やよい軒のモーニングはオーソドックスな朝食メニューが勢揃い(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第31回となる今回、訪れたのは「やよい軒」です。

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ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

カフェやハンバーガーショップ、おそば屋さんなどはもちろんのこと、最近では焼肉店やラーメン店などでも独自のモーニングメニューを展開しています。

今回は外食チェーン「やよい軒」の朝食メニューをご紹介します。和食を中心に、丼、洋食など、家庭の味を定食スタイルで食べられる人気店で、昔ながらの和朝食を中心とした「これぞ朝ごはん」なメニュー展開でした。

やよい軒の納豆朝食370円


やよい軒の納豆朝食370円、ごはん、だし、漬物はおかわり自由(筆者撮影)

「やよい軒」は、北海道から沖縄まで39都道府県に約360店舗を展開する外食チェーンです。1989年に「めしや丼」としてスタートし、2006年より店名を「やよい軒」に変更しました。

から揚げ、肉野菜炒め、しょうが焼き、チキン南蛮などの定番の定食メニューを中心に、丼や麺ものも展開。サバや銀鮭やほっけなどの魚メニューにも定評があるお店です。

朝食メニューの取り扱いがあるのは約290店舗で、24時間営業の店だと朝5時から11時までの販売となっています(24時間営業ではない店は、店舗によって違うようです)。

今回は最安値の朝食メニュー「納豆朝食」税込370円を注文しました。

お盆にちょこちょこと小さなお皿を並べると、洗い物が増えるので片付けが手間ではあるものの見た目が豪華になり、食べる前から気分が上がります。

セット内容は

・ごはん
・納豆
・冷奴
・味付けのり
・漬物
・味噌汁

です。


注文はタブレットにて。ごはんや味噌汁の種類などいくつかオプションあり(筆者撮影)

おいしいごはんはセルフサービスでおかわり自由

ごはんはプラス30円でもち麦ごはんに変更可能で、もち麦ごはんをオーダーした場合も、白米のおかわりは自由です。

私が利用した店舗は、ごはんおかわりロボ、ポットに入っただし、給茶機が設置されている「ごはんおかわり処」というブースがあり、セルフサービスで白米とだしとお茶がおかわり自由となっていました。

また、テーブルに常設されている、ガラス容器に入った漬物もおかわりができます。


ごはんおかわり処はセルフサービスですが、利用客のマナーも良好かつ、こまめなスタッフの清掃で常にクリーンな状態でした(筆者撮影)

「やよい軒」のウリは、なんといってもごはんです。玄米から仕入れて精製し、こだわりのバランスでブレンド。店内の大きなガス釜で一気に炊き上げているので、ツヤツヤで粒立ちの良いおいしいごはんになるんです。


一粒一粒が立ったツヤツヤの白米をふんわりよそったごはん。お茶碗もおかわりを想定して小さめサイズで持ちやすく食べやすい(筆者撮影)

納豆がごはんのおいしさを引き立てる

「納豆朝食」のおかずはメインになるものがなく、納豆、冷奴、味付けのり、漬物など、ごはんのお供が勢揃いしています。つまり、「やよい軒」のごはんを最も楽しめるメニュー、白米を堪能するためのラインナップだと言っても過言ではありません。

朝から白米を味わい尽くすべく、気合を入れて挑みます。まずは納豆。四角い発砲スチロール製のパックに入ったレギュラーサイズのものが提供されます。味付けのりも5枚入っていました。


なんの変哲もないちゃんとおいしい普通の納豆(筆者撮影)

原価を下げるためかどうか定かではないのですが、外食チェーンによっては、モーニングについてくる納豆は小容量の紙パックタイプで、のりは3枚だけというお店も存在します。370円と安いのに、納豆ものりもケチってないのは嬉しいところ。

ごはんに納豆を乗せて大口を開けてかき込むと、大豆の風味とまろやかな粘りが絶妙に絡んで口の中に広がります。さらに味付けのりで巻いてパクリ。パリッとした食感と磯の香りがプラスされ、良きアクセントに。


納豆がごはんのおいしさを引き立てます。味付けのりの相性も抜群(筆者撮影)

味噌汁は、わかめとネギだけで超シンプルながら、だしがしっかり効いていて、具材が少なくてもしみじみ染み渡る味わいです。

そして冷奴。ネギが気持ち程度にトッピングされています。おしょうゆをタラリとかけていただきます。豆腐を味噌汁に入れず、冷奴として別添えにすれば1品増えるというナイスアイデア。

