子どもが独立すると夫婦関係に変化があらわれます。夫と一緒に過ごす時間が増え、ささいな衝突に悩む人も多いのではないでしょうか? ベストセラー『女性の品格』を世に送り出した昭和女子大学・総長を務める坂東眞理子さんに、夫婦関係の悩みについてアドバイスをしてもらいました。

子どもが自立した後の夫婦関係の悩み。夫と平和に暮らすには?

子どもが巣立ち、夫婦関係が今までとは違うステージに。夫と向き合う時間が増えるなか、ささいな衝突や戸惑いを感じる人もいるようです。これから世代の夫婦関係の悩みに答えていただきました。

●読者の夫婦関係の悩み

・夫と一緒にいるのが苦痛。できれば別々に暮らしたいです

「夫婦間の考え方がズレてきて苦痛。子育ても終わり、やっと自分の時間をもてるようになったのに...。小さな暮らしでいいので別々に暮らしたいです」(62歳・パート)

 

・夫のモラハラが長年の悩み。離婚できず諦めるしかありません

「長年、夫のDV・モラハラで悩んできました。最近暴力は減りましたが、モラハラは健在。離婚できそうにもないので、正直諦めています」(64歳・専業主婦)

 

・在宅勤務が始まり、平日も夫の世話をするのがつらいんです

「コロナ禍から、夫が週2日しか出勤せず在宅のため、ストレスがたまっています。食事を準備するのも、毎日小言を言われるのも、もう限界です」(51歳・パート)

 

【坂東さんアドバイス】小さくても社会とつながり、夫と依存し合わない関係づくりを

世の中の夫婦のうち、だいたい3分の1は仲がよく、3分の1はつかず離れずの関係で、残りの3分の1は仲が悪いと言われています。仲の良い人は少数派で、大半が「悪いところもあるけど、まぁしょうがないか」という夫婦なわけです。

子育て中は、夫と力を合わせなくてはいけない場面がいくつもあったと思いますが、子どもが巣立ったあとは、毎日顔を合わせ、無理して仲良くする必要はありません。子どもが独立して、やっと自分の時間が増えたのに、どうして夫とだけ一緒にいなくちゃいけないの?(笑)もう少し自由な時間をもつ方がお互いに幸せです。

●夫が定年退職する前に「外に出る」準備を

夫が退職しても、相変わらず家事は妻まかせで、ずっと家でゴロゴロしている…。確かに衝突しても仕方がありません。その対策として、私がおすすめしているのが、夫が定年退職する前から、「外に出る」準備をしておくこと。自分の居場所を家庭だけでなく、外=仕事にもつくっておくのです。

定年を控えて夫も多少なり経済的な不安を抱えているはずなので、「私が働いて、少しでも収入があると安心じゃない?」と言えば、働くことに納得してくれるでしょう。なにより四六時中顔を合わせなくてもいいから、衝突する機会も減ります。

なかには「俺の世話はどうするんだ?」と、外で働く妻のじゃまをする夫もいるかもしれません。でも、家でおとなしくしていたら、夫が妻を幸せにしてくれるわけではありません。単に変化が怖いだけ。夫の愚痴や批判は聞き流し、言いたいことを上手に伝えるのが夫婦の平和を保つ道。これこそが年の功です(笑)。

 

『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代〜70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。