糖尿病と遺伝の関係は?

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 発症要因の一つに「遺伝」が指摘されている糖尿病。そのため、「もし、家族に糖尿病の人がいる場合、必ず発症する?」「発症を予防することはできないの?」と気にする人もいるのではないでしょうか。

 糖尿病の発症と遺伝の関係について、実際のところはどうなのでしょうか。自身も1型糖尿病歴30年で、著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

生活習慣を整えて発症リスク低減を

Q.糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)が「遺伝する」というのは事実でしょうか。

市原さん「事実です。ただし、2型糖尿病を発症するかどうかは、遺伝と環境(過食、運動不足、肥満、ストレス)による影響が約半々といわれています。環境は個人差が大きいため、発症率は分かっていませんが、親族に2型糖尿病の人がいる場合、生活習慣に注意しなければ発症しやすいとはいえます。

一方、1型糖尿病の場合、発症に遺伝が関わっているものの、まだ詳しいことは分かっていません。発症率はかなり低く、遺伝することはまれです」

Q.家族に糖尿病の人がいる場合、発症を予防することはできるのでしょうか。

市原さん「発症を防ぐためにできることはあります。遺伝は変えることができないので、生活習慣を整えることに尽きます。肥満を予防するために暴飲暴食は控え、積極的に運動をする習慣づけも大切です。肥満やお酒の飲み過ぎによる『脂肪肝』、肝機能障害があると血糖値が上がりやすくなるので、注意してください。

なお、精神的ストレスや睡眠不足も発症リスクを上げるので、精神面での安定も望まれます」

Q.その他、家族に糖尿病の人がいる場合、日常生活上で特に意識するとよいこととは。

市原さん「先述した生活習慣の見直しに加えて、健康診断を定期的に受けることがとても大切です。症状が出る前に早期発見することが望ましいといえます」