スペイン人記者が選んだ今季ラ・リーガのベストイレブン 「デュエルで相手を圧倒」「実力を世界に知らしめた」GK&DFたち
2022−23ラ・リーガベストイレブン GK&DF編 MF&FW編はこちら>>
現在米スポーツサイトThe Athleticでレアル・マドリードを中心にリーガ全体を取材し、スペインのサッカー&スポーツ専門局GOL PLAYに出演している、スペイン人記者のマリオ・コルテガナ氏に、今季ラ・リーガのベストイレブンを選出してもらった。こちらではGKとDFの選手たちを紹介する。
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スペイン人記者が選んだ、今季ラ・リーガのベストイレブン
GK/マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ/31歳/ドイツ)
バルセロナでのプレー継続が疑問視されていたここ数シーズンの激動の時期を経て、今季完全に本来の実力を取り戻した。華やかさよりも規律によって成し遂げられたバルセロナのリーガタイトルは、テア・シュテーゲンの奇跡的なセーブなくして理解することは不可能である。
今季ラ・リーガ優勝のバルセロナ。GKテア・シュテーゲン(後列左端)DFバルデ(前列右端)らの活躍があった photo by Getty Images
リーガ全試合に出場し、歴代最少タイの18失点、1試合平均0.49失点というすばらしい成績でサモラ賞(最少失点率GK賞)を初受賞し、同賞の歴代最高記録保持者のパコ・リアーニョとヤン・オブラクにあと一歩まで迫った。
チームの18失点中9失点をシーズン終盤の1カ月間に喫したが、これはチーム全体のパフォーマンス低下によるもので、テア・シュテーゲン個人のせいではない。
さらに今季のクリーンシートは26試合でリーガ歴代最多記録に並び、ナンバーワンの活躍を見せたGKとなった。
DF/ナウエル・モリーナ(アトレティコ・マドリード/25歳/アルゼンチン)
わずか1年前、ナウエル・モリーナはスペインではほぼ無名であった。だがシーズンを終えた今、リーガで最も安定したパフォーマンスを発揮した選手のひとりだと言える。
ディエゴ・シメオネ監督の哲学と独自のメカニズムに適応するには、1年かかる選手もいるというのは有名な話だが、ナウエル・モリーナはチームでリーガの出場時間が最も長い選手となり、その期間を全く必要としなかったことを証明してみせた。
信頼度の高いDFでありながら、4得点2アシストという優れた攻撃面のセンスも兼ね備えている。しかし、ホセ・マリア・ヒメーネス(9枚)、サウール・ニゲス(8枚)に次ぐチームで3番目に多い7枚のイエローカードをもらっており、気性の荒さのコントロールやスライディングタックルの質などに改善の余地がある。
昨年12月のカタールW杯では、リオネル・スカローニ監督のもと、アルゼンチン代表の一員として全試合に出場し優勝に貢献した。
【デュエルで相手を圧倒】DF/ロナルド・アラウホ(バルセロナ/24歳/ウルグアイ)
今季、4季ぶりにリーガ優勝を成し遂げたチームにおいて、名実ともにリーダー格のひとりだった。
強靭なフィジカルを武器に、足元と空中戦の両方のデュエルで相手を圧倒し、その類稀なスピードにより、チームがDFラインを高く上げて守備をすることを可能にした。またボール扱いにも優れ、最終ラインでプレーの起点となり、攻撃参加する際もその能力を存分に発揮した。
アラウホの存在は試合結果に大きな影響を与えており、不在時のバルセロナは何度も勝ち点を落としていた。それが特に顕著になったのは、昨年10月サンティアゴ・ベルナベウで行なわれた前半戦のクラシコ。レアル・マドリードに1−3の惨敗を喫し、その存在の大きさを感じさせた。
カンプ・ノウでは毎試合、サポーターがアラウホに敬意を表し、「ウルグアージョ、ウルグアージョ!」と大合唱するのが習慣になるほど、皆に愛される存在となっている。
DF/ダビド・ガルシア(オサスナ/29歳/スペイン)
戦術的な資質を備えた選手であるダビド・ガルシアは、特にハイボールに対して絶対的な強さを見せ、リーガ屈指のセンターバックであることを証明した。
試合の流れを読む力にも優れ、インターセプト数でトップ10入りし、ボールリカバリーも多かった。安定した守備に加え、ボール扱いに長けており、ロングパスの精度の高さはリーガでトップクラス。さらに自陣でのパスの正確さにも光るものがあった。
チームでリーガに最も長く出場した選手となり、オサスナが来季、16年ぶりにヨーロッパの舞台(カンファレンスリーグ)へ返り咲きを果たせるのは、ダビド・ガルシアの働きが大きかったとサポーターに認識されている。
このような活躍がスペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督の目に留まり、今年3月に初招集されてデビューを果たすまでに至っていた。サッカー選手としては遅咲きだが、今まさにサッカーの醍醐味を味わっているところであり、非常にすばらしい忘れ難いシーズンを過ごせたことに誇りを感じているはずだ。
【バルサのカンテラから新左サイドバック】DF/アレハンドロ・バルデ(バルセロナ/19歳/スペイン)
バルセロナのカンテラ出身のバルデにとって、今季は自分の実力を世界に知らしめるシーズンとなった。
リーガ第2節で先発の座を与えられると、豊富な運動量や縦への突破力、パスの正確さなどでチームに貢献。バルセロナが誇る連係プレーに瞬く間に適応し、シャビ・エルナンデス監督の信頼に見事応えた。
トップチームに定着して日が浅いにもかかわらず、チーム内でリーガの出場時間が5番目に長い選手となり、ポジション争いのライバルであるジョルディ・アルバを大きく上回った。そのためジョルディ・アルバの退団理由のひとつが、バルデの台頭であることに疑問を抱く人はほとんどいないだろう。
左サイドで存在感を発揮しながら1ゴールを決め、さらにリーガのDFとして2番目に多い6アシストを記録した。その成長ぶりが評価され、昨年のワールドカップに招集され、4試合すべてに出場するなど、将来が非常に楽しみな選手となっている。