日常的な生活援助が必要な家族の介護や世話をする「ケアラー」に対する支援を検討するため、有識者による今年度最後の意見交換会が17日、宇都宮市の県公館で開かれ、栃木県が新年度に行う取り組みを示しました。

 会議には、委員13人が出席し、まず栃木県が、新年度に行う新たな取り組みなどを説明しました。このうち、家族の世話をする18歳未満のこどもを指すヤングケアラーの支援として、早期発見や初期対応を強化するため県は、すべての公立学校の教職員を対象に研修を行うほか県民の理解を促進するためのシンポジウムを開きます。また、学校現場と家庭をつなぐ役割を担うスクールソーシャルワーカーを現在の33人から拡充させます。

 栃木県が去年(2022年)夏に、県内の小中、高校生合わせて5万2千人を対象に行ったヤングケアラーの実態調査では、世話をしている家族がいると答えた小学6年生は12%で、国の調査と比較して特に高い割合にあります。

 こうした報告を受けた自身が元ヤングケアラーの委員が、「悩みを抱えた子どもは大人に相談できない人もいる。寄り添うためには、支援を行う人の質も量も大切」と呼びかけるなど、それぞれの委員からは、意見が相次ぎました。

 栃木県は、3月の県議会で可決されたケアラー支援条例を4月1日から施行することに加え、県議会議員や雇用関係者などを委員に迎えてこの意見交換会を協議会に発展させて支援の在り方を検討していきます。初会合は5月に開く予定です。