挑戦したい仕事があってもキャリアが無い…そんなときにおすすめの副業とは(写真:YUJI/PIXTA)

コロナ禍を経て、「スタートアップで働きたい」という人が転職・副業ともに急増している。

スタートアップへの転職・副業サイト「アマテラス」を運営し「スタートアップ転職・副業のプロ」である藤岡清高氏は、これまで2000人以上からスタートアップ転職や副業の相談を受けてきた。アマテラスを通じて、毎年200人以上がスタートアップ企業の「コアメンバー」や「CxO候補」として参画しているという。

そんな藤岡氏の初の著書『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』は、スタートアップで「働きたい人」「副業してみたい人」「興味がある人」の知りたいことが全部わかる、日本初の入門書だ

「スタートアップ転職・副業のプロ」である藤岡氏が、「無料副業」で自分のスキルを試してみることのメリットについて解説する。

「日本人の仕事満足度」は世界最低!

「いまの会社に不満がある」「自分の今後のキャリアが不安だ」と考えている人は、たくさんいます。


最新の「グローバル就業環境調査」(アメリカ調査企業・ギャラップ)によると、日本で「仕事満足度」を感じる従業員の割合は、わずか5パーセント。調査対象の145カ国の中で、イタリアと並び世界最低でした。

「会社を辞めたいけれど、報酬不安などから、辞められずにいやいや仕事をしている」

「会社都合でキャリアを無視した配置転換があるため、長年勤めていても、社外で通用するスキルが積めない」

といった悩みを抱えている人が多いのです。

こんな状況から脱する有効手段のひとつは、「成果を出せるスキル」を確立し、いつでも動ける(転職できる)人になることです。

とはいえ、

「自分に『成果を出せるスキル』が身についているのか自信がない」

「『成果を出せるスキル』の身につけ方がわからない」

と不安に思っているビジネスパーソンも、またたくさんいます。

「いまの社内では、どうしてもスキルアップは難しい……」ということであれば、外に向けて行動を起こしてみましょう

たとえば、外部の「無料副業」で自分のスキルを試してみるのです。

「無料副業」で「リスキリング」できる

最近、報酬はないけど経験を積めるという「無料副業」の人気が高まっています

社会人が通常業務外で、新たに「成果を出せるスキル」を身につけるのは、容易ではありません。だからこそ、「経験を積ませてもらう」という目的で、無料での副業をするわけです。

無料副業は、新たなスキルを身につける「リスキリング」(学び直し)の一環だと言えます。

僕の知人Sさんも、実際に「無料副業」をテコにキャリアアップしました。

SさんはIT企業で、ウェブマーケティングを活用した「集客」の仕事に携わっていました。「将来は地方創生に関わる仕事をしたい」と考えているものの、いまの仕事は地方創生とはまったく関係のないものでした。

そこで地方創生に関する「無料副業」を始めたのです。

はじめは山梨県の某自治体の、観光客を増やすためのマーケティングをする「無料副業」に参加しました。

報酬はゼロなのに何百人もの人が応募してきて、受かるのは3〜4人という人気ぶりでしたが、Sさんはウェブ集客のスキルを買われて採用されました。

Sさんはこの副業を通して、地方創生に関わる仲間とのネットワークを広げていきます。1年後には一定の成果を出すことができ、自分のキャリアに「地方創生マーケター」という「タグ付け」ができるようになりました。

すると、そこで得たネットワークを通じ、「北海道の某自治体の集客プロジェクトに有償で参画しないか?」と声をかけられたのです。

こうしてプロジェクト経験を積み重ねて、Sさんは地方創生人材として「リスキリング」に成功したのです。

Sさんのように、戦略的な行動をとることで、自分のスキルを「売れる形」に育てていくことは可能です。

その副業ではお金をもらえなくても、「自分の市場価値が高まるような経験」ができるのであれば、やってみる価値はあるでしょう。

そうした「無料副業」をいろいろと手掛け、「成果を出せるスキル」としてリスキリングしていけば、自分のキャリアにおける「武器」を持つことができます。

また自分のスキルを社外にさらけ出してみることで、自分の客観的な評価を知ることもできます。

「個」として動き「成果を出せるスキル」と経験を積む

副業で仕事をしていると、半分起業しているようなものです。

個人の名前で仕事をする副業を通じて、個人に「信用」と「情報」が蓄積していけば、自分のキャリアに自信を持てるようになります

そして、いずれ本業を切り離しても、キャリアをスムーズに維持・拡大していくことができます。


「無料副業」を通じて、「信用」と「情報」を個人に蓄積していこう。「成果を出せるスキル」や経験を積めば、自分のキャリアに自信が持てる (図『スタートアップ「転職×副業」術』)

これからは「個の時代」です。

令和時代にキャリアで安定したければ、「個」として動きつづけながら「成果を出せるスキル」や経験を積み、「会社」という看板のないところで働いて、結果を出していくことが重要です。

「成果を出せるスキル」を身につけ、「仕事満足度」を高めることで、自分のキャリアや人生を好転できる人が、ひとりでも多く生まれてくれればと願っています。

(藤岡 清高 : 「スタートアップ転職・副業のプロ」アマテラス代表取締役CEO)