国道トンネル?岩だろコレ… 久留里線沿線に待ち受けていた“酷道”の罠 バイパスできれば回避?
房総半島のJR久留里線沿線を迂回するバイパス整備が進んでいます。このバイパス、国道410号現道の“酷道”区間を回避できるとされていますが、その現道はなかなか酷なものがありました。
バイパス開通で回避? 国道410号の“酷道”区間
千葉県房総半島の中部、国道410号「久留里街道」をバイパスする「久留里馬来田バイパス」の工事が大詰めを迎えています。JR久留里線に沿って小櫃川東岸の尾根を行く久留里街道に対し、バイパスは圏央道(木更津東IC)から平野をまっすぐ南下し、小櫃川西岸の丘陵を貫きます。その小櫃川西岸区間の建設が進められており、2023年度の開通が予定されています。
素掘りの「四町作第一隧道」。これでも国道だ(乗りものニュース編集部撮影)。
このバイパス、国道410号現道の「幅員狭小区間や特殊通行区間」を回避できることでも期待がかかっています。土砂崩落や路肩の決壊などがあるとされる区間ですが、その一部がまさに“酷道”なのです。
久留里街道のうちJR久留里線沿いの区間は、国道410号、465号と県道24号が重複していますが、上総松丘駅前後の君津市広岡と同市大戸見の2か所で国道410号が分岐します。このうち後者の分岐点は、集落の生活道路としか思えない雰囲気で、「この先大型車の通り抜けはできません」という看板も立っています。
この先でほどなくして待っているのが、「素掘りのトンネル」。坑門すらない、岩をくりぬいてモルタルで固めただけのトンネルで、クルマ1台が通るのがやっとの幅です。
この「四町作第一隧道」は、明治時代に開通した日本で2番目に古い現役の素掘りトンネルともいわれます。房総半島にはこうした素掘りトンネルが多数ありますが、まさか「国道」にあるとは……古くからあった道をとにかくつなげて、ひとつの国道として指定したといった感が否めません。
トンネルを抜けた先もクルマ1台がギリギリ通れる切り立った山道で、その先も集落内の狭隘区間が続きます。ここを抜けて小櫃川の西岸へと渡ると、久留里馬来田バイパス末端部の開通済み区間と合流します。なるほどバイパス整備が必要なわけだ、と思わずにはいられませんでした。
バイパス開通後も“酷道”通るハメに?
酷道区間を抜けた国道410号は、そのまま南へ山間部を抜け、鴨川市西部を経て房総半島の南端へと続いています。バイパス整備により圏央道と南房総のアクセスが強化され、新たな観光ルートが形成されることも期待されています。
一方、久留里街道も県道24号の単独区間となると、やがてJR久留里線から離れ、国道410号の東側を並行する形で房総丘陵を貫き、鴨川市街地へ通じています。東京などからの鴨川行き高速バスはこちらのルートを通っているほか、途中には近年、“SNS映えスポット”として人気が急上昇した「濃溝の滝」などがあり、観光シーズンには渋滞も発生します。
久留里街道、君津市大戸見旧名殿の国道410号分岐部(乗りものニュース編集部撮影)。
今回、国道410号と県道24号を行き来するうえで、カーナビに案内されたルートが前出の“酷道”区間でした。ルートは他にもあるものの、「国道」のため優先的に案内されるのかもしれません。バイパスが開通すれば、この区間は国道から格下げされる可能性もありますが、付近で国道410号と県道24号を行き来する場合、どこかしらで細道を通るのは変わらなさそうです。