現役ドラフトの細川成也が「大当たり」も抜本的な改革には至らず プロ野球補強診断2022−23【中日編】

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細川の飛躍は好材料。来季に向けて中田の獲得に成功しており、打線の厚みは増しそうだ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 昨シーズンオフから今季にかけての補強はうまくいったのか? 12球団、各チーム別で見ていきたい。今回は中日編だ。

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 まず触れておきたいのは、細川成也のブレークだ。現役ドラフトで獲得した右の大砲は、開幕直後から出場機会を得ると、リーグ4位タイの24本塁打を記録。あのトレバー・バウアー(DeNA)から1試合で2本のアーチを架けるなど、印象的な活躍も多かった。ちなみに、中日の日本人野手がシーズン20本塁打を記録したのは、2010年の和田一浩&森野将彦以来、13年ぶり。現在チームのコーチを務める両人と肩を並べるのは、何かの縁を感じさせてくれる。

 昨オフの中日といえば、内野手の“総取っ替え”が話題に。二遊間のレギュラーだった阿部寿樹と京田陽太をトレードで放出。支配下ドラフトで4人の内野手を獲得した。その4人のうち、村松開人が98試合、福永裕基が97試合に出場。村松は打率.207で1本塁打、福永は同.241で2本塁打とレギュラー奪取には至らず。田中幹也は二塁の開幕スタメンと思われたが、オープン戦終盤に右肩脱臼の大ケガ。今季の一軍デビューはならなかった。

 補強の目玉は「打てる」外国人選手の獲得だった。とりわけアリスティデス・アキーノは、メジャー通算41本塁打の実績を引っ提げ来日。主砲候補として見られていた。3月の侍ジャパン戦で2戦連発、オープン戦でも4本塁打を放つも、シーズン開幕後はさっぱり。わずか1本塁打に終わり、1年限りでチームを去った。2020年以来の復帰となったソイロ・アルモンテもアキーノと同様に1本塁打のみで退団。オルランド・カリステがシーズン終盤に適応、3番・遊撃を任されるなどして残留を勝ち取ったものの、全般的に助っ人勢の失敗が尾を引いたといえよう。

 シーズン途中の補強に関しては、比較的うまくいったと思われる。6月に日本ハムとのトレードでやってきた宇佐見真吾は、持ち前の打撃センスを発揮。8月には月間3度のサヨナラ打を放つなど、早速ファンの心を掴んだ。同じく日本ハムより加入した齋藤綱記も夏場以降は勝ちパターンに食い込み、貴重な左腕としてブルペン陣を支えた。外国人ではウンベルト・メヒアが交流戦以降に8試合で先発し3勝、防御率2.23と及第点の成績。登録期限ギリギリで加入したマイケル・フェリスも160キロに迫る剛球を武器に、セットアッパーの役割をこなした。

 また、ドラフト1位の仲地礼亜は後半戦から先発ローテに入り、2勝をマーク。育成ドラフト1位の松山晋也は6月に支配下契約を勝ち取り、36試合に登板。防御率1.27の好成績を残し、来期以降の飛躍を予感させた。

 野手陣の誤算は大いにあったものの、立浪和義監督による抜本的な改革は道半ば。今オフも積極的な補強を進めており、チーム13年ぶりのリーグ優勝に向けてばく進していく。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]