Apple「探す」アプリへの対応がポイント!「AirTag」よりも安価な紛失防止タグ6選
Appleの「探す」ネットワークに対応するサードパーティ性の紛失防止タグが続々と増えてきました。iPhoneの「探す」アプリから初期設定を行えて、捜索も簡単。一部機能は限られますが、純正のAirTagよりも安価に入手できるのがメリットです。
本稿では、こうしたサービスの概要・市場背景を振り返ったうえで、主な製品について紹介していきましょう。
■そもそも「AirTag」とは?
今回紹介するサードパーティ製の紛失防止タグについて、検討時の比較対象に必ず挙がるのが、Apple純正の「AirTag(エアタグ)」です。同製品は、2021年4月30日に発売されました。
▲筆者のAirTag。普段、家の鍵につけて使っているので、少し傷がついている
価格は1個4780円。4個セットで1万5980円。コイン型電池で駆動するので、長期的に利用できるものの、紛失防止タグというジャンルのなかでは、価格は高額な部類です。また、タグ本体に穴などはなく、キーホルダーなどに固定したい場合には、対応のホルダーなどを別途用意する必要もあります。
>> 「AirTag」はめっちゃいいんだけどサイズが…。だったらゴムで挟んでキーホルダーにしてみる?
一方、AirTagのメリットは、U1チップを搭載したiPhone(11シリーズ以降)から、「超広帯域テクノロジー(UWB)」によって、近くにあるタグまでの方向・距離をかなり正確に検知できること。一般的な紛失防止タグと同様に音を鳴らすこともできますが、より正確な捜索が行えることが最大の魅力です。
▲U1チップ内蔵のiPhoneならば、近くにある自分のAirTagまでの方向と距離を表示できる
また、耐久性にも優れていて、動作温度は-20℃〜60℃までと広く、防水性能についてもIP67 に準拠し、水深1m で最大30分間耐えられるとされます。
値段は高いけれど、相応の機能・性能を備えたハイエンドモデルといった印象ですね。
■実はサードパーティ製品への展開は早かった
Appleがサードパーティに対して「探す」アプリのネットワークを利用できるようにしたのは、数年前に遡ります。
実は、2021年4月7日の時点で、Appleは「Appleの『探す』ネットワークで、新たに他社製のアイテムを見つけることが可能に」と題したニュースリリースを公開していました。これはAirTagが発売される少し前のことです。
同リリースでは、MFiプログラム(Made for iPhoneプログラム)の一環として、サードパーティが利用できる「探す」ネットワーク対応アクセサリプログラム(The Find My Network Accessory Program)のスタートについて言及しており、この時点で自転車や紛失防止タグなどが「探す」アプリに対応していました。
なかでも、初めてApple Find Myに対応したとされる紛失防止タグ「Chipolo ONE Shot」は、2021年6月に米国で発売され、同年11月にはBlue Green Groupによって日本国内でも取り扱われるようになりました。
▲同プログラムでの認証を経て「探す」アプリに対応した製品には、「Works with Apple Find My」バッジが付与される。このマークを覚えておこう
やや時間が経過し、こうしたニュースの記憶も薄れてきたところでしたが、2023年に入ってから+StyleやAnkerなど、いくつかの大手ブランドが「探す」ネットワークに対応した紛失防止タグを発売。続々とサードパーティ製品の選択肢が増えたことで、ユーザーにとっても注目したいトレンドとなっています。
サードパーティ製品では、いまのところUWBによる方向と距離での捜索ができる製品はないものの、探す「ネットワーク」を活用できて、AirTagよりも一回り安価に入手できるのがメリットと言えます。
以降は、探す対応の紛失防止タグのうち、主要な製品について、ピックアップして紹介していきましょう。
1. Chipolo「Chipolo ONE Spot」
いち早く「探す」対応製品を発売したChipoloについては、先述の通り、国内ではBlue Green Groupが「Chipolo ONE Spot」(3700円)を21年11月に発売。こちらはキーホルダーなどに装着するためのホールが備わっており、防水性能はIPX5。対応温度は-15°C〜50°C。バッテリー交換も可能です。ちなみに、メーカー保証は1年間です。
▲Chipolo ONE Spot
>> 紛失防止タグはでっかい音で知らせてくれた方が見つけやすい!
