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家事や育児、介護などの分担をめぐって、家族間で言い争いが増えて、いつのまにか一緒にいて心地よい存在だったはずの家族が「つかれる存在」になってしまった……そんな話を聞くことがよくあります。

どうして自分の不満が家族に伝わらないの? どうしたら「つかれない家族」になれるの? そんなふうに「つかれる家族」と「つかれない家族」を考察するこの連載。

数回に分けて、同性カップルの育児生活を紹介しています。いま日本にはいろいろなカタチの同性カップルファミリーがいますが、第1回は「里親養育家庭というカタチ。同性カップルならではのメリット」(記事はこちら)、第2回は「レズビアンカップルの里親生活」(記事はこちら)、第3回は「ゲイカップルの里親生活」(記事はこちら)、第4回は「実子というカタチ。レズビアンカップルと妊娠出産」(記事はこちら)、そして今回は、「レズビアンカップルの育児生活」を紹介します。

「育児をする女性同士のカップル」を取材


授乳も寝かしつけも、2人で手分けしながら


残業のない日は短時間デートでリフレッシュ


保育園にはシングルマザーとして入園


保育園の先生やママ友にカミングアウト


どんなカタチでも夫婦円満はいいこと!


新たな悩みの種も増え…


yadoさん、プチ家出!


言葉にして伝えることはとても大切!


壁にぶつかるたび、向き合ってきた2人



yadoさんが家族のために作った夜ごはん。yadoさんの料理の腕前はかなりのもの(写真提供:びんさん)

息子くんはお2人のことを「ママ」「yadoちゃん」と呼び方こそ分けてきましたが、それはわかりやすさのためで、認識としては「お母さん2人」なのだそう。小さい頃から彼にもわかりやすい言葉で説明されてきたので、パパも含め、家族の関係性はちゃんと理解しているそうです。

取材では、息子くんにも直接「ママが2人いること」について質問してみました。息子くんの答えは「困ったことはない。あ、でも、家に友達を呼ぶときは少し迷うな。ママが2人いることを理解してくれそうな子を選ぶ」とのことでした。

以前、遊びに来た息子くんの友達は、びんさんとyadoさんに向かって「僕にもママが2人いるんです。産んでくれたママと、育ててくれたママ。だから、なんか、嬉しいです」と言ったそう。学校の友達には「お父さんとお母さんと子ども」のご家庭が多いけれど、それとは違うカタチの家庭に育つ子どもだって、確実にいるのです。

いま息子くんには、気が合って、家に遊びにくる友達が何人かいます。びんさんとyadoさんは息子くんの学校生活や友達関係もかなりよく把握していて、普段から息子くんとしっかりコミュニケーションが取れている親子関係であることが感じられました。

親友のように、姉妹のように、右手と左足のように

びんさんは、yadoさんとの関係をSNSでこう表現していました。

「相方とは25年の付き合い。いわゆる恋愛的なラブラブだった時期は長くなく、でも親友のように姉妹のように、右手と左足のように、多分これからも支え合っていくんだ」

この2人のような「育児をするLGBTカップル」は世界中にいて、アメリカではすでに10万組を超えているそうです。でも、日本では政府がその数の統計を取っていません。びんさんいわく「国が5年に1度実施する国勢調査にも、毎回私たちは『女性同士のカップルで、子どもを育てている』と答えています。でもその数は『誤記』として扱われ、集計されていないのです。私の知っているだけでも、すでに日本に数百組、もしくはそれ以上いるんですけど……。次回の国勢調査は2025年、今度こそ、きちんと集計してくれるといいんですが」。私には、政府が、この現実からあえて目をそらしているように思えてなりません。

さて次回は、日本在住同性カップル編の最終話として「同性婚」について詳しく掘り下げてみたいと思っています。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。

(ハラユキ : イラストレーター、コミックエッセイスト)