これからマイホームを購入しようと考えている人の中には、住宅ローンの審査に通るのだろうかと不安に感じている人もいるでしょう。しかし、住宅ローンの審査に落ちる原因や対処法をあらかじめ知っておくことで、審査をスムーズにすることができます。

この記事では、住宅ローンの審査に通らない人の特徴や、住宅ローンの審査に落ちた場合の対処法について解説するとともに、住宅ローン審査に落ちないための対策も併せて紹介します。

住宅ローン審査に落ちる理由6選

住宅ローンの審査基準は、提供する金融機関によって異なりますが、主にチェックする項目は共通しています。

ここでは、住宅ローンの審査に落ちる主な原因や、審査に通らない人の特徴について解説します。

返済負担率の条件を満たしていない
返済負担率(返済比率)とは、年収に占める住宅ローンなどの年間返済額の割合のことです。年間返済額には住宅ローンの返済のほか、現在利用している自動車ローンやカードローン、奨学金などの返済額も含まれます。

返済負担率の条件は金融機関によって異なりますが、無理なく返済できる返済負担率は30%以下といわれています。そのため、他社からの借入残高が多いと、新たに住宅ローンの返済が加わることにより返済負担率が上がってしまい、審査に落ちる可能性が高くなります。

融資する金融機関側としても、すでに他社からの借り入れがあるにもかかわらず、これまで以上に返済額が増えることで家計を圧迫し、返済が困難な状態になることを不安視するからです。

また、他社からの借り入れがなくても、収入に対して借入希望額が多い場合は返済負担率が高くなるため、審査の結果によっては希望する金額まで借りられない可能性もあります。

収入が安定していない
住宅ローンの審査においては「安定かつ継続した収入があること」が求められます。そのため、勤続年数が短い人は今後も引き続き安定した収入が保障されているかどうかという面で審査に不利に働く可能性があります。同様にパートやアルバイトなど非正規雇用の場合、正社員に比べ雇用契約が解除される可能性が高いと思われやすいため、審査に通りにくい点は否めません。

金融機関の中には申込条件に勤続年数(2年以上など)を定めているところもありますので、申し込む際には年収や勤続年数の条件が明記されていないかを確認しましょう。

年齢条件を満たしていない
どの金融機関も、申込条件に年齢の制限を設けています。具体的な年齢は金融機関によって異なりますが、「申込時(もしくは契約時)年齢が20歳以上65歳未満、かつ完済時年齢が70歳未満」などと明記されています。

住宅ローンは借入金額が高額なローンということもあり、多くの銀行が20歳以上を条件としているため、10代で申し込むのは難しいでしょう。

また、60歳以上でも申し込める住宅ローンはありますが、完済時年齢までに返済できるかが問題です。返済期間が短くなれば、1ヶ月あたりの返済額は多くなり、返済負担率(返済比率)の条件を満たさない可能性も高くなるためです。

個人信用情報に問題がある
住宅ローンにかかわらず、金融機関は融資の申し込みを受けた際、国内に3つ存在する「信用情報機関」に照会をかけます。

「信用情報機関」には、ローンの申し込みや利用状況のほか、信用事故情報が登録されています。照会の結果、信用事故情報が登録されていることがわかった場合、審査に通ることは難しいと考えたほうがいいでしょう。

信用事故情報とは、延滞や債務整理などの情報のことで、5年~10年間登録されます。過去に信用事故を起こしているなら、その情報が消えるまで住宅ローンの申し込みを控えるほうが賢明です。

健康状態に問題がある
一部の金融機関を除き、ほとんどの金融機関では住宅ローンを利用するにあたって、団体信用生命保険への加入を必須としています。

団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡もしくは高度障害の状態になったときに、その後の住宅ローンの返済を保険金で支払う目的で加入するものです。

団体信用生命保険も生命保険の一つですので、加入する際には告知が必要です。そのため、直前に大きな病気をしたことがある、もしくは持病があるなどの理由で団体信用生命保険に加入できない場合、利用できる住宅ローンは限られてしまいます。

購入する物件の担保評価が低い
住宅ローンでは、購入する物件を金融機関に担保として提供しなければなりません。なぜなら、契約者が何らかの理由で返済が困難な状態に陥った際、金融機関は担保としている物件を売却し、換金して融資額の回収にあてるからです。

購入する物件が新築の場合はそこまで問題になることは多くありませんが、中古物件で建物の担保評価が低い場合は、希望する借入額まで借りられない可能性があります。

特に旧耐震基準の築古物件は、住宅ローンの審査に通りにくく、現金で購入するケースが多く見られます。

住宅ローン審査に落ちてしまった場合の対処法は?

住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、どのような対処法が考えられるのでしょうか。

ここからは、住宅ローンの審査に落ちてしまった際の対処法について紹介します。

別の金融機関で住宅ローンを申し込む
住宅ローンを申し込み、審査に落ちてしまった場合は、別の金融機関への申し込みを検討しましょう。
審査基準は金融機関によって異なるため、1つの金融機関で審査に落ちたとしても、別の金融機関に申し込むことで審査に通る可能性があります。

ただし、金融機関は審査に落ちた原因を教えてくれませんので、新たに別の金融機関に申し込む際には、何が審査に落ちた原因だったのかを自分で分析し、改善することも忘れないようにしましょう。

頭金を多く入れる
頭金を入れずにフルローンを組むより、少しでも頭金を多く入れることで借入金額が少なくなるため、住宅ローンの審査に通る可能性が高くなります。

もし、親族などから援助を受けられるなら、積極的に利用するとよいでしょう。

頭金をどのくらい入れるかについては人それぞれですが、一般的には住宅ローン破綻などのリスクを軽減するためにも2割程度の頭金を用意することが推奨されています。

とはいえ、貯蓄金額すべてを頭金に回すことはやめましょう。住宅ローンの利用には、物件の購入金額以外に、住宅ローンを利用するための諸費用がかかります。そのほか、引っ越し費用や家具の購入費用も必要です。

