広尾の天現寺橋交差点すぐ、明治通り沿いに、2023年夏にのれんを掲げた1軒の鮨店が注目を集めている。

気になる新店『鮨 うらの』の実力はいかに!


一流の仲買に愛される、新しき鮨の名店

今年7月、広尾で独立を果たした浦野博正さん。檜のカウンターに漆喰の壁と和の趣を湛える店内は静謐な雰囲気が漂う


「フジタ水産」の藤田浩毅氏を始め、「登美粋」の西野伸行氏など豊洲の名だたる仲買の主人らが目をかける、成長株の鮨職人が浦野博正さん。今年の7月、広尾にオープンした『鮨 うらの』の大将だ。

ドイツはミュンスターで鮨を握り、帰国後は恵比寿の鮨店を仕切ってきた浦野さんだが、その技術はほぼ独学。

鮨に関する本を読み、これぞという鮨店を食べ歩き、理想とする握りを想定しつつ、その味に近づけるべく日々研鑽を積む。

コツコツと繰り返し行ってきた鮨への真摯な姿勢が、同じく魚と真剣勝負の毎日を送る仲買の方々の琴線に触れたのだろう。


「フジタ水産」の凄みを物語る、ピンのまぐろと向き合う愉悦


「藤田さんのまぐろは食感がふわふわなんです」とは浦野さん。

写真は境港であがった天然本鮪の中トロ。しっとりと脂がのっていて美味。


「フジタ水産」社長 藤田浩毅氏より
「積極的に新規は取らないけど、意識の高い人は応援したい」

修業先の仕事をそのまんま、は大嫌い。もっと美味しくを考える人がいい。

浦野君は、言われたことが次回できている。開店時に言ったのは「美味しいけど面白くない」。でも今は構成に緩急が付き、面白いお店になってきました。


ねっとりと口内を満たす甘海老に、さすがは「登美粋」と唸るばかり


甘海老は石川県産のメスのみを使用。

昆布締めにした後、包丁でよく叩き、ねっとりとした旨みを更に引きだしてから握っている。


「登美粋」会長 西野伸行氏より
「一流店の半分の価格で同等のネタを仕入れる努力は凄いこと」

コース4〜5万円の高級店が使う魚は仕入れ値も高い。普通は「無理です」と諦めるけど、“うらの”はコース2万円なのに同じ魚を仕入れている。

それは本人が頑張れるかどうかの話。彼のその努力と熱意は応援したくなりますね。




「登美粋」から仕入れる「ニタリ鯨の尾の身のお刺身」。上にのせた薬味は浅葱と生姜を叩いたもの。



コハダは「旭水産」から仕入れている。撮影日は熊本天草産。料理はすべて20,000円のコースから


コースでは、先の「フジタ水産」の天然本まぐろや「登美粋」の海老に鯨、「旭水産」「大力商店」など一流鮨店御用達の鮨タネが次々と登場する。

それでいてお値段は高級店のおよそ半額というのも良心的。更なる高みを目指す期待の一軒だ。


■店舗概要
店名:鮨 うらの
住所:渋谷区広尾5-8-13 グランディール広尾 1F
TEL:03-6277-4454
営業時間:[一部]18:00〜
     [二部]20:30〜
定休日:水曜、日曜
席数:カウンター7席


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