ディズニーランドのキャストパワハラ訴訟、原告が逆転敗訴「本当に悲しい」
東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみをかぶってショーなどに出演していた契約社員の40代女性が、上司からのパワハラで心身に苦痛を受けたとして、運営会社オリエンタルランドを相手取り、計330万円の損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁は6月28日、会社側に88万円の支払いを命じた一審・千葉地裁判決を取り消し、原告側の逆転敗訴を言い渡した。
判決を受けて、原告の女性は「正直、まだ現実が受け入れられていない。救われない判決になってしまって、本当に悲しいです」と話した。上告についてはこれから検討するという。
●原告「戦わないでいい社内に変えていってほしい」
女性はキャラクターコスチュームを着てショーに出演していた。2013年1月から2018年3月ごろまでの間、上司から複数回のパワハラを受けたと主張していた。
一審・千葉地裁は、個別のパワハラについては的確な証拠がなく認められない、または、一部の言動については違法となるまではいえない、と判断したものの、職場の人間関係を調整して孤立することがないよう配慮する義務があると指摘。会社側の安全配慮義務違反を認め、オリエンタルランドに慰謝料80万円(弁護士費用8万円)の支払いを命じた。
原告代理人の三宅貞信弁護士によると、東京高裁は、一審で認められた「職場の人間関係の調整義務」について「事実として孤立していたと認めることはできない」などと判断し、原告逆転敗訴の判決を言い渡した。
女性は現在休職しているが、今後も出演者として勤務を続けていくという。「オリエンタルランドは、今回の裁判をきっかけに社内の膿をとっていただきたい。戦わないでいい社内に変えていってほしい。働いている側が安心して働ける会社を目指していってほしい」と訴えた。
●オリエンタルランド「当社の主張が認められた」
オリエンタルランドは弁護士ドットコムニュースの取材に、「この度の訴訟につきまして、ゲストの皆様をはじめとする日頃より当社を支えてくださる全ての皆様に対し、ご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。今回の判決は、当社の主張が認められたものであると理解しております」とコメントした。