「西武園ゆうえんち」を立て直した「刀」が仕掛けるグランピング施設、沖縄巨大テーマパークの裏側:ガイアの夜明け
6月16日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「レジャーでニッポンを元気に!客を呼ぶプロ集団『刀』の野望」。
2年前、「西武園ゆうえんち」のリニューアルを“懐かしい昭和の世界”という発想で成功に導いたのが「刀」という会社。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)」をV字回復させたことで知られる森岡毅さん(50)が立ち上げた“客を呼ぶプロ集団”だ。
その「刀」が、去年から極秘に進めてきたのが、これまでにないアウトドア事業の開発。
ガイアのカメラが10カ月間密着し、感動体験で客を呼ぶ「刀」の野望に迫った。
一時は、入場者数が最盛期の4分の1にまで落ちこんだ「西武園ゆうえんち」(埼玉・所沢市)。「刀」の支援のもと、2021年に大規模リニューアルを行い、今も引き続き「刀」が集客戦略を担っている。
今回、新たな目玉ができたと聞き、案内人の松下奈緒が「西武園ゆうえんち」へ。
休眠施設だった建物の2階部分を改装した「食堂車レストラン 黄昏号」。
車窓には四季折々の日本の絶景などが流れ、豪華な食堂車の雰囲気を味わえる。レールを走る振動も再現し、ゴジラなどゆかりのキャラクターが映し出されるシーンも。
5月上旬。「黄昏号」を使った新しいアトラクションの完成に向け、現場は山場を迎えていた。なんと、レストランの利用客が減る時間帯に、演劇シアターとして活用しようというのだ。
指揮を取るのは「刀」の興山友恵さん(39)。興山さんは、森岡さんと同じ「USJ」の出身で、ハリー・ポッターのショーの開発などに携わった。
初日まで2週間。この日は食堂車を使ったリハーサルが行われ、オーディションで選ばれた演技のプロが、客と出演者に分かれて稽古する。
これは、欧米で人気の「イマーシブシアター」と呼ばれる“没入型”の演劇で、今回上演する「豪華列車はミステリーを乗せて」は、お客さんを巻き込みながら殺人事件が展開される。さらに、テーブルごとに別々の体験を作りたいというのが興山さんの考えだ。
公演初日の5月20日。約100枚のチケットは、すぐに完売した。当面は土日の午後2回公演(※8月以降変更有り)。1回90分でアフタヌーンティーセットが付き、値段は1人5400円だ。
舞台はすべて整ったが、新たな客層をつかむためのプログラムは上手くいくのか。
東京・日本橋に拠点がある「刀」は、2017年の設立で社員は約70人。
トップの森岡毅さんは、神戸大学を卒業後「P&G」に入社。2004年、アメリカ本社に転籍した時、数学を用いた独自のマーケティング手法を確立した。
「全ての事業は、需要よりもお金を使うから失敗する。需要を最初に知っておけば、いくらお金を使えばいいか分かる。戦い始める前に、もう“勝つか負けるか”を見ている。勝つ戦いしかやらない」。
森岡さんの名を一躍広めたのが、「USJ」での功績。元々のコンセプトである「ハリウッド映画のテーマパーク」に縛られず、次々と人気キャラクターを投入。家族で楽しめる施設へと変えたのだ。森岡さんが入社した2010年当時、約750万人だった入場者数は、6年で約1460万人にまで増加した。
森岡さんが設立した「刀」には、多くの企業から立て直しの依頼がきている。
例えば、「ネスタリゾート神戸」。目立つ特徴がなかったリゾート施設だったが、“大自然の冒険テーマパーク”に変え、わずか1年で売り上げを倍増させた。現在は、長崎にある「ハウステンボス」の再建も手掛けている。
「『刀』のノウハウがほしいとい言ってくださる企業には、喜んで我々のノウハウを開示する。目的は“マーケティングノウハウ”を広めることであり、それによって生まれる事業を増やすこと」と森岡さん。
兵庫・神戸市にある六甲山の山頂付近。ここで「刀」が、自らグランピング事業を仕掛けようとしていた。自然の中で生き生き過ごしてほしいという願いから、付けた名前は「ネイチャーライブ六甲」。
「刀」が六甲に目を付けたのは、マーケティングでの絞り込み以外に、ある理由があった。夏は避暑地、冬はスキーと、1960〜90年代にかけて大勢の観光客で賑わった六甲。しかし、阪神・淡路大震災やレジャーの多様化などのあおりを受け、今や観光客数は最盛期の7分の1まで減少している。こうした状況を変えたいというのも、六甲を選んだ大きな理由だ。
