決着直後にコーナーで歓声に応える井上尚弥【写真:荒川祐史】

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世界スーパーバンタム級4団体統一戦

 ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一戦12回戦が26日、東京・有明アリーナで行われ、WBC&WBO王者・井上尚弥(大橋)がWBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回1分2秒KO勝ち。男子では世界2人目、アジア人初の「2階級4団体統一」とともに、日本人最多タイの世界戦通算21勝も飾った。この偉業に世界のメディアからは「年間最優秀選手賞の強力な候補」と賛辞が殺到。階級を超越して各メディアが格付けする現役最強ランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で1位に推す声も上がりそうだ。

 世界で最も権威ある米専門誌「ザ・リング」は「2023年、わずか2試合でイノウエは新しい階級のキングになり、それと同時に年間最優秀選手賞の強力な候補となった。もう1人の2階級4団体統一王者、テレンス・クロフォードらが他の有力候補だ。この2人の世代を代表する才能は現在、ザ・リングのPFPでトップ2に位置付けられている」と現級に移ってからの快進撃を称賛。さらに「誰が年間最優秀選手賞に、そしてPFP1位の座に相応しいか議論を始めようじゃないか」と投げかけた。

 そのリング誌のダグラス・フィッシャー編集長はX(旧ツイッター)で「ザ・モンスターが、タフで頑丈なマーロン・タパレスを10回に遂に捉えてKO勝利した。スーパーバンタム級を4団体統一。リング誌の空位だった王座も奪ったイノウエを称賛する」と評価。「ザ・リング」で格付け評議員を務めるアダム・アブラモウィッツ氏もXで「イノウエ、なんてボクサーだ! 彼を見られることが本当に嬉しい」と興奮したほど。

 米専門メディア「ボクシングシーン.com」は「ナオヤ・イノウエが歴史を作った。またしてもだ」「この最新の偉業により、イノウエは歴史上他のどのボクサーよりも速く、2つの階級で4本のベルトを完全に統一した」と、自身2階級目の4団体制覇をたった5か月で達成したスピードに驚愕。また、米国のみならずボクシングが盛んな英国の衛星放送「スカイスポーツ」も「ナオヤ“ザ・モンスター”イノウエがマーロン・タパレスを10回に倒し、東京のファンを喜ばせた」と、井上の怪物ぶりを称えた。

 カナダのメディア「ザ・スコア」は「クリスマスはナオヤ・イノウエにとって1日遅れで来た。が、それは間違いなく待った甲斐のあるものだった」と報道。「世界で最高のPFPボクサーの1人と広く認識されているイノウエは、すでにスーパーバンタム級でWBO、WBCのタイトルを保持しており、そこにIBFとWBAのベルトも加えた」とした。

 一方で相手のタパレスについても「下馬評が低かったが“ザ・モンスター”にふさわしい対戦相手だったと証明した。2人のチャンピオンはエキサイティングな試合を通して、ヘビーなショットを応酬した」と称えている。井上は4回に最初のダウンを奪い、その後はタパレスが粘る展開となったが「イノウエはそれでも大部分で試合をコントロールし、タパレスを総パンチ数146-52、パワーパンチ数114-43で上回った」と、深く、静かにダメージを与えていたとしている。その偉業の価値と幕切れの鮮やかさを証明するように、世界から称賛が集まった。

(THE ANSWER編集部)