ワンオペ育児に理解のない夫に涙、“トドメの発言“に全てをあきらめた

子どもを持つ母は、「24時間セコム」状態。赤ちゃんなら生かしておくのに精いっぱい、幼児期は危ないことをしないか見張ってなくてはいけません。何もしていないように見えても、常に子どもを気にかけていますが、夫からすると「何もしてない」ように見えてしまうようです。佐原いくみさん(仮名・32歳)の夫もその一人です。

◆「家が汚い」と夫からダメ出し

「寝ている間に寝返りして息が止まっていたらどうしようとか、子どもが寝ている間に洗濯をしようとか、いつも頭の中はフル回転です。赤ちゃんは3時間おきに起きるし、寝てほしいときに寝てくれないので慢性寝不足。そんな24時間セコム状態で余裕がないので、もちろんただでさえ苦手な家事は後回しになってしまいます」

慣れない育児に奮闘し、家事がうまくはかどらない日も多い中、夫が仕事から帰宅すると「家が汚い」などと片っ端からダメ出しをしてくるそう。

「わたしもできる限りのことはしたいと思うのですが、正直疲れ果ててそれどころではありません。なのに帰るなり『一日中家にいたのに、何やってたの?』と不機嫌になります。何やってるって、子どもの世話なんですけどね…。自分なりに頑張っているのに、自己嫌悪になり落ち込みました」

 さらに追い打ちをかけて、こんなことも言いだしたそうです。

◆子育て中の主婦は「家にいてヒマ」

「だんだん日を追うごとに、発言がイヤミになっていきました。子どもがぐずって大変で、頼まれていた買い物を忘れてしまった日には、ものすごくバカにしたような顔で『家でヒマなんだからさぁ、これくらいやっとけよ!』と言われたんです。その瞬間はグッとこらえましたが、そのあと一人で大泣きしました」

 家で子どもと一緒にいるだけ、と思っている夫に、なんとか分かってもらいたいと思った佐原さん。夫に改めて、人間ひとりの生死が自分にかかっているプレッシャーや、常に目が離せず、ご飯やトイレさえ自分のペースで行けないストレスもを、涙ながらに夫に訴えました。

 ですが、夫には「いいわけ」にしか聞こえなかったようです。

◆“トドメの発言”にもうあきらめた

「『そんなの母親なら当たり前だろ』って言われました。もうそこで夫にはほとほと愛想が尽きましたね。いくら説明しても絶対に分かってもらえないだろうと、ある意味あきらめをもって接するようになりました」

 夫は、そんな佐原さんの気持ちも知らないまま、今日ものんきに「いいよなぁ、ずっと家でいられて。俺も家にいてのんびりしたいなぁ」と言い放っているそうです。

 そんな夫に毎日、小さな殺意を感じながら、育児に奮闘している佐原さんは、あることを考えているそうです。

「子育てが落ち着いたら、育児のしんどさを吐きだせるママの居場所みたいなものを作りたいです。わたしのような苦しい人の救いになればよいなと思います」

 理解のない夫が、将来大きく羽ばたくための原動力になるかもしれませんね。

―シリーズ「出産・子育てでの“許せない一言/行動”」―
<文/塩辛いか乃>

【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako