「3年ぶりにインフルエンザ流行開始」東京など1都5県、新型コロナとの同時流行の警戒強まる
12月22日、東京都は約3年ぶりにインフルエンザの流行期に入ったことを発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大も続く中、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念されます。このニュースについて甲斐沼先生にお話しを伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(医師)
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。
インフルエンザの流行期とは?
インフルエンザの流行期とは、どのような状態を指すのか教えてください。
甲斐沼先生
全国約5000カ所のインフルエンザ定点医療機関(インフルエンザの患者数を報告する医療機関)において、「1医療機関あたり1人以上」の患者の割合になると、インフルエンザの流行期と判断されます。12月22日時点で、岩手県、富山県、青森県、熊本県、東京都、神奈川県の1都5県においてインフルエンザの流行期