タワーマンション購入のメリットを紹介します(写真:まちゃー/PIXTA)

支持者もいれば、猛烈なアンチもいるタワーマンション(タワマン)。人によって好みや感想の分かれる物件ですが、売却を視野に入れると、購入にはメリットが多いようです。

住友不動産販売で営業マンとして働いた経験を持つ、吉本興業所属の芸人、ぺんとはうすの世良光治さんの書籍『住宅購入で成功する人、大失敗する人 元大手不動産トップ営業マンの「不動産芸人」だけが知っている』より一部抜粋、再構成してお届けします。

余裕があるなら、タワーマンションは絶対に買うべき

ただ買って住んでいただけで、知らず知らずのうちに価格が上昇したというケースは珍しくありません。中には1000万円以上の富を得る人がいますが、往々にしてタワーマンションにお住まいだった方でした。

住宅業界では、 タワーマンションを「タワマンブランド」 と呼ぶことが多いです。タワーマンションというだけでブランド力があり、人気が高いのです。

「タワマンブランド」の輝きは今でも全然廃れておらず、購入後お住まいになり、いざ売却となったときの売却価格はあまり下がらないのが現状です。「リセールバリューがある」ともいえます。

もし住宅を購入される際に予算が許すならば、 資産価値が下がりにくいという意味でも、タワーマンションは1つの魅力ある選択肢になります。

むしろ、ご自分が住まれてから賃貸に出す場合などを考えると、ブランド力のあるタワーマンションはとても魅力的な物件になり、空室の心配が少ない優良賃貸物件になる可能性が高いです。

タワーマンションは共用施設が多く、ジムがやスパが使えたり、プールがあったりなど、管理費用はそれ相応にかかりますが、住環境として見るとすばらしい物件が多いです。ご自身は退去して賃貸として貸す場合には、その設備に見合った賃料が取れます。

一時、タワーマンションに対するアンチ記事が、毎日のようにネットをにぎわせました。しかしタワーマンションの住宅としての商品価値は、多くの記事がたたいているほど悪くはありません。しっかり建築基準法に則って建てられた物件が多く、品質的に粗悪にはなりにくいのです。

「将来の修繕費用がとんでもなく高額になるに違いない」という記事もよく見かけます。でも、前例がまだなく、想像の域を出ない話ばかりです。

タワーマンションに住んでみて、万が一気に入らなければ、売却するなり、賃貸に出すなりすればいいと考えています。どちらの場合も資産価値を下げずにできるので、もし購入時に予算に余裕があって中層階以下のマンションと悩んでいる場合には、タワーマンションを購入することをお勧めします。

タワマンは大手による管理と、住民の負担が小さいメリットがある

タワーマンションはほぼ100%、大手が分譲しています。三井や三菱の財閥系や東急などの鉄道系の大手が分譲した物件はブランドになりますし、それがマンションの価値にもなります。

管理組合にしても、大手分譲会社と組んで仕事をしているので、スタートからしっかり運営。管理を委託されている会社も大手の系列の会社が入り、経営基盤・お仕事ともにしっかりしているところが多いでしょう。

管理の話が出ましたが、「マンションの寿命は管理会社で決まる」と言われるほど。マンション管理会社の役割は重いものがあります。

マンションは、いわば現代の長屋。知らない他人同士が集まって共同住宅に住むのですから、第三者の立場の管理会社の舵取りで、住環境や建物の寿命に大きな影響が出るのはやむをえないでしょう。その点、大手系列の管理会社であれば経験とノウハウが豊富で、安心してお任せすることができます。

また、タワーマンションは戸数も多いので分担した場合の一戸あたりの負担が減りますから、修繕や費用計画の面でもメリットがあります。

例えば、アンチ記事でも話題に上がる修繕計画ですが、確かにタワーマンションでは修繕の規模が大きいので総額は大きな金額になるはずです。一方で入居戸数が多いので、一戸あたりの負担は相応な水準に抑えられます。

また、最近は自然災害の激甚(げきじん)化がよくニュースになります。台風などで急な修繕の必要性が生じたときに、小規模のマンションでは10戸で割り振らなければならないところ、 タワーマンションであれば1000戸以上で負担を分け合うということもあります。

マンションの管理費を滞納する家庭が出たときのダメージも、戸数によって大きく変わってきます。リスク分散と考えれば、入居戸数が多い大規模マンションやタワーマンションが有利でしょう。

住民が必ず参加しなければならないところが多い管理組合の理事ですが、負担に感じる人が多いようです。小規模マンションで10戸しかなければ、理事長は10年に1回必ず役割を果たさなければなりません。タワーマンションであれば回ってくる機会はなかなかないかもしれず、心理的な負担も軽減されます。

相続税対策で、現金を不動産に変えておく方は多いですが、タワーマンションが最適という話があります。単純に土地を割り振るので、入居戸数が多ければ土地の持ち分が少なくなるからです。ただし税制改正で、ものすごく美味しかった全部屋均等負担はなくなりましたが。

とはいえ、土地に対する入居戸数が多いので、小・中規模のマンションを購入するよりは、タワーマンションのほうが不動産としての評価額が抑えられるのは変わりがないため、相続に有利に働きます。

相続も視野に入れてのマンション購入であれば、タワーマンションを選択肢の1つに入れてみてはいかがでしょうか。

家を買って住むだけで1000万円以上の富を得る人がいる

タワーマンションをお勧めする際に、1000万円以上の得をする人がいるとお伝えしました。そんな話を聞いたことがある人の中には、これくらい急激に値上がりしないと得しないように思われる方も少なくないようです。

ところが僕自身は、「それはどうかな」と思っています。

マイホームの購入は、人の生活の基本である「衣食住」の「住」の部分をきっちり自分で固めることだと思っています。

家を買わない人も、毎月の家賃は払っているはずです。高い安いがあるかもしれませんが、毎月“住居費”にお金を払う。それが“資産になる”というのが、家を買って住むことのメリットです。

マイホームを購入すれば、例えば35年経ったときに3000万円のローンは0になり、“家”という資産が自分の手元に残ります。確かに経年劣化することで、3000万円で買った家が2000万円や1000万円でしか売れないかもしれない。それでも1000万円という価値ある資産が自分の手元に残ります。

「資産を創る」という観点で見たら、不動産価格が上がらなくても、1000万円以上の富を得ることは約束されていそう。そんなふうに考えるのは、全然おかしくないことでしょう。


また、一介のサラリーマンに金融機関が「ぽんっ」と数千万円を融資してくれるのは、住宅ローン以外にはありません。住宅ローンは国策として、国民の住宅取得を国が後押ししており制度も整っているので、金融機関も安心して融資してくれるわけです。こんな面でも、家を買うだけで資産形成の大きなチャンスをもらっているといえます。

「タワーマンションは値崩れしにくく、値上がりしやすいですよ」と前述しましたが、1000万円単位で値上がりする不動産はタワーマンションばかりではありません。

タワーマンションと同じように、立地が東京で人気の湾岸地域であったり、分譲時にもともと安かったりした物件は、軒並み1000万円単位で値上がりしています。

例を挙げますと、オリンピックの選手村でできたHARUMI FLAGというマンションでは、高確率で1000万円以上得されると思います。「東京五輪の水泳で人気の○○選手が、ベランダで微笑んだマンション」など、売れるエピソードに事欠かずブランド化しています。

(ぺんとはうす世良光治 : 吉本興業所属の「不動産芸人」兼フリーランスの不動産営業マン)