「映画2000円」トレンド入りで議論百出…業界の課題は「割引で見る人ばかり」制作費の回収には6倍の興収が必要とも
映画の値上げにはゴジラも無念?(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
5月1日、TOHOシネマズは、6月1日から映画鑑賞料金を改定することを公式サイトで発表した。現行料金がそれぞれ100円ずつ上がり、一般料金は1900円から2000円となる。
同社が2019年6月に1800円から1900円に値上げしてから、4年ぶりとなる価格改定。「エネルギー価格の高騰や円安による仕入れコストの上昇、アルバイト人件費を中心とした運営コスト増や各種設備投資における負担増等」がのしかかり、企業努力では対応しきれなくなったことが理由という。
映画料金は年々上昇しており、日本映画製作者連盟(映連)によると、1980年に1000円台に乗った平均入場料は、1992年に1200円、2021年に1400円を超え、じわじわ値上がりが続いている。
これまでも「映画館は高くなった……」というため息は聞こえてきたが、今回、一般料金が2000円に乗ったことで、ファンは大きな衝撃を受けたようだ。Twitterでは「映画2000円」がトレンド入りし、さまざまな意見が飛び交った。
《映画2000円高すぎて笑う もう割り引きしてるときにしか行けねえわ》
《映画2000円でも平気で見に行くのだけど、周りに迷惑かける人々(しゃべる・スマホ見る)が退場してもらいたい》
《映画2000円にするより、1000円くらいにして気軽になんでも見れるようにしたら、配信までまつ勢も来てくれるような気がする》
《映画2000円になっても特典欲しいヲタクはちょろいからリピートしまくるぞ》
《ますます、アニメとジャニーズ映画以外はヒットしなくなりそうだね》
《映画2000円、ゴミみたいな飲み会で飲み放題5000円より100倍有意義》
映画業界の関係者が、構造的な問題についてこう明かす。
「映連のデータでは、最新の平均入場料は1402円です。しかし、映画鑑賞の基本料金を指す『窓口料金』は、総務省が出しているデータによれば、1994年からおおむね1800円に落ち着いています。
平均入場料と窓口料金に乖離があるのは、割引料金で映画を鑑賞する人が増えたから。映画業界では、一般料金で見ている人の数が少ないというのが、ここ10年ほどの課題でした。
また、映画は興行収入のおよそ50%は興行会社の取りぶんで、35%が配給と広告、残り15%が製作会社とされています。単純計算で、制作費の6倍以上の興行収入がないと、製作会社は赤字になるのです。それでも親会社があるからなんとか回っているという構造なんです。
今回のチケット料金値上げは、取りぶんの分子を増やして、興行の平均分配金額を上げるための措置になります」
今回のニュースで、Twitter上では「映画離れ」「映画館離れ」といったワードもトレンド入りしている。チケット料金値上げは、吉と出るか凶と出るか。