「テーマパークだったら何百億、何千億かかるけど、そういうお金は無理。でもこのぐらいの施設だったら、ちょっと頑張れば作れる。日本は東京だけじゃない。いろいろなところに持続可能な事業を作っていく」と森岡さん。
去年7月、大阪にある「刀」のオフィスで、その開発が始まっていた。目指すのは、“食の体験”に特化したグランピング(アウトドア体験を売りにした宿泊施設)。
通常グランピングの食事は、手は混んでいるがほとんどすべて用意されているか、食材をただ焼くだけの簡易的なバーベキューの2択。そこで「刀」が狙うのは、本格的なアウトドア料理をつくる“体験”の提供だ。
チームリーダーを務めるのは、「USJ」時代、森岡さんの部下だった「刀」マーケティング・ディレクターの濱武広士さん(47)。人気アニメ「ワンピース」がテーマのショーなどを開発した豊富な実績を買われ、リーダーに抜擢された。
濱武さんは、「運営側がサポートに入ることで、グランピングの中で諦めていることが提供できる。食で差別化を図ることができる」と前を向く。
この日も、新しいアイデアを試す濱武さん。「かつお節とさば節を土に見立てて…」と木箱に敷き詰め、そこに葉物の野菜を置いていくが…実はこれはサラダ! 木箱を畑に見立て、収穫を疑似体験してもらおうというもの。イチから作る楽しさをウリにしているのだ。
「飲食は“五感”。味覚は飲食として当たり前で、それ以外の感度を最大化することによって、エンターテインメント性のある私たちらしい“食体験”を提供できる」と話すのは、「刀」の林喜美栄さん。こうして、濱武さんたちの試行錯誤が始まった。果たして、「自分で作る満足感」を提供する新たなグランピングを完成させることはできるのか…。
番組では、港町・神戸の絶景が一望できる「ネイチャーライブ六甲」の全貌とさまざまな食体験を紹介する。
2月、沖縄・今帰仁村。地方再生を掲げる「刀」は沖縄で、かつてない巨大テーマパークの建設を進めていた。建設地は、山の中のゴルフ場だった場所。“やんばる”の自然と地形を最大限生かしたアトラクションやアクティビティを作るという。総工費約700億円をかけた一大プロジェクトだ。
現地を視察して、お客を楽しませるアイデアを興奮気味に語る森岡さん。
しかし起工式の日、登壇した森岡さんは「ここまで長かったです…。この先はもっと大変なんです…」と涙を滲ませる。その涙のワケとは…。
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2年前、「西武園ゆうえんち」のリニューアルを“懐かしい昭和の世界”という発想で成功に導いたのが「刀」という会社。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)」をV字回復させたことで知られる森岡毅さん(50)が立ち上げた“客を呼ぶプロ集団”だ。
ガイアのカメラが10カ月間密着し、感動体験で客を呼ぶ「刀」の野望に迫った。
リニューアルから2年…「西武園ゆうえんち」の“その後”
一時は、入場者数が最盛期の4分の1にまで落ちこんだ「西武園ゆうえんち」(埼玉・所沢市)。「刀」の支援のもと、2021年に大規模リニューアルを行い、今も引き続き「刀」が集客戦略を担っている。
今回、新たな目玉ができたと聞き、案内人の松下奈緒が「西武園ゆうえんち」へ。
休眠施設だった建物の2階部分を改装した「食堂車レストラン 黄昏号」。
車窓には四季折々の日本の絶景などが流れ、豪華な食堂車の雰囲気を味わえる。レールを走る振動も再現し、ゴジラなどゆかりのキャラクターが映し出されるシーンも。
5月上旬。「黄昏号」を使った新しいアトラクションの完成に向け、現場は山場を迎えていた。なんと、レストランの利用客が減る時間帯に、演劇シアターとして活用しようというのだ。
指揮を取るのは「刀」の興山友恵さん(39)。興山さんは、森岡さんと同じ「USJ」の出身で、ハリー・ポッターのショーの開発などに携わった。
初日まで2週間。この日は食堂車を使ったリハーサルが行われ、オーディションで選ばれた演技のプロが、客と出演者に分かれて稽古する。
これは、欧米で人気の「イマーシブシアター」と呼ばれる“没入型”の演劇で、今回上演する「豪華列車はミステリーを乗せて」は、お客さんを巻き込みながら殺人事件が展開される。さらに、テーブルごとに別々の体験を作りたいというのが興山さんの考えだ。
公演初日の5月20日。約100枚のチケットは、すぐに完売した。当面は土日の午後2回公演(※8月以降変更有り)。1回90分でアフタヌーンティーセットが付き、値段は1人5400円だ。
舞台はすべて整ったが、新たな客層をつかむためのプログラムは上手くいくのか。
