オイル点検窓でどの範囲ならセーフ?【ライドメンテナンス019】(ピックアップ)
必ずエンジン始動前に!
中型以上のスポーツバイクには、エンジンオイル量の点検窓がある。ご存じのようにエンジンが停止している状態で、この窓の真ん中あたりにオイルのレベルが見えていればOKだ。
ただこれは必ずエンジン始動前に見ておかなければならない。なぜならエンジンを始動してしまうと、エンジンオイルはポンプによってエンジン各部へ運ばれてしまうからだ。
そうなるとエンジンを停止しても、カムシャフト駆動やクラッチにミッションなどに圧送されたオイルが溜まっていて、かなりの時間を待たないと一番下の点検窓にレベルを示す状態へと戻らない。
これは高負荷で運転をして、エンジンが高温でエンジンオイルも粘りのない水のような状態でも、各部が回転や往復などの動きを止めてから、徐々にオイルを溜めておくオイルパンへと下りていかない。
なので、走行直後にオイル点検窓でオイル量のチェックはできないのだ。
またサイドスタンドで駐車している場合がほとんどなので、オイル点検窓を確認するときは車体を起して直立させ、10秒ほど待ってからチェックしよう。
冬場など寒くなるほど車体の角度を変えたとき、落ち着くまで暫く時間がかかるので、待たずにチェックしてオイル量を少なく、或いは多過ぎるのを誤認してしまうかも知れないのだ。
逆に多過ぎてもNG……
点検窓がサイドスタンドで傾くのと反対側にある場合、停車していた状態ではオイルレベルが見えていないことはよくある。
しかしバイクを直立まで起したとき、点検窓の下の縁に全くオイルが見えないとなると要注意。
そこで点検窓のある側へ車体を20°ちょっとまで傾け、何とかオイルが見えてきたら、取り敢えず近くのディーラーかガソリンスタンドまで、エンジンの回転を上げずに徐行で走り、応急処置としてオイルを補填してから通常運転するという段取りはしたい。そして早い時期に混在したオイルは新しいオイルに交換してしまおう。
またこの逆で点検窓の上までオイルで満たされているのも困りモノ。
多いのだから不足しているのと違って、多少は余裕も見込んで多めで良いと思いがちだ。
しかし適量より多いと、エンジンオイルに浸っているギヤとかクラッチなどが、攪拌する量も多くなりオイルが霧化しやすく圧力も高まって急激に減ってしまう可能性も出てくる。
汚れは使用オイルで見え方が異なる補填より全交換を推奨
また点検窓からはオイルのレベルだけでなく、オイルの汚れ具合も目で確認できる。
黒ずんでくれば、排気ガスのカーボンやエンジン内部の金属の摩耗汚れが進んでいる証し。
ただ鉱物油であればそもそも黒くなりやすく、合成オイルだと反対になかなか黒ずんでこないという違いがある。
定期的に3,000kmとか、たまにしか乗らないライダーなら1,000km未満でオイル交換してもイイだろう。
合成オイルは数千キロも無交換で良いとされる場合もあるので、4~5千km毎にオイル交換されても良い筈。
もちろん各ディーラーで使用オイルや交換までの距離だけでなく、時間でも一定以上過ぎたら交換したほうが良いと判断する筈なので、常に相談するカタチでメンテナンスには気を配りたいところ。
合成オイルなど高価なクラスだと、1年や1万キロを無交換で良いとされる場合も出てきているが、頻度を高めて短時間や短い走行で交換しても弊害はないので、抵抗も少なく軽やかに回る状態を楽しむのも良いだろう。
何れにしても、点検窓で毎回始動する前にオイルレベルの確認を怠らないことだ。