大阪駅の北側のビジネス&商業拠点「グランフロント大阪」の西側に広がる広大なスペースに、「うめきた2期」再開発事業の「グラングリーン大阪」がその姿を見せ始めています。最新の進捗状況をレポートしましょう。

梅田スカイビルからみたうめきた2期エリア。手前の樹木はスカイビルの植栽ですが、「グラングリーン大阪」完成後には景色が一変するでしょう

先行開発区域「グランフロント」は2013年に開業

大阪駅の北側、旧梅田貨物駅にあたる約24haの広大なエリアの再開発が「うめきたプロジェクト」。鉄道4社7駅が乗り入れ、1日約250万人が行きかう西日本最大のターミナルエリアのポテンシャルを活かし、大阪、関西の発展をけん引し日本の国際競争力を強化する新たな拠点づくりを行うために、2002年からプロジェクトがスタートしました。

大阪市のホームページより

先行開発区域は「グランフロント大阪」と名付けられ2013年に開業。知的創造拠点「ナレッジキャピタル」を核として商業施設やオフィス、ホテル、住宅から構成された街が成熟しつつあります。キタエリアの新しい食事やショッピングのスポットとして多くの人々に親しまれています。

大阪駅とも直結し多くの人で賑わう「グランフロント大阪」のゲート部分

2期地区「グラングリーン大阪」が2024年に開業予定

この「グランフロント大阪」の西側で進められているのが「うめきた2期」の再開発事業です。2期区域は【「みどり」と「イノベーション」の融合拠点】がまちづくりの目標に掲げられており、名前を「グラングリーン大阪」と名付けることが2023年2月に発表されました。地区全体では約8haの「みどり」を確保し、新産業創出、国際集客・交流、知的人材育成を図り、イノベーションの創出を目指しています。

オフィスやホテル、住宅などの高層建築物は南街区と北街区にわけられ、中央部には都市公園が中心となった“森”が設けられていることが最大の特徴です。

2015年頃のうめきた2期エリア
2023年6月のうめきた2期「グラングリーン大阪」の状況

2015年ごろは広大な敷地にまだ何も建物が建っていない状態です。しかし、2023年には南街区の高層建築物が姿を見せ、地上ではドーム状の建築物が姿を見せ始めています。左手の3本のクレーンが伸びるビルは大阪駅に隣接する高層ビル「イノゲート大阪」です。

出典元:「グラングリーン大阪」うめきた公園(南公園)の完成イメージ

また、うめきた2期エリアには、大屋根のあるイベントスペース建設が計画されているうめきた公園も建設予定。最大1万人規模のイベントが開催可能となる予定です。

ラグジュアリーブランドの高級ホテルの進出予定

グラングリーン大阪には3つのホテルが開業を予定しています。南街区賃貸棟・西棟の2階を含む28-38階には日本には初進出となるヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」が2025年に、南街区賃貸棟・東棟の5~28階には阪急阪神ホテルズの「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が2024年下期の開業を予定しています。また、北街区賃貸棟には阪急阪神ホテルズが運営するヒルトンのライフスタイルブランドホテルである「キャノピーbyヒルトン」も2024年の開業を予定しています。

出典元:「PR Times」ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランドである「ウォルドーフ・アストリア」の完成予想図

JR大阪駅(うめきたエリア)が既に開業

グラングリーン大阪では、2023年3月にJR東海道線支線の新駅・大阪駅(うめきたエリア)地下ホーム)が開業しています。地上を通っていたJR東海道線支線を大阪駅北付近約2.4kmにおいて鉄道を地下化したもので、踏切がなくなることで西側の福島エリアとの利便性も改善されました。同時に「はるか」や「くろしお」といった関空&和歌山方面へ向かう特急列車と、おおさか東線の運行が開始されました。おおさか東線は久宝寺行きの始発駅となり、朝夕に時間帯には奈良行きの「直通快速」が運行され奈良方面へのアクセスが改善されました。

改札口には「顔認証」システムの改札が設けられています。定期券利用者が事前登録することで利用可能となります
大型スクリーンのある広場やデジタルサイネージによる情報発信も行われています。

「グラングリーン大阪」の地上には「うめきた地下口」と書かれた出入口が設けられているほか、既存の大阪駅と地下通路で連絡されています。

「なにわ筋線」が開業すれば関西空港への直通ルートが完成

グラングリーン大阪の大阪駅(うめきたエリア)からは現在建設中の新線「なにわ筋線」の列車も乗り入れることが計画されています。「なにわ筋線」はうめきたエリアと「JR難波駅」及び「南海本線・新今宮駅」をつなぐ新路線です。南海本線とJR阪和線との直通運転を実現することで大阪都心と関西国際空港とのアクセス性の強化、広域鉄道ネットワークの拡充に寄与する役目を持ち2031年春に開業を予定しています。

出典元:「大阪市」

周辺でも数々の再開発事業が進行中

うめきたエリア周辺では「グラングリーン大阪」以外にもいくつもの再開発計画が進行中です。まずグラングリーン大阪と隣接する場所に大阪駅新駅ビル計画として建設が進められているのが「イノゲート大阪」。大阪駅の直上、新改札口となる西口と直結する複合ビルで、オフィスのほか貸し会議室や飲食店がつくられ、2024年秋の開業予定です。

出典元:「PR Times」完成予想図と現在の様子。すでに外観は出来上がっています

さらにその南側、旧中央郵便局跡地につくられているのが「JPタワー大阪」です。地上38階建ての複合ビルにはオフィスのほか上層階にはホテルが入り、地下1階から6階までの商業施設は「KITTE大阪」として開業が予定されています。竣工は2024年3月、開業は2024年7月の予定です。

阪急大阪梅田駅に大規模な再開発計画がある

また阪急梅田駅にも大規模な再開発計画があります。大阪梅田駅と隣接し、うめきたエリアとも接している「大阪新阪急ホテル」が2024年度末頃に閉館し解体されることが発表されているほか、商業施設「阪急三番街」やオフィスビル「阪急ターミナルビル」の建て替えを検討されているとの報道がなされています。開業は2030年以降になるようです。

このほか、梅田周辺では大規模再開発事業の完成した姿もあり、タワーマンションやホテルが姿を現しています。2025年の万博もあり、一気に大阪の街も姿を変えていきそうです。

北区曾根崎の再開発では、大型タワーマンションとホテルが完成しています。

新緑が綺麗なグラングリーン大阪

公園スペースを繋ぐ歩道の姿と、新緑が綺麗なグラングリーン大阪
2023年6月 梅田スカイビルからの光景。10年後にはうっそうとした森が繁っているかもしれません

グラングリーン大阪の予定地では建築物の工事が急ピッチで進められている一方、木々の植樹も始まっています。冬場に植えられた木々が新緑を見せ始め、未来の姿を想像させてくれています。大阪キタの都心部に森が誕生するのも間もなくです。