「私たち、セックスレスになってる…」夫と話し合えない40代の私:優子さんの場合3
日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。職場いじめから適応障害を発症した、結婚22年目の主婦・優子さん(仮名・48歳)。回復してもなお夫とは完全なセックスレスのまま。どのようにレス解消をすればいいのか思い悩む現在の心境を打ち明けてくれました。
「もう治ったんだよ、私」セックスレスに切ない妻の悩み
職場で受けたいじめ被害のせいで、適応障害を発症してしまったお話をしました。
診断当初、医師から1か月の休養を言い渡されたのですが、私は結局半年近く仕事を休むことに…。
●腫れ物に触るように接してくる夫
処方されている薬を飲みながらの休養生活。私の場合は、背中に子泣きじじいが重い石になった状態でズーンと乗っかっているかのような症状が続きました。
とくに朝はひどくて、体が重くて動かないのです。目が覚めても寝室がある2階から1階のリビングへ下りることすらできない状態。どちらかというと、メンタルは強い方だと自負していたので、まさか自分がこんな風になるなんて思いませんでした。
そんな私に対して、夫はなるべくいつもどおり接しているつもりなのでしょうが、腫れ物に触るように気を使われているなと感じることが多々ありました。
●気がつけば半年以上もセックスがないまま…
寝て、起きて、食事をとって、「あ、少し調子がよくなってきたかも」と薬をやめると、翌朝また起きれなくなって…ということの繰り返し。「あれは起きるための薬だったのね」とまた飲み始めて、時間をかけて回復していくという、一進一退の状況が続きました。
日中も、リビングの片隅でひざをさすっているとラクなんですよね。洗濯機を回すことはできるけれど、干すことができなくて、そのことがショックで急に泣いてしまうこともありました。
多少の波はありつつも、職場から離れて段々と落ち着きを取り戻していったのですが、私の不安定さを間近で見ていた夫からはセックスを求められることもなくなり、気がつけばあっという間に半年が経過。
あれ? 私、セックスレスになっている? と思い始めたのはこの頃です。
●戻りたい職場ではない。理事長夫婦のことも嫌い。
私の休職中、職場の上司である保育園の理事長とその奥様の事務長から何度か連絡がありました。私にパワハラをしたA子と面談をし、本人が事実関係をおおむね認めて謝罪したいと泣いていたこと、その翌週に「やっぱり謝るくらいなら辞めます」と言い残して退職したこと、原因となった本人がいなくなったのだからぜひ戻ってきてほしい、夜まで働ける人が減ってしまって困っているということなどがパラパラ伝えられてきました。
でもその間に私の方も冷静になり、どこまでも他人事な理事長夫婦に対して、すっかり愛想が尽きてしまいました。A子だけが負担になっていたのではなく、この人たちのことも嫌いだなと感じたのです。
半年が経ち、仕事ができるまでに心身の回復はできたのですが、「もう戻りたい職場ではない」と決心がついて正式に退職をしました。
幸いこの頃には夫の新しい仕事が軌道に乗っていたので、お金の心配もいらなくなっていました。もうがまんしてまで働く必要もありません。
もちろん「だいぶ回復したけれど、あの職場には戻りたくないから辞めようと思う」といちばんに相談したのは夫。「うん、いいんじゃない。僕は大賛成だよ。そんな職場にしがみつくことない」と退職を後押ししてくれました。
けれど、夫との夫婦生活は途絶えたまま。
●セックスレスで悩んでいることを夫にどう伝えればいいのかわからない
こうしてまた専業主婦に戻ってしまった私。適応障害の診断から一年が経った今、投薬治療こそ卒業することができたものの、ネットバンキングの振り込みなど時間制限があってテキパキやらないとログインがきれてしまうような作業をするときなどに、あの震えが出てしまうことがあります。
夫に「もう治ったんだよ、私」と伝えているのですが、そういう場面を見てしまっているせいでしょうか、セックスするという雰囲気は皆無のまま。時間がどんどん過ぎて、今、どう誘ったらいいのかわからなくなっています。
●病気になる前の自分には戻れないから…
病気になる前は夫が誘ってきたらするということが多かったので、この状況をどう打開していったらいいのか解決策が見つかりません。「私たち、レスになっているよね」ということを話し合いたいけれど、これも自分の体調がなるべくいいときにしようとして、いざ話し合わなきゃというタイミングになると、プレッシャーのせいかまた体調が悪くなってしまうことに気がつきました。
今回も、取材を受けるから! って話をしてきっかけにしようとしたのですが、風邪を引いてしまって…。私は自分で思っていたほど強くはなかったのです。
病気になる前の自分と同じ体を取り戻すことは難しいのは理解してます。もう、この体とうまくつき合っていくしかありません。そこの調整が、まだうまくできないんですよね。
休職していた頃に比べれば本当によくなったのですが、たまにくる発作的な震えを目の当たりにする夫は「あらら、大変。こんなの大したことじゃないから、いったん落ち着こう」と相変わらず軽く受け流しながら接してくれるので、そこに救われている部分はあります。
でも、そうやって体調を気遣ってくれているとわかるからこそ、誘いにくくって。
この状態がずるずる長引くのもよくないって思っているんです。だんだん陽も長くなってきたし、今年の夏のうちに…。夫と話し合いを持つきっかけづくりができればと思っています。