ワキ汗によるニオイを専門医に聞く原因&解決策

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 夏のお困り事のひとつに「汗によるニオイ」があります。その原因は、“ワキガ”や“多汗症”かもしれません。なかなか個人で対処しきれず、自分では気づきにくいのも特徴で、遺伝や生活習慣、ストレスなどによって発症することがあります。本記事では、それぞれの治療法の特徴やデメリット、注意点について、共立美容外科の井田雄一郎さんに聞きました。

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◆遺伝や生活習慣、ストレスや緊張でもワキガに…原因を知ることも大事

 汗によるニオイが原因で悩む人は多く、「ワキから強いニオイがする」「服に黄ばみや白い粉が付く」「人と接することに不安や恐怖を感じる」「ワキの下が湿っている」など様々です。これらの悩みは、自分だけでなく周囲の人にも影響を与えることがあるため、ワキガや多汗症は、自己肯定感や自信を低下させるだけでなく、対人関係や仕事にも支障をきたす可能性があります。そのため、適切な対策を取ることが大切です。

 ワキガのニオイは、アポクリン腺から出る汗に含まれる皮脂が細菌に分解されることで発生します。細菌の種類や分解する物質によって、ニオイは変化します。一般的には、鉛筆の芯や古い雑巾、カビのようなものから、カレーやクミンといった香辛料、腐った卵や玉ねぎといった硫黄のようなニオイが挙げられますが、個人差や感じ方にも影響されるため、一概には言えません。

 ニオイの強さは、遺伝的な要因や生活習慣(食事や飲酒)、ストレスや緊張などによって異なります。場合によっては、自分で対処できることもあります。例えば、毎日シャワーを浴びて汗や皮脂を洗い流し、ワキの下を清潔に保つことが基本です。ワキ毛は汗や皮脂を吸収して細菌の温床になりますので、毛を剃ることで、ニオイの発生を抑えることができます。

 また、食事の改善も効果的です。動物性脂肪や香辛料、ニンニクや玉ねぎなどの刺激物は避け、野菜や果物、海藻や大豆などのアルカリ性食品は摂取することで、体内の酸性度を下げてニオイを抑える効果があります。

一時的な対策としては、市販されている制汗剤やデオドラントも有効です。さまざまな種類があるため、自分の肌質や好みに合わせて選びましょう。

◆SNSの普及で若年層も施術を…自分に合った治療法を医師と相談することも重要

 これらの対策だけでは効果が不十分な場合や、症状が重度である場合は、美容外科での治療を検討してみましょう。効果的な治療法がいくつかあるので、それぞれの特徴やデメリットについて紹介します。

【美容外科でのワキガ治療法】

・ボトックス注射:ワキにボトックスという薬剤を注射することで、アポクリン腺の働きを一時的に止める方法です。汗の分泌を抑えることでニオイも減らすことができます。メリットは、手術ではないためダウンタイムがなく、費用も比較的安いことです。デメリットは、効果が半年から1年程度しか持続しないため、定期的に注射を受ける必要があります。

・ミラドライ:ワキにマイクロ波という電磁波を照射することで、アポクリン腺やエクリン腺を破壊する方法です。汗腺を減らすことで、ニオイも減らすことができます。メリットは、効果が永久的に持続することです。デメリットは、費用が高いことや、照射後に腫れや痛みが生じることがあります。

・ワキガ手術:ワキの皮下組織にあるアポクリン腺を切除する方法です。汗腺を除去することでニオイも除去することができます。メリットは、効果が永久的に持続することです。デメリットは、費用が高いことや、手術後に傷跡や凹凸が残る可能性があることです。

 さまざまな治療法があるなか、ワキに傷跡をほとんど残さない治療法もあるようです。

「共立美容外科が特許を取得しているローラークランプという医療器具をワキの下に挿入し、汗のもととなる汗腺を吸引する超音波ローラークランプ法という手術がおすすめしています。これは切除法とは違い、ワキにほとんど傷跡を残さずに効果的に汗腺を吸引できる治療です」

 またSNSの普及で、近年は若年層も施術を受けるケースもあるそうです。

「近年はSNSの流行もあり、幅広い年齢層の方がご相談に来られます。未成年のお子さまが親御さんと来られることもあります。また、ミラドライといってマイクロ波という電磁波を照射することで汗腺を破壊する治療は、ダウンタイムが少なく、学校や仕事を気にせず受けられます」

 ワキのニオイを解決するためには、自分の体質や程度を知り、それに合わせて適切な対策を立てることが大切です。自己ケアから医療的なアプローチまで、その範囲は広くあります。リスクや注意点を理解した上で、専門家による適切な施術を受けるも重要です。

【監修者】共立美容外科の井田雄一郎さん

2000年、金沢大学医学部医学科を卒業。2001年、東京女子医大第二病院形成外科に入局。その後、大手美容外で院長を務める。2023年、共立美容外科に入職し、浜松院の院長に就任。