ほかにも、財布などに収納しやすいカードタイプの「Chipolo CARD Spot」(4999円)を2022年9月に発売しています。防水性能はこちらもIPX5で、対応温度も-15°C〜50°C。バッテリー持ちは2年で、自力での交換は基本的にできません(一応、交換プログラムは用意されています)。メーカー保証は1年間です。
▲Chipolo CARD Spot
2. +Style「まもサーチTag」
2023年2月にBBソフトサービスが「プラススタイル(+Style)」ブランドから発売したのが「まもサーチTag」です。価格は3480円で、Chipolo ONE Spotより少しだけ安いですね。
本体には、キーホルダーなどに固定するためのホールが備わっています。防水性能はIPX5で、使用環境は0℃〜40℃。バッテリーは交換可能です。メーカー保証も2年間で長め。
▲まもサーチTag
3. Anker「Eufy Security SmartTrack Link」
4. Anker「Eufy Security SmartTrack Card」
Ankerは、2022年10月にタグ型の「Eufy Security SmartTrack Link」(2990円)を、2023年2月にカード型の「Eufy Security SmartTrack Card」(3990円)を発売しています。
▲Eufy Security SmartTrack Link
Eufy Security SmartTrack Linkは、先述の「まもサーチTag」よりさらに一回り安価で、3000円を下回ります。キーホルダー等に固定するための穴を備え、電池交換も可能。メーカー保証は18ヶ月〜(※Anker Japan公式サイト会員登録すると+6ヶ月)。ただし、同製品の防水性能はIPX4なので、小雨に耐えられる程度と思っておきましょう。カバンの中に入れておくなら、これでも十分かもしれません。動作温度は-5℃〜45℃。
▲Eufy Security SmartTrack Card
Eufy Security SmartTrack Cardは、財布に入れやすいカード型の製品です。こちらは電池交換不可で、最大3年間使用可能です。防水は同じくIPX4。なお、金属製のクリップが同梱されていて、それを組み合わせれば、例えばパスポートなどに挟み込んで利用することも可能になります。保証期間・動作温度などは前者と同じです。
>> Apple製品とも相性◎。Eufyの紛失防止トラッカーは財布に入れてもモコッとしない薄型!
5. コスパの高いグリーンハウス「DIGL」
グリーンハウスが2023年4月に発売した「DIGL(ディグル)」も注目です。価格が1個2980円で、先述した「Eufy Security SmartTrack Link」と同じくらい。さらに、3個セットでも7980円です。
▲DIGL
ストラップが付属しているほか、アクセサリーを活用すれば、ペットの首輪や、自転車のサドルなどにも固定できることもポイント。活用の幅は広いと言えます。
電池交換にも対応。防水防塵性能がIP66もあるので、傘を刺さずに雨に濡れてしまうカバンなどでも、安心して設置できます。動作温度範囲は-5℃〜45℃。メーカー保証は1年間です。
>> 無くして困るモノはiPhoneの「探す」と連携できるスマートタグを有効活用しよう!
6. キーチェーン付きなエルソニック「Item Finder」
ノジマのプライベートブランドである「エルソニック」から2023年1月に発売されたのが「Item Finder(ECT-ST1)」です。価格は4070円。ノジマの店舗やノジマオンラインで取り扱われています。同製品にはキーチェーンが付属しているのが特徴です。
防水性能はIPX4で、動作温度は明記なし。電池交換には対応します。メーカー保証期間は1年間。
▲Item Finder(ECT-ST1)
■「探す」アプリへの登録手順について
なお、以下画像のキャプションにて、グリーンハウスの「DIGL」を例にした初期設定手順のポイントを紹介します。他メーカーの製品でも大まかな流れは共通するので、覚えておきましょう。
▲「探す」アプリ内「持ち物を探す」タブから「+」をタップし、「その他の持ち物を追加」を選択(左)。通電させた(あるいはペアリングモードをオンにした)紛失防止タグが検出されたら「接続」をタップする(右)。あとは画面に表示される手順通りに初期設定を進めよう
* * *
今回紹介した製品の主要な仕様を表にまとめました。
価格などの情報は2023年5月上旬時点でのもの。時期によって変更される可能性があることはご了承くださいどれを選んでも、体験に大きな差はありませんが、想定利用方法に合わせた仕様を見極めると、長期的に安定した動作を見込みやすくなるでしょう。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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