土肥洋一氏は韓国人GKたちの活躍には感銘【写真:徳原隆元】

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元日本代表GK土肥洋一氏も韓国人選手の台頭に注目「やはりサイズは大きな魅力」

 近年のJリーグでは海を渡ってやってきた外国人GKが多く活躍している。

 なかでも韓国人選手の台頭は目覚ましいものがある。2018年から2023年までJ2レノファ山口でGKコーチを務めた元日本代表GK土肥洋一氏も、韓国人GKたちの活躍には感銘を受けているという。(取材・文=石川遼/全4回の3回目)

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 日本で10年以上のキャリアを誇るセレッソ大阪のキム・ジンヒョンをはじめ、川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、京都サンガFCのク・ソンユン、湘南ベルマーレのソン・ボムグン。今季限りで引退の鹿島アントラーズのクォン・スンテもそうだ。代表クラスの韓国人GKがJの舞台で活躍してきた。カタール・ワールドカップ(W杯)で韓国代表のレギュラーだったキム・スンギュ(アル・シャバブ/サウジアラビア)も柏レイソルとヴィッセル神戸でプレーした“日本育ち”のGKだ。

 2018年から山口のGKコーチを務めてきた土肥氏も、2023シーズンに22歳の韓国人GKチャン・ヒョンチャンを1年間指導してきた。やはりその恵まれた体格を持つ韓国人選手の台頭には注目しているという。

「最近、活躍している韓国人GKはみんな身体が大きくて、そこがアドバンテージになっていますよね。僕の教え子(チャン・ヒョンチャン選手)も190センチくらい(189センチ)ありますし、京都のク・ソンユン選手も195センチくらいあって、やはりこのサイズは大きな魅力です」

 184センチのクォン・スンテはやや例外的だが、キム・ジンヒョンが192センチ、チョン・ソンリョンが191センチ、ソン・ボムグンが196センチと韓国人GKには190オーバーの選手が多い。

 日本人GK、例えば森保ジャパンに名を連ねる選手たちはシント=トロイデンの鈴木彩艶が190センチ、サンフレッチェ広島の大迫敬介が188センチ、中村航輔が185センチ。その他、カタールW杯でゴールマウスを守った清水エスパルスの権田修一が187センチ。国内屈指の名手とされる浦和レッズの西川周作が183センチ、ガンバ大阪の東口順昭が184センチとやはり日本人GKは“小柄”な選手が多い。日本で大型GKと言えるのは、197センチのシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)くらいだろう。

韓国人GKがJリーグに活躍の場を求める理由「韓国では技術的な部分より…」

 恵まれた体格を持った韓国人GKたちは、なぜ日本など国外リーグに活躍の場を求めているのか。土肥氏は日本と韓国での指導の違いを理由に挙げている。

「聞けば、最近の韓国のGKコーチは技術的な部分よりフィジカルトレーニングに力を入れているようなんです。もちろんフィジカルは必要ですけど、そこばかりになって細かいステップの技術が身に付いていなかったりする。それもあって若い韓国人のGKが海外に出たがっているという面があるそうです。元々フィジカルの面では優れていた選手たちは、日本に来てから細かな技術の部分で成長していると思います」

 韓国人では28歳までに2年間の兵役の義務があることもあり、若くしてより大きな舞台で成功を収めたいと上昇志向を持ってプレーする選手も多いという。

 土肥氏も「彼らの凄いところはそのハングリーさ。日本語だってすぐに覚えるし、成功したいというあのハングリーさは日本人にはないもの」とプロ意識の高さを称えていた。今後もJリーグに活躍の場を求める韓国人GKは増えていくのかもしれない。

[プロフィール]
土肥洋一(どい・よういち)/1973年7月25日生まれ、熊本県出身。大津高―日立製作所/柏レイソル―FC東京―東京ヴェルディ。日本代表通算4試合、J1通算341試合、J2通算97試合、JFL通算15試合出場。2004年にナビスコカップMVP、Jリーグベストイレブンを受賞。2000年から06年までJリーグ216試合連続出場記録(当時)を打ち立てた。06年ドイツW杯でメンバー入り。第一線で長年活躍し、12年シーズン限りで現役引退。13年から東京Vの育成GKコーチやトップチームGKコーチを歴任。U-18日本代表GKコーチも務め、18年から23年までレノファ山口FCのトップチームGKコーチも務めた。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)