究極の“感動体験”をアウトドアで!新施設開業の舞台裏に密着
東京・日本橋に拠点がある「刀」は、2017年の設立で社員は約70人。
トップの森岡毅さんは、神戸大学を卒業後「P&G」に入社。2004年、アメリカ本社に転籍した時、数学を用いた独自のマーケティング手法を確立した。
「全ての事業は、需要よりもお金を使うから失敗する。需要を最初に知っておけば、いくらお金を使えばいいか分かる。戦い始める前に、もう“勝つか負けるか”を見ている。勝つ戦いしかやらない」。
森岡さんの名を一躍広めたのが、「USJ」での功績。元々のコンセプトである「ハリウッド映画のテーマパーク」に縛られず、次々と人気キャラクターを投入。家族で楽しめる施設へと変えたのだ。森岡さんが入社した2010年当時、約750万人だった入場者数は、6年で約1460万人にまで増加した。
森岡さんが設立した「刀」には、多くの企業から立て直しの依頼がきている。
例えば、「ネスタリゾート神戸」。目立つ特徴がなかったリゾート施設だったが、“大自然の冒険テーマパーク”に変え、わずか1年で売り上げを倍増させた。現在は、長崎にある「ハウステンボス」の再建も手掛けている。
「『刀』のノウハウがほしいとい言ってくださる企業には、喜んで我々のノウハウを開示する。目的は“マーケティングノウハウ”を広めることであり、それによって生まれる事業を増やすこと」と森岡さん。
兵庫・神戸市にある六甲山の山頂付近。ここで「刀」が、自らグランピング事業を仕掛けようとしていた。自然の中で生き生き過ごしてほしいという願いから、付けた名前は「ネイチャーライブ六甲」。
「刀」が六甲に目を付けたのは、マーケティングでの絞り込み以外に、ある理由があった。夏は避暑地、冬はスキーと、1960〜90年代にかけて大勢の観光客で賑わった六甲。しかし、阪神・淡路大震災やレジャーの多様化などのあおりを受け、今や観光客数は最盛期の7分の1まで減少している。こうした状況を変えたいというのも、六甲を選んだ大きな理由だ。
「テーマパークだったら何百億、何千億かかるけど、そういうお金は無理。でもこのぐらいの施設だったら、ちょっと頑張れば作れる。日本は東京だけじゃない。いろいろなところに持続可能な事業を作っていく」と森岡さん。
去年7月、大阪にある「刀」のオフィスで、その開発が始まっていた。目指すのは、“食の体験”に特化したグランピング(アウトドア体験を売りにした宿泊施設)。
通常グランピングの食事は、手は混んでいるがほとんどすべて用意されているか、食材をただ焼くだけの簡易的なバーベキューの2択。そこで「刀」が狙うのは、本格的なアウトドア料理をつくる“体験”の提供だ。
チームリーダーを務めるのは、「USJ」時代、森岡さんの部下だった「刀」マーケティング・ディレクターの濱武広士さん(47)。人気アニメ「ワンピース」がテーマのショーなどを開発した豊富な実績を買われ、リーダーに抜擢された。
濱武さんは、「運営側がサポートに入ることで、グランピングの中で諦めていることが提供できる。食で差別化を図ることができる」と前を向く。
この日も、新しいアイデアを試す濱武さん。「かつお節とさば節を土に見立てて…」と木箱に敷き詰め、そこに葉物の野菜を置いていくが…実はこれはサラダ! 木箱を畑に見立て、収穫を疑似体験してもらおうというもの。イチから作る楽しさをウリにしているのだ。
「飲食は“五感”。味覚は飲食として当たり前で、それ以外の感度を最大化することによって、エンターテインメント性のある私たちらしい“食体験”を提供できる」と話すのは、「刀」の林喜美栄さん。こうして、濱武さんたちの試行錯誤が始まった。果たして、「自分で作る満足感」を提供する新たなグランピングを完成させることはできるのか…。
番組では、港町・神戸の絶景が一望できる「ネイチャーライブ六甲」の全貌とさまざまな食体験を紹介する。
沖縄テーマパーク計画始動!地方に人を呼ぶ“秘策”
2月、沖縄・今帰仁村。地方再生を掲げる「刀」は沖縄で、かつてない巨大テーマパークの建設を進めていた。建設地は、山の中のゴルフ場だった場所。“やんばる”の自然と地形を最大限生かしたアトラクションやアクティビティを作るという。総工費約700億円をかけた一大プロジェクトだ。
現地を視察して、お客を楽しませるアイデアを興奮気味に語る森岡さん。
しかし起工式の日、登壇した森岡さんは「ここまで長かったです…。この先はもっと大変なんです…」と涙を滲ませる。その涙のワケとは…。
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