加藤選手(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

写真拡大

テニスの全仏オープン女子ダブルス3回戦が2023年6月4日に行われ、加藤未唯(ザイマックス)、アルディラ・スーチャディ(インドネシア)組がマリエ・ブズコバ(チェコ)、サラ・ソリベストルモ(スペイン)組と対戦し、加藤ペアが第5ゲーム途中に失格となって敗退した。

「私たちを批判している人たちは試合を見ていない」

第1セットを奪われた加藤、スーチャディ組は第2セットを3−1でリードしていた。第5ゲームのポイント間にネット際にいた加藤が、自陣コートにあったボールをコート外に出すためバックハンドで返球。これがボールガールの頭部に当たり、ボールガールは泣き出してしまった。

複数の欧州メディアによると、加藤は主審に警告を宣告されたが、直後にマリエとサラが主審に異議を申し立て判定が覆って失格になったという。

加藤、アルディラ組の失格をめぐり、欧州の元選手や解説者から同情的な声が上がり、SNSでは主審に異議を申し立てたマリエとサラに対する批判的な意見も見られた。

サラの地元スペインのスポーツメディア「MARCA」(WEB版)は6月5日、「ソリベストルモは対戦相手の失格を正当化」などのタイトルで記事を公開し、ソリベストルモのコメントを交えて加藤、アルディラ組が失格に至った経緯を解説した。

ソリベストルモは同メディアの取材に対して「私たちを批判している人たちは試合を見ていない」とし、「ボールはビデオで見るよりも2倍強かった」と主張。そして記事では、主審に一連の出来事を伝えたことを認めたが、加藤を失格にする決定は主審が下したとした。

加藤「完全に意図的ではありませんでした」

一方でマリエの地元チェコメディア「iDENS.cz」(WEB版)は、フランス出身の元男子シングルス世界6位のジル・シモン氏と、スポーツ専門放送局「ユーロスポーツ」で解説を務めたアレックス・コレチャ氏のコメントを紹介して記事を展開した。

記事によると、シモン氏はツイッターに「ボールがどこに送られたかも見ていないのに相手チームの失格を主張するとは」などのコメントを投稿。コレチャ氏はユーロスポーツ(WEB版)の記事の中で「彼女が故意にやったわけではないと100%確信している」とし、「この件での失格は非常に厳しかったと思う」と主張した。

「iDENS.cz」は、このような意見が見られるように「マリエとサラが取った行動は必ずしも理解を得られたわけではない」と指摘した。

失格となった加藤は6月5日にツイッターを更新し、「今日の不幸な事故について、ボールガール、私のパートナーであるアルディラ&チーム、そして私のサポーターに心からお詫びを申し上げます。それは完全に意図的ではありませんでした」と謝罪のコメントを投稿した。