったらかしでできるのはうれしい。ピンポイントなニーズではあるが、アウトドア趣味持ちには面倒な手作業から解放される「あったらうれしい」機能だった。
【その5】従来モデルの「ズレ」「裏返り」のお悩み解決!
【高周波治療器】
コリコランワイド EW-RA550
実売価格3万8610円
常に首と肩がこっている。職業柄、一日中デスクに張り付いてパソコンと向かい合う毎日。同じ姿勢を続けているせいか、頚椎ヘルニアの再発も3度目。右半身がジリジリ痛い。そのため、数年前から高周波治療機「コリコラン」が手放せない。低周波治療機のように刺激がないので一日中装着したままにできるから、仕事もゴルフの練習もできるし、バイクや車にも乗れる。コリコランのおかげで、右半身の痛みはかなり軽くなった(個人の感想です)。
ただ、これまでのコリコランは両面シールで肌に直接貼って使うタイプ。筆者は肌が弱く、粘着物を1日付けているとかぶれるため、付属のリングを使って首から下げているのだが、コリコランの自重で背中の方に落ちていったり、裏返ってしまったりするので、時々正しい位置に直さねばならない。この使い勝手の悪さはどうにかならないものか……と思っていたところだった。
コリコランワイドは、そんな悩みを解決する製品。シートに高周波パルスユニット12個分を配置して、首から肩まで広範囲にカバー。付属のアタッチメントに入れれば肩に羽織ることができ、そのまま服を着て外出できる。大きくて重そうに見えるけど、使ってみるとそれほど重さは感じず違和感はないし、洋服が膨らんだり、襟口からのぞいたりして格好悪いということもない。ズレたり裏返ったりせず、まさに「こんなコリコランが欲しかった!」。
【まとめ】2023年は「ユーザーに向き合った開発」が功を奏した
いままで見てきたように、2023年のパナソニックは一人暮らし用に割り切った製品、特定ユーザーの琴線に触れる製品、既存ユーザーの「困った…」「どうにかしてほしい!」を改善した製品が多く見られた。これまでの製品開発は、新製品を出し続ける使命を果たすための、いわば「メーカー都合の開発」と感じる部分もあったが、2023年は、使う人ありきの「ユーザーに向き合った開発」を進め、それが功を奏した印象だ。2024年も、「こういうのが欲しかった」と思える新たな製品の開発に期待したい。