年金額を増やす3つの方法。妻が年下なら「加給年金」もチェック
多くの人が抱える老後資金に関する悩み。じつは、年金額を増やす方法が3つあります。一つ一つ、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに解説してもらいました。
年金額を増やす3つの方法
年金額を増やす方法は3つ。
<年金額を増やす3つの方法>
1)60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける
2)国民年金に任意加入し、未納分の保険料を納付して基礎年金額を増やす。
3)65歳から年金を受け取らずに「繰り下げ受給する」
1つ目は、60歳以降も再雇用などで厚生年金に入って働く方法。加入期間が延びる分、年金額も増えます。
2つ目は、60歳以降厚生年金に入らない人で、国民年金の未納期間がある場合、60歳以降も任意で国民年金に加入できます(最長65歳まで)※。保険料を1年納付すると年金が年額約2万円増え、5年間納付すれば10万円もアップ。
3つ目は、年金受給を65歳から後ろに繰り下げる方法。1か月繰り下げるごとに年金額が0.7パーセント増え、70歳まで繰り下げると42パーセントの増額に。
「繰り下げは75歳までできますが、75歳受給が70歳受給の年金総額を超えるのは91歳以降。平均寿命から考えて、70歳までの繰り下げがおすすめです」
60歳以降、厚生年金に加入していれば自動的に国民年金の未納分も追納されます。厚生年金に加入して働かない場合は、国民年金に任意加入が可能。
●妻が年下なら「加給年金」をチェック
厚生年金の加入期間20年以上の人が年金を受け取り始めたとき、専業主婦期間が長かった年下の配偶者がいると「加給年金」が上乗せされます。金額は年額で約39万円、支給は配偶者が65歳になるまで。
「『ねんきん定期便』に記載されないので知らずに申請しない人も多いです。条件に当てはまる人は要注意!」
年金の繰り下げ受給「した方がいいケース」と「しない方がいいケース」
もらえる年金額が増える「繰り下げ受給」は魅力的ですが、必ずしもした方がいいわけではありません。ケース別に解説します。
●ケース1:65歳で夫婦とも仕事を辞める
老後資金は1500万円ほど。夫婦とも65歳で仕事を辞めて貯金で暮らしたい
→繰り下げNG!
65歳で仕事を辞めて70歳まで年金を繰り下げた場合、65〜70歳の5年間は無収入になります。仮に年間の生活費が300万円とすると、5年で1500万円の貯蓄を使い果たすことに。
いくら年金が増えても、急な病気など不測の事態に対応できません。繰り下げをするなら、その間は働くなどして収入があるのが大前提。現状では再雇用制度などで働けるのは65歳までですから、繰り下げを希望するなら、70歳以降も働けるような環境を整えて準備を。
●ケース2:専業主婦期間が長い
専業主婦期間が長く、もらえる年金額が国民年金+アルファで約80万円の場合。
→繰り下げOK!
平均寿命から考えて男性より長生きする可能性が高い女性は、繰り下げで自分の年金を増やしておくと安心です。
ただし、公的年金収入が110万円を超えると、超えた額によっては税金がかかり、かえって手取りが減る可能性があるので注意。年金額が80万円程度のこのケースでは、4年繰り下げても年金額は約107万円と非課税の範囲内です。繰り下げ中は、貯蓄を取り崩さないように、夫の年金やパート収入などで生活費をまかないましょう。
●ケース3:加給年金をもらいたい
夫は繰り下げをしたいが、加給年金ももらいたい
→(夫は国民年金のみ)繰り下げOK!
厚生年金を繰り下げしている間は、加給年金はもらえません。
繰り下げで年金を増やしながら加給年金も受け取りたい場合は、厚生年金は当初の予定どおり受け取り、国民年金だけ繰り下げを。国民年金を繰り下げても、加給年金には影響しません。
ちなみに、繰り下げは「国民年金だけ」、「厚生年金だけ」、「両方」の3つのパターンから選べます。65歳以降の収入や夫婦の年金額、生活費などを考慮し、自分に合った方法を選んで。