サマーマイルシリーズ第3戦のGIII関屋記念(新潟・芝1600m)が8月13日に行なわれる。

 昨年はウインカーネリアンが人気に応えて勝利を飾ったように、過去10年の結果を見ても、1番人気は3勝、2着2回、3着3回と、比較的信頼度が高い。しかしながら、配当面を見ると、馬連は昨年が1万1190円、一昨年が6710円、3年前が7230円と高配当の連続で、過去10年すべて1000円以上の好配当をつけている。

 3連単にしても、すべて万馬券。つまり、人気馬が確実に結果を出している一方で、穴馬の台頭も頻繁に見られるということだ。実際、2013年、2018年を除いて、6番人気以下の伏兵が馬券圏内(3着以内)に突っ込んできている。

 そうなると、今年も波乱ムードが漂うが、同レースにおいてはどんな馬が狙い目になるのか。日刊スポーツの松田直樹記者はこんな見解を示す。

「新潟・外回りの芝マイル戦は、最後に658.7mの直線が控えています。日本最長の直線だけに、末脚勝負をイメージしがちですが、関屋記念はそうしたヨーイドンの競馬にはなりにくいんですよ。

 意外と求められるのは、スピードの持続力。過去10年を見ても、2015年のレッドアリオン、2017年のマルターズアポジーが逃げ切り勝ち。2013年のレッドスパーダ、2021年のロータスランド、2022年のウインカーネリアンが2番手から押しきっています。昨年、12番人気で2着に入ったシュリも逃げ馬でした。

 とにかく、半数の5勝が4角2番手以内とというのは、注目すべき点。上がり32秒台が散見されることで、"新潟・芝外回り=瞬発力勝負"といった概念にとらわれすぎると、的中を逃してしまうと思います」

 そして今年も、現在の馬場状態からそうした傾向が続きそうだと松田記者は言う。

「夏の新潟開催は2週目に入っても、高速決着が継続。先週の日曜日には芝2000mの3歳未勝利戦でレコードが飛び出し、2歳オープンのダリア賞(芝1400m)、3歳以上2勝クラスの驀進特別(芝1000m)も、昨年より速いタイムでの決着となりました。

 そういった、前が止まりにくく、速い馬場は今週も変わらないでしょう。となると、今年も逃げ・先行馬に穴馬候補が隠れていると思います」


関屋記念での勝ち負けが期待されるラインベック

 そこで、松田記者はその候補となる馬の名前を2頭挙げた。

「まずは、ラインベック(せん6歳)を抜擢したいです。父ディープインパクト、母アパパネと、両親がともに三冠馬という超良血。しかし、3歳時には期待ほどの成績を上げられず、その後もなかなか安定した成績を残せませんでした。

 そのため、個人的には走っても、走っても人気しない印象があります。1番人気を背負ったのは、3着だった3歳初戦の若駒S(京都・芝2000m)が最後。馬券的にはオイシイ馬だと思います。

 今回も過去のイメージからそこまで人気は上がらないでしょうが、昨秋のオープン特別・信越S(新潟・芝1400m)の前にせん馬となって以降、成績自体は安定してきています。

 直近4戦は1勝、2着2回。大きく敗れたのは、重馬場だった2走前のオープン特別・六甲S(9着。3月26日/阪神・芝1600m)だけ。良馬場のレースでは、負けてもすべて惜敗でした。

 しかも、前走のオープン特別・米子S(2着。6月17日/阪神・芝1600m)では、自己最速の1分31秒9という走破時計をマーク。位置取りはこれまでよりもやや後ろになりながらも、持ち前のしぶとさを生かして最後まで伸び続けていました。

 前半1000m、56秒3という速い流れを経験したことも、今回につながるはず。先行しての粘り込みに期待したいです」

 松田記者が注目するもう1頭は、重賞連覇を狙う馬だ。

「セルバーグ(牡4歳)です。前走のGIII中京記念(7月23日/中京・芝1600m)では8番人気で逃げきり勝ち。メンタルの安定が、前々走の米子S(12着)からの巻き返しにつながりました。

 減量騎手を起用していた条件馬の時代から、逃げを含めてマイペースの先行に持ち込めば、タフな走りを見せていました。好位に控えても競馬ができるタイプで、前目でリズムよく走ることができれば、ハナにこだわることもありません。

 前走で2着に封じ込めたのは、復調著しく、今回も人気になりそうなディヴィーナ(牝5歳)。中京記念の結果がフロック視されるようなら、ここでも侮れません」

 激戦必至の関屋記念。人気馬に決め手勝負の馬がそろうなか、今年も先行力を武器にした伏兵2頭が波乱を呼ぶかもしれない。