子どものおねだりにどう対処する?

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 子どもがいる人の中には、親子で商業施設に行ったときに、「おもちゃを買ってほしい」などとねだられたことがある人も多いと思います。その際、「今日はダメ!」「誕生日に買ってあげる」などと説得したところ、子どもが大泣きして困った経験はありませんか。

 子どもが物をねだってきた場合、親はどのように接したらよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

子どもの要求に応じてはいけない

Q.子どもと外出したときに「おもちゃを買ってほしい」などと、物をねだられることがあります。この場合、親はどのように子どもに接したらよいのでしょうか。

佐藤さん「『どのような場面で子どもに物を買い与えてもよいのか』というのは、絶対的なルールがあるわけでもなく、家庭ごとにルールが異なります。誕生日やクリスマスのときに買ってあげる人は多いのではないでしょうか。しかし、やんわりとそう決めているものの、日々の生活の中で次第にルールがあいまいになり、おねだりが起きていることが多いと、私は感じています。

基本的には、『おねだりは困る』と考えている親御さんがほとんどだとは思いますが、意外と対策が取られていないのが実情です。そもそも、子どもが物をねだる原因は、『ねだったら買ってもらえた』という経験があるからです。『こういうときに買ってもらえる』という約束があいまいなまま、その都度対応していると、子どもは買ってもらえたり、買ってもらえなかったりすることになります。

子どもからすれば、毎回買ってくれる方が望ましいので、そこに規則を見いだそうとし、『しつこくせがむと買ってもらえるんだ!』『泣くと手に入る!』という自分なりのセオリーを導き出していくのです。

そこで、『ねだると買ってもらえる』のではなく、『誕生日などの特別な出来事のときに買ってもらえるので、ねだる必要はない』という認識に導くことが問題の解決につながっていきます」

Q.子どもから物をねだられたときに買わないと決めている場合、どのような形で子どもを説得したらよいのでしょうか。コツについて、教えてください。

佐藤さん「例えば、子どもがねだる物がおもちゃなどであれば、『これは誕生日プレゼントのリストに入れておこうね』などと、いったんその思いだけをくみ取ってあげると、買ってほしい気持ちを解消できることがあります。例えば、その場でスマホを取り出し、メモアプリに商品名を打ち込めば、子どもは『対応してもらえた』という印象を持つと思います。

また、親も子どもの誕生日が近くなったときに、そのリストを見て、その中から買う物を選ぶことができると思います。一方、頻繁に行くスーパーの場合、この方法では対処し切れない場合もあると思うので、メリハリが必要でしょう。

『おねだり問題』は、おねだりの現場だけで解決しようとしないことが重要です。なぜなら、おねだりは、すでに子どもの感情が崩れていることが多いので、子どもは説得に耳を傾けようと思えないことが多いからです。『理解してくれたらラッキー』という程度に捉えておくのがちょうどいいと思います。

その場で説得できない分は、帰宅後、『○○のときに買ってあげる』などと言って、改めて約束をしましょう。その場でできることといえば、おねだりに応じずに何とか買い物を済ませることだと思います。案外、その場でできることは少ないのです」

Q.子どもに物をねだられたときに親がやってはいけない行為について、教えてください。

佐藤さん「やはり一番やるべきではないのは、子どもの要求に応じてしまうことでしょう。例えば、最初は『これ買って』と言っていただけのおねだりが、次第にエスカレートし、子どもが店内で泣きわめいてしまった場合、親は折れたくなってしまうと思います。

しかし、そこで買った場合、その子は『言葉だけでは買ってもらえなかったけど、大騒ぎしたら買ってもらえた』という経験をします。泣きわめいたり、大騒ぎをしたりすることの効果を子どもに伝えてしまっていることになるわけです。子どもの強い要求に親が折れると、その後、おねだりがさらにエスカレートするため、避けたい行動です。

長々と説得を試みたり、お説教をしたりするなど、長時間、その対応に費やすのも得策ではないと思います。その間、ずっとおねだりに“付き合っている”ことになりますし、親もだんだんとイライラした対応になりがちで、子どもの手を強く引っ張ったり、声を荒らげたりと感情的な言動が出やすくなってしまいます。

子どもは、言葉以上に自分が得た経験から多くを学びます。そのため、『おねだりは取り合ってもらえない』という経験をすることが、説得以上に効果があるのです」

子どもの号泣を防ぐには?

Q.「今日は買わない」と言ったところ、子どもが泣き出すことがあります。子どもの号泣を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。

佐藤さん「気持ちだけは理解してあげつつも、買わないというのが、基本的な接し方です。簡単に言うと、『このお菓子おいしいもんね。ママもこれ大好きだけど、今日は買えないよ』といった感じです。その場で説得して子どもが納得できれば、『お約束が分かってえらいね』とほめることができますが、特に小さい子は親が説明しても、さらに大泣きしてしまうことも多いと思います。

その場合、その場で長々と説得するよりは、買い物を手早く済ませてしまうのが得策でしょう。泣いてからどうするかよりも、泣く前にできることの方がよい対処がしやすいです。

大事なのは、買ってあげる場面とそうでない場面を事前にはっきりさせた上で、お子さんとルールを共有しておくことです。『買ってもらえるか分からない』という、子どもが予測できないことが、『泣いたら買ってもらえる』という認識を深めてしまうので、まずはそこをはっきりさせる必要があります。

何をどれくらい買ってあげるかについては、『こうしないとダメ』というルールはないため、『お誕生日とクリスマスだけ』『パパとママと行ったときだけ』など、それぞれのご家庭の方針に合わせて決めるとよいと思います。まだ言い聞かせても分からない年齢の子であれば、少なくとも親同士でルールを共有し、子どもへの対応に一貫性を持たせるのがとても大事です。

子どもたちはとても賢いので、やっても無駄だと思う行動はだんだんしなくなるものです。泣いてしまうのは、『もしかしたら』という期待感があるためで、親が“ブレない”ことがとても大事になってきます」