夏の甲子園で最もホームランから遠ざかっている県は? あの劇的アーチが最後...
今夏の甲子園は、例年に比べて本塁打が少ない印象がある。注目のスラッガートリオのうち、まだ佐々木麟太郎(花巻東)にアーチは出ず、真鍋慧(広陵)、佐倉侠史朗(九州国際大付)は不発のまま姿を消した。
調べてみると、2回戦終了時で今大会の本塁打数は16本。これは2011年(第93回大会)の18本塁打を下回るローペースだ。そんななかで、記録を紐解きながらホームランの話題をひとつ。
立命館宇治戦で本塁打を放った神村学園の今岡歩夢
大会第4日の1回戦、神村学園(鹿児島)対立命館宇治(京都)戦で、神村学園の今岡歩夢が右越えに大会第6号の本塁打を記録した。チームを10対2の大勝に導く一発となったが、これは夏の鹿児島県勢として2008年の第90回大会で鹿児島実・森田祐司が報徳学園(兵庫)戦で近田怜王(元ソフトバンク)から放って以来、じつに15年ぶりの本塁打だった。
今大会が始まる前の時点で、夏の甲子園で本塁打を記録していないブランクが長い都道府県のリストは以下のとおりである。さて、最もブランクの長いのはどこだろうか?
都道府県
1. ? ? ?
2.鹿児島/2008年(第90回)/森田祐司(鹿児島実)
3.岡山/2012年(第94回)/藤井勝利(倉敷商)
4.沖縄/2014年(第96回)/安里健(沖縄尚学)
5.鳥取/2016年(第98回)/浜智也(境)
徳島/2016年(第98回)/日野洸太郎(鳴門)
鹿児島に次いでブランクが長かったのは岡山で、最後の本塁打は2012年。その次は沖縄で2014年が最後。鹿児島も含めこれらの県は、とくに本塁打が少ないイメージでもなく、意外な顔ぶれが上位に並んでいた感がある。
今大会の2回戦終了時点で岡山はおかやま山陽、沖縄は沖縄尚学が勝ち残っており、鹿児島とともに上位のランキングから抜け出す可能性もあるが果たしてどうか。
2007年夏の甲子園決勝で逆転満塁本塁打を放った佐賀北の副島浩史
さて、最もブランクの長い都道府県はどこか。
正解は、佐賀県。しかも最後の本塁打は、甲子園の名場面としてあまりにも有名な一発である。
2007年夏の第89回大会、佐賀北と広陵との決勝。佐賀北は広陵に4点リードを許して迎えた8回裏、押し出し四球で1点を返し、なお満塁で主砲・副島浩史が起死回生の逆転ホームラン。佐賀北はミラクル初優勝を果たし、「がばい旋風」は流行語にもなった。
以後、佐賀県勢の甲子園での成績は決して芳しいものではないが、あのグランドスラム以来、佐賀県勢からは1本も本塁打が飛び出していない。
ちなみに、春のセンバツを含めてみても、最も本塁打から遠ざかっているのが佐賀県で、2004年の第76回大会で佐賀商の飯田尚樹が放ったものである。
今夏の大会、佐賀代表は初出場の鳥栖工が、松延兄弟バッテリーを中心に1勝を挙げる健闘を見せたが、本塁打は生まれなかった。劇的グランドスラムのあとに続く佐賀県勢の本塁打は、来年以降に持ち越しとなった。