日本人参加者は放送前に降板…韓国オーディション番組の出演者に次々と“問題”が浮上するワケ

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オーディション番組の出演者に関連する暴露が相次ぎ、疲労感が高まっている。

【写真】“日本人参加者”、韓国オーディション番組から降板

韓国のオーディション番組『燃えるトロットマン』(原題、MBN)の優勝候補だったファン・ヨンウンをめぐる校内暴力疑惑が世間を騒がせたなか、今度はオーディション番組『PEAK TIME』(JTBC)出演者の校内暴力疑惑が提起された。

オーディション番組の出演者や参加者に関する暴露が続いている状況なのだ。

「またテレビに…嘔吐感さえ感じる」

 

『PEAK TIME』出演者であるキム・ヒョンジェと小・中学校の同窓生と明かしたA氏は3月6日、とあるオンラインコミュニティにキム・ヒョンジェの過去を公論化するという文章を書いた。

(写真=キム・ヒョンジェSNS)

A氏は「キム・ヒョンジェから“臭う”、“汚い”という嘲弄と、持続的なガスライティングを受けた」と主張。ガスライティングとは、状況の操作を通じて相手が自らを疑わせ判断力を落とす心理的な虐待行為を指す。

最終的に我慢できなかったA氏は校内暴力として学校に申告したが、田舎という特性上、親同士が知り合いであったため、「子供同士なのでそういうこともありうる」と一段落してしまったと伝えた。

続けて「キム・ヒョンジェがグループ活動をしていたときは、“自分が我慢しよう”と思ったが、再び姿を現そうとしている今の状況に嘔吐感さえ感じ、怖くなり始めた」と打ち明けた。

キム・ヒョンジェは「ザ・キング」という活動名で、2017年に6人組ボーイズグループ「BLACK6IX」でデビューした。

そんなA氏の暴露に、『PEAK TIME』制作陣は「事実関係を確認中」と明らかにした。

『PEAK TIME』の関係者は、「単純にオンラインコミュニティの文章だけで決定ができない問題だ」とし、「文章の真偽を確認し、当事者の疎明も聞かなければならない。現在まで確認したところ、キム・ヒョンジェは全校生が30人前後の全羅南道・新安(シンアン)の分校出身だ。様々な可能性を念頭に置いて多角的に確認している」と耳打ちした。

次々と提起される校内暴力疑惑

オーディション番組出演者の校内暴力議論は今回が初めてではない。

2019年に放送された『PRODUCE X 101』(Mnet)の出演者だったJYPエンターテインメント所属の練習生ユン・ソビンは、過去に「暴力不良」という文章が掲示されるやいなや番組から降板し、所属事務所からも“退場”となった。

2017年に放送された『高等ラッパー』(Mnet)シーズン1でも、チャン・ジェウォン議員の息子チャン・ヨンジュンが性売買疑惑や校内暴力議論に包まれて降板。2020年の『ミス・トロット2』(TV朝鮮)出演者であったチン・ダルレも、やはり校内暴力の前歴を認めて降板した。

来る3月23日に韓国での放送を控えた『放課後のときめきシーズン2−少年ファンタジー』(MBC)では、日本人参加者のヒナタが校内暴力ではないものの、私生活の問題で番組を降板することが決まった。

(写真=MBC)ヒナタ

芸能人志望生、あるいは現役歌手を対象とするオーディション番組で、特に校内暴力の加害疑惑が頻繁に提起される理由は何であろうか。

とある大手芸能事務所の関係者は、「歌手練習生、あるいは現役歌手の場合、芸能人になりたい気持ちから同年代よりも早く“社会化”されることが多い。喧嘩が強いというよりは、自己主張が強く、世論の形成が上手で学校内の仲間を導くケースが多いため、あとあとになって校内暴力の疑惑の中心に立つようになる」と分析した。

もしそうであるならば、議論の余地のある出演者を事前に排除する方法はないのだろうか。

放送関係者たちは「100%選別するのは、現実的に不可能だ」と口をそろえる。とある関係者は、「大規模な人員を対象に開催する放送局のオーディション番組の場合、100人近い人員の過去を捜査機関のように一つひとつ点検することはできない。さらに一部の不道徳な制作陣であれば、スターになりそうな出演者をノイズマーケティング手段として活用する場合もある」と話した。

同じ悩みは、芸能事務所にもつながる。芸能事務所の関係者は「デビューすればスターになるのが目に見えるが、人間性に問題がある練習生と、人間性は正しいが才能のない練習生のうち、どちらをデビューさせるべきか悩んだりもした」と告白した。

無分別な暴露は…無実の被害者も

すでに社会が校内暴力の加害者に厳しい非難を与えているため、芸能界全体に自浄作用が急務だという声が多い。

ただ、嘘の暴露によって無実の出演者が被害を受けることがあってはならない。2020年のオーディション番組『Sing Again』(JTBC)に出演した歌手ヨ・アリの場合、番組の終わり間際に校内暴力疑惑が浮上し、リアルタイム携帯メール投票が伸びずに6位で競演を終えた。

しかしその暴露文は個人情報侵害という理由でオンライン掲示板から削除され、『Sing Again』側も「校内暴力疑惑は事実無根」という立場を明らかにした。結果的に、嘘の暴露で被害を受けたわけだ。

また別の放送関係者は、「最近議論となった『燃えるトロットマン』のファン・ヨンウンや、新任国家捜査本部長に任命されたチョン・スンシン弁護士の息子の場合、過去の校内暴力が公式的に問題になった状況なので事実関係を確認できるが、そうでない場合、真偽を確認すること自体が難しい」と述べた。

そして「暴露文が掲示されたら無条件に降板するというようでは、また別の被害者を量産することになり得るため、制作陣も悩みが多い。視聴者とオンラインユーザーも冷静に事実関係を判断してほしい」と呼びかけた。