(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が7月19日に刊行予定)。第70回は東大生も実践している、試験前にやるとよい行動について解説します。

この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

東大生って、入学試験や模試などの重要な試験・重要なイベントの前に、どんな行動をしていると思いますか?

「普通に参考書とかを読んで、直前まで知識を得ているんじゃないの?」

「睡眠をとって、体力を回復させているとか?」

と考える人もいるかもしれませんが、実はちょっと違います。緊張を緩和させるために、ちょっとした儀式をやっている人が多いのです。

成績がよい人でもテスト前日は緊張


「そもそも、東大生って緊張とかするの?」と考える人もいるかもしれませんが、もちろん緊張します。

成績がよくて東大合格確実!と言われるような人の中にも、「落ちたらどうしよう」と思ってテスト前日は眠れなかった、という東大生だっているくらいです。

今回は、東大生の「本番前のルーティン」についてお話ししたいと思います。

まずは、ドラゴン桜のワンシーンをご覧ください。桜木先生が、生徒たちに「模試を受ける前にやるべきこと」をレクチャーしているシーンです。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください




(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)


(漫画:©︎三田紀房/コルク)

ということで、「鏡を見て、自分を客観視する」という方法は有効だ、という話でした。

実際、これと同じ行動をしている東大生はかなり多いですし、僕も同じことをしていました。

客観視することで、間違いを減らせる

鏡に映った自分を見ると、自分のことを客観的に見る能力、いわゆる「メタ認知能力」が身に着きます。

メタ認知することができると、視野が広くなって「あ、試験時間が残り5分だから見直ししなきゃ」「あ、これつまらないミスをしてしまっているな」と、間違いを減らすことができるのです。

岡山大学准教授で非認知能力の研究をしている中山芳一先生は、この「メタ認知能力」について次のように述べています。

物事をメタ的に見ることができるというのは、将棋を想像するとわかりやすい。将棋は相手の王将を取るためにコマを動かしていくというゲームだが、メタ認知があまりできない人は、コマの目線になってしまう。自分の身体を前に進めるように、「歩」を前に出し、「王」を後ろに下げる。

でも、メタ認知ができる人は、コマを動かす棋士の目線で物事を動かせる。盤面を上から見て、「ここの守りが薄いからここに『歩』を置こう」と考えることができる。コマとして盤面で戦うのではなく、棋士として盤面を上から見て考えられるかどうかが、メタ認知の鍵になる。

中山先生の言うとおり、テストではまさにこの「棋士の目線」が求められることがあります。

目の前の問題を解きながらも、残り時間を意識して、残りの問題数を確認し、時には目の前の問題を放棄する選択を取る。まさに盤面を見てコマを動かすように自分の身体を動かすことが求められるわけです。

メタ認知は多くの物事の成功の鍵に

またテスト以外でも、このメタ認知が求められることは多いでしょう。相手の顔色を伺いながら自分のやるべき行動をし、状況を確認しながら物事を選択していく。こういったメタ的に自分の身体を動かす行為は、多くの物事の成功の鍵になっていると言えるでしょう。

そしてそのときに、鏡で自分の身体を見ることは非常に有効な手段になります。

自分のことを客観的に認知することで、「このコマ(=自分)をどのように動かして、テストでいい点を取ろうか?」「目標を達成するために、このコマ(=自分)をうまく動かそう」という意識を持つことができるわけですね。

いかがでしょうか?「本番前に鏡を見て自分を客観視する」というのは本当におすすめです。みなさんぜひやってみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)