納豆ご飯をフィニッシュしたら、味噌汁で納豆の粘りを流し込み、淡白な冷奴で口の中をリセットして「ごはんおかわり処」へ向かいます。


わかめとネギだけの味噌汁は優しい味わい(筆者撮影)

おかわりロボのふわふわごはんとだしで絶品だし茶漬けの完成


保温ポットに入ったあつあつのだしがおかわり自由。白米に注いでだし茶漬けに(筆者撮影)

「やよい軒」ではもともと定食のごはん無料サービスを実施していたのですが、2019年に一部店舗で試験的にごはんのおかわりを有料化したものの、その後全店おかわり無料に戻し、2020年には無料のだし提供を開始しました。

もともと「おいしいごはんを好きなだけおかわりできる」お店だったのが、無料だしサービスを追加したことで、さらなるおかわりをそそのかしてくるという、食いしん坊にはたまらないサービスに進化しています。


50g刻みでごはんの量が選べます。自分の胃袋の残り容量に合わせてボタンをポチッと押せばOK(筆者撮影)

ごはんおかわりロボは、感染症対策の一環として全店に導入されたということですが、あなどることなかれ。下に茶碗をセットしてボタンを押すだけで、食べたい量のごはんがホカホカでふわふわのベストな状態でポスッと落下してきます。「所詮機械だろ」と思っていたら、素人には再現できない見事なよそいっぷりに驚かされました。

その上からだしを注いでお漬物をちょこんと乗せれば、だし茶漬けの完成です。こんぶの風味ゆたかな深みのあるだしに、白菜のお漬物の旨味と塩気が加わります。サラサラとかき込めば、五臓六腑に滋味が染み渡ります。


だし茶漬けの上にお漬物を乗せました。サラッと食べられるので油断するとエンドレスで食べてしまいそう(筆者撮影)

やよい軒のモーニングメニューは6種類

「やよい軒」のモーニングメニューは全6種類です。主力メニューの価格帯が700円台から1000円前後なのに比べて、300円台後半から500円台前半とお手頃価格になっています。


しらすおろし定食も390円というお値段。サラダをつけてもワンコイン未満です(筆者撮影)


魚を食べても600円未満という、かなり良心的なお値段です(筆者撮影)

・納豆朝食 税込370円
・しらすおろし朝食 税込390円
・ミニすき焼き朝食 税込470円
・目玉焼き朝食 税込480円
・サバの塩焼朝食 税込510円
・しゃけの塩焼朝食 税込510円

全てのメニューで、ごはんとだし、漬物のおかわりが自由です。


(筆者撮影)

また「やよい軒」は定食メニューが豊富なこともあり、お手頃価格のサイドメニューも充実しているので、揚げものを追加して、朝からガッツリというのもオツかもしれません。

チェーン店と町の食堂のいいとこ取り

筆者が訪れたのは、東京きっての歓楽街にほど近い雑居ビルの一角にある店舗です。場所柄もあり荒んだ雰囲気を想像していたのですが、エレベーターを降りると、拍子抜けするほど清潔で居心地の良い開放的な空間が広がっていました。


(筆者撮影)

平日朝8時すぎ。店内にいるのはほぼ男性客で、半分以上が夜に働いた仕事終わりであろう人たちでした。1人でカウンター席で食事する男性の個人客がメインながら、やんちゃそうな青年のグループも談笑しています。

常連客も多いようで、女性スタッフが配膳する際に利用客と親しげに会話をかわす様子は、他のチェーン店にはないアットホームさがありました。かとおもえば、店内は間接照明で照らされBGMにはジャズが流れる、定食屋っぽくないおしゃれな一面も持ち合わせています。


お漬物は刻みごま白菜漬け。細かく刻んだ白菜にごまがアクセント(筆者撮影)

お手頃価格と豊富なメニューという定食屋さんに求める大前提は満たしつつ、ごはんとだしとお漬物のおかわりし放題という、食いしん坊の胃袋を存分に満たしてくれるオプションは、十分すぎるほど魅力的ではあるのですが、それに加えて和やかな昭和の大衆食堂的な雰囲気を漂わせつつも、長居しやすい居心地の良さも併せ持つ、絶妙なバランス感も「やよい軒」の魅力なのかもしれません。


白ごはんのお供が充実しているやよい軒のモーニング。おかわり不可避でした(筆者撮影)

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)