21年9月、本誌が目撃した玉緒

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夫の浮気や、急逝、残された借金……そんな波乱万丈を明るく乗り越えてきた、女優・中村玉緒(84)。8月22日発売の本誌が、その思いもよらぬ現在を報じた。

今年2月、玉緒は名古屋出張の際にホテルの部屋で転倒し怪我。現在は老人ホームに入居しているというのだ。玉緒が入居しているのは、自身がイメージキャラクターを務める企業が運営する施設。ホテルのような内装で、入居者が楽しめるさまざまなレクリエーションも行われるようだ。事務所関係者は本誌に対して、玉緒の老人ホーム入りを認めている。

充実しているように見える施設での暮らし。しかし、玉緒の心は穏やかではないという。本誌の取材に対し、玉緒の古くからの友人であるBさんはこう語っている。

「施設に入居することになったのが彼女にとってはショックだったようで、憔悴していました。もともと細かったのがさらに痩せ衰えてしまったようで……。個室に閉じこもり、寝たきりで過ごすことも多くなったようです。お嬢さんがお見舞いに来られたことはないそうです」

■’20年には長女が車いす生活、81歳で直面した“逆介護”

子煩悩で知られた玉緒。特に長女のAさんとの仲はとてもよく、母子そろっての話好き。一度話し出すと止まらなくなるといい、明石家さんまが“あの2人の前では俺も黙る”と語ったというエピソードもあるほどだ。

’00年に俳優だった長男の鴈龍さん(享年55)も所属する個人事務所を設立した玉緒。Aさんは事務所の社長を務め、20年にわたり二人三脚で歩んできた。しかし、’20年11月に玉緒の兄・坂田藤十郎さんが亡くなると、直後Aさんが体調不良のために玉緒の個人事務所の代表取締役を辞任。Aさんは車いす生活となり、当時81歳だった玉緒が娘を”逆介護”することになったことを本誌は報じている。

それほどまでに面倒をみてくれた母が老人ホームに入居したとなれば、見舞いに行くのは当然のように思える。しかし、この母娘の間にはいつしか溝が生まれていたというのだ。

「きっかけとなったのは、’19年に鴈龍さんが”孤独死”してしまったことです。玉緒さんは愛する息子・鴈龍さんを一人前の俳優にするため、制作サイドに頭を下げて回ったり、少しでも息子の出番を増やすために奔走していたそうです。

しかし、鴈龍さんはなかなか役者として成功せず、経済的にも玉緒さんの援助に頼り切りになっていた。さすがにこのままでは……と、2017年ごろに、玉緒さんは援助をやめました。しかし、この援助の打ち切りについて、玉緒さんとAさんの間には温度差があったようです。鴈龍さんの死後、母娘の間で言い争いなどが増えるようになったと聞いています」(芸能関係者)

■’21年には長女との”同居”を解消

それまでは同じタワーマンションの別室に暮らしていた二人。しかし、不和によるものか、ローンの返済が終わったことを機に玉緒が家を出て一人暮らしをすることになったという。

本誌が’21年10月に直撃した際、Aさんはこう別居を認めていた。

「本人(玉緒)が越したがったから、『どうぞ』と……。別に何もないです」

その後、’22年2月、Aさんが玉緒の麻雀仲間で元運転手のCさんと再婚していることも明らかになった。このことも、母娘の亀裂をより深いものにしていたようだ。

「Cさんが雇い主の玉緒さんよりもAさんを優先するようになっていったことで、この2人と玉緒さんの間には、少しずつ溝ができるようになっていったんです」(玉緒の知人)

さらに、今年5月、本誌の取材によりAさんが個人事務所の社長を辞任した半年後の’21年春に「株式会社勝プロダクション」を設立していたことも発覚した。「勝プロダクション」は、’67年に勝新太郎さんが設立した会社だが、放漫経営により’81年に倒産してしまう。

「のこされた負債は12億円ともいわれ、’97年に勝さんが逝去した後、玉緒さんはその返済に追われました。玉緒さんは夫の借金を完済したことを誇りにしていましたから、勝手にまったく同じ名前の会社をAさんが立ち上げたことを“裏切り”に感じたのではないでしょうか」(前出・玉緒の知人)

8月中旬、本誌はAさんに玉緒さんとの現在の関係や母の老人ホーム入りについて聞くために声をかけたが、「私にはわからないんで……」と答えるだけだった。

玉緒にとって家族がかけがえのないものだったことは間違いない。『婦人公論』2021年12月14日号のインタビューで玉緒は、家族で過ごした思い出が生きる支えになっていると語っている。

《2人の子どもに恵まれ、家族4人でいろいろなところへ行きました。主人は子煩悩でしたから、微笑ましい光景がパーッと思い浮かんできます。あれが幸せでなくてなんだろうと心がほっこりしてくる。すると私の人生は素晴らしいと確信することができて、生きる力が湧いてくる》

現在は回復傾向にあるという玉緒。母娘の絆も戻ることを祈るばかりだが――。