また、一時的に収入が少なくなったときのための生活防衛資金も考えておかなければなりません。最低でも毎月の生活費の3ヶ月分は手元に置いておき、それ以外の余剰資金から頭金の額を決めるようにしましょう。

より安い物件を検討する
返済負担率が高くなる場合は、購入する物件を再検討することも考えましょう。

目安として返済負担率が30%以上になると、住宅ローン破綻のリスクが高まるといわれています。

そのため、返済負担率を計算した結果が30%以上になるなら、今よりも安い物件を買うことを検討したほうがよいでしょう。

ただし、いくら安くても、あまりにも古すぎる物件だと担保評価が低く、住宅ローンの審査に通りにくくなる可能性があるため注意が必要です。

ペアローンや収入合算、親子リレー返済を検討する
共働き世帯なら収入合算もしくはペアローンを検討してみましょう。

ペアローンや収入合算は、夫婦や親子の収入を合わせて申告するため、借入可能額が上がり、審査にも通りやすくなります。

ただし、収入合算は合算する側が合算される側の連帯保証人にならなくてはなりません。夫婦で収入合算をして住宅ローンを組んだ場合、たとえ離婚したとしても、連帯保証人契約は残ります。

ペアローンは収入合算と異なり、それぞれが契約者となって住宅ローンを組む方法のため、ローン契約が2本になります。諸費用が2倍になることや団体信用生命保険で保障される範囲はそれぞれの残債部分であること、互いの連帯保証が必要な点に注意が必要です。

収入合算やペアローンを利用する場合は、ローンを組んだ後に出産などで収入が減ってしまうリスクや、離別・死別などの可能性を考慮しておく必要があります。

たとえば、離婚により住宅ローンを一本化する必要性が生じた場合、一方の収入によっては審査に通らない可能性もあります。

親との同居を考えているなら、親子リレー返済も有効です。親子リレー返済とは、親と子の2世代にわたって返済を行う方法で、返済期間が長く取れるメリットがあります。ただ、親子リレー返済には、親が亡くなった後も住宅ローンを支払う必要がある点や、購入した住宅の名義変更を行う際に贈与税が発生するリスクがあるなどのデメリットがあることも知っておきましょう。

時間をおいて再度住宅ローン審査を受ける
年齢や勤続年数のほか、健康状態や信用事故などの問題は、時間が経てば解決する場合もあります。

年齢や勤続年数が申込条件に満たないなら、申込条件を満たすまで待って再度申し込むことで審査に受かる可能性があります。また、病気が一時的なものなら、完治して一定期間が経過すれば団体信用生命保険にも加入できるようになるでしょう。

信用事故情報も一定期間経てば消えますので、消えたことを確認してから申し込むことをおすすめします。

住宅ローン審査が不安な人が行うべき対策とは?

住宅ローンを申し込んでも審査に通らないのではないかと不安に感じているなら、事前に以下の対策を行っておきましょう。

これらの対策を行っておくことで、審査に通りやすくなる可能性があります。

できる限り頭金を用意する
頭金を用意することは、審査に通りやすくなるだけでなく、毎月の返済額を少なくし、金利負担を抑える効果もあります。

頭金を余裕のある範囲内で準備するほか、親や親戚を頼ってみるなど、資金をできるだけ用意することを考えてみましょう。特に両親や祖父母など直系尊属から援助を受けられるなら、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」が利用でき、最大1,000万円までが非課税になります。

審査期間中の新たな借り入れや転職を避ける
住宅ローンの審査は基本的に仮審査と本審査の2段階で行われます。そのため、仮審査に通過したとしても、本審査期間中に転職や他社からの新たな借り入れを行うと本審査に通過しない可能性が高くなります。

住宅ローン申し込み後は、本審査の結果が出るまで申込時に申告した内容に変化がないように気をつけておきましょう。

事前に信用情報を確認する
自分の信用情報がどうなっているかは、本人が信用情報機関に情報開示の請求を行うことにより知ることができます。インターネットで簡単に行え、手数料も1,000円程度ですので、信用情報に不安があるなら事前に確認しておきましょう。

信用情報機関にはCICやJICCがあり、それぞれの加盟会員から登録される信用情報や信用情報機関独自が収集する情報を保有しています。

CICではインターネットもしくは郵送での情報開示請求を受け付けています。インターネットで申し込めば、パソコンやスマートフォン上ですぐに開示報告書を見ることができ、手数料も500円で済みます。郵送の場合だと、開示報告書が到着するまでに10日程度かかるほか、手数料が1,500円かかるため、インターネットでの申し込みがおすすめです。

JICCでは、スマホアプリでの情報開示請求が可能です。専用のアプリをダウンロードし、本人認証、個人情報の入力、手数料の支払いを行うことで、アプリ上で開示結果を確認できます。開示結果は郵送でも受け取れますので、自分に合った方法を選択しましょう。

(参考)
・情報開示とは?|CIC

・本人による開示申し込み(スマホ申込)|JICC

まとめ

住宅ローンの審査に落ちる理由としては、申込者の年齢や収入状況、健康状態や信用情報などといった本人の問題のほか、購入する物件や返済負担率といった問題が考えられます。

もし、住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は、申し込む先の金融機関の変更や、頭金を多く入れて返済負担率を下げる、また、時間を置いて再度申し込むなどの対処法を検討してみましょう。