車庫証明とは? 必要書類、取得方法まですべて解説します
車を購入したら、住所地を管轄する警察署に車庫証明を提出します。ディーラーに依頼すると手数料がかかりますが、個人で手続きを行うことも可能です。車庫証明は引っ越しなどで住所が変わるときにも必要なので、流れを押さえておくとよいでしょう。この記事では、車庫証明の手続きの流れや必要書類などについて紹介します。
車庫証明とは
車庫証明は、車の保管場所があることを証明する書類で、正式には「自動車保管場所証明書」といいます。車の所有者は車の保管場所を確保して、その事実を証明する書類を管轄の警察署に提出しなくてはなりません。このことは「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」の第三条から第五条に定められています。
なお、一部に車庫証明の提出が要らない地域もありますが、基本的には車を所有する際に必要な手続きと考えておきましょう。
※参考:自動車の保管場所の確保等に関する法律|e-Gov法令検索
車庫証明が必要になるとき
以下のケースに該当する場合、車庫証明の手続きが必要です。
・新規登録:新車または中古車を購入したとき
・変更登録:引っ越ししたとき
・移転登録:車の所有者が変わるとき
陸運支局で各種登録を行う際は、「自動車保管場所証明書(車庫証明書)」を提出しなくてはなりません。そのため、事前に警察署に申請して書類交付を受けることが必要です。住所や所有者が変わらず保管場所だけが変わるケースおよび軽自動車の登録には、車庫証明ではなく「保管場所届出」の手続きを行います。
なお、車庫証明不要地域では車庫証明・保管場所届出のいずれの手続きも不要です。車庫証明不要地域とは2000(平成12)年6月1日時点で村だった地域を指します。これには、基準日においては村だったけれども、市町村合併により村ではなくなったころ、現在は町や市になったところも車庫証明不要の地域に含まれます。
そのため、今では村ではないけれど車庫証明が不要となる地域もあり、判断が難しいところです。自分が住む地域が車庫証明不要地域に該当するかは、自治体に問い合わせるのが確実です。
車庫証明を取得できる条件
車庫証明を取得するには、保管場所が以下の条件を満たす必要があります。
1. 駐車場、車庫、空き地等道路以外の場所であること
2. 使用の本拠の位置から2キロメートルを超えないこと
3. 自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること
4. 保管場所として使用できる権原を有していること
出典:保管場所(車庫)の要件|警視庁
「使用の本拠の位置」というのは自宅(法人の場合は事業所)のことで、直線距離で2キロメートル以内に保管場所を確保することが条件の一つになります。
車庫証明にかかる費用
車庫証明にかかる費用の目安は以下のとおりです。
【普通自動車】
・保管場所証明申請手数料:2,100円
・標章交付手数料:500円
【軽自動車】
・保管場所届出:手数料なし
・標章交付手数料:500円
上記の手数料は自治体で異なる場合があるため、住所地の警察署で確認するようにしてください。このほかに、月決め駐車場などを利用していて管理会社や貸主に「保管場所使用承諾証明書」を発行してもらう際に手数料がかかることがあります。
車庫証明を取るときの必要書類
ここからは、車庫証明の手続きに必要な書類について解説します。
普通車購入時
普通車の車庫証明手続きに必要な書類は以下のものを1通ずつです。
・自動車保管場所証明申請書
・保管場所標章交付申請書
・権原書面
・保管場所の所在地および配置図
権原(けんげん・けんばら)とは法律上の原因・根拠のことで、賃借権や地上権などがこれに該当します。
車の保管場所が自宅車庫など自己所有の場合は「保管場所使用権原疎明書面(自認書)」、月極駐車場など他者所有の場合は「保管場所使用承諾証明書」を権原書面として提出します。賃貸借契約書のコピーが認められるケースもあるので、記載内容を確認してみましょう。
上記の書類は警察署の窓口で受け取るか、警視庁のWebサイト(下記リンク)でダウンロードできます。記載例も掲載されているので、目を通しておくことをおすすめします。
※参考:警視庁「保管場所証明申請手続」
軽自動車購入時、車庫変更をするとき
軽自動車の購入時や車庫の変更時には、次の書類をそれぞれ1通ずつ提出します。
・自動車保管場所届出書
・保管場所標章交付申請書
・権原書面
・保管場所の所在地および配置図
証明申請書が届出書になる以外、必要書類と入手方法は車庫証明の申請時と同じです。
車庫証明申請書の書き方
自動車保管場所証明申請書は下図のような書類です。警視庁Webサイトより引用・加工して紹介します。
1. 車名(メーカー名)
2. 型式
3. 車台番号
4. 自動車の大きさ(長さ・幅・高さ)
5. 自動車の使用の本拠の位置(自宅住所、法人の場合は事業所の所在地)
6. 自動車の保管場所の位置(駐車場の所在地)
7. 保管場所標章番号
8. 管轄する警察署
9. 申請者欄(車の使用者の住所・氏名・電話番号)
10.使用権原欄(車の保管場所の所有者について)
書類に記入漏れなどの不備があると申請を受け付けてもらえません。書き漏れや間違いがないように気を付けましょう。
車庫証明取得の流れ
まずは要件を満たす保管場所を確保し、必要書類を用意します。申請書に記載が必要な、メーカー名や型式・車台番号などの車両情報は車検証を見ながら記入しますが、新車購入で手元に車検証がない場合はディーラーに確認してください。
駐車場を借りる場合は保管場所使用承諾証明書に貸主または管理会社の署名が必要です。
車庫証明の申請は、車の保管場所の所在地を管轄する警察署で行います。提出書類と申請手数料を持参し、交通課の窓口で手続きしてください。受理されると「納入通知書兼領収書」が渡されます。これは車庫証明書を受け取る際の引換券であるため、なくさないように注意しましょう。
申請から1週間程度で車庫証明書が交付されます。受け取りには「納入通知書兼領収書」と保管場所標章の交付手数料(約500円)が必要です。交付後の車庫証明は訂正ができないため、内容に誤りがないかその場で確認してください。受け取った保管場所標章は、忘れないうちに車の後部ガラスなどに貼るようにしましょう。
車庫証明が取れないときの対処法
前述のとおり、車庫証明を取るには要件を満たした保管場所を探す必要があります。申請後、警察は現地調査を行って内容に誤りがないかを確認します。
間違えた内容で申請すると車庫証明が取得できないばかりか、虚偽の申請をしたことで20万円以下の罰金が科される可能性もあります。自宅に駐車スペースがない場合は近隣の月極駐車場を契約するなどして、正しい内容で申請を行うようにしましょう。
車庫証明取得には代行サービスもある
車庫証明の申請手続き自体はそれほど難しいことではありませんが、書類作成や記載事項の情報集めには手間がかかります。警察署は平日しか申請を受け付けておらず、会社勤めの人が自分で申請するとしたら仕事を休まなくてはなりません。
手間をかけず確実に車庫証明を取得したいと考えるなら、代行手数料を支払ってディーラーや販売店、行政書士に手続きしてもらうとよいでしょう。
まとめ
車庫証明書は「車の適切な保管場所がある」ことを証明する書類です。一部に車庫証明が不要な地域もありますが、基本的には車を購入したときや引っ越しをしたとき、車の所有者が変わるときには警察署に申請して、車庫証明を交付してもらう必要があります。
ディーラーや販売店に手続きしてもらうケースも多いですが、自分で申請すれば代行手数料がかかりません。定期的に車を買い替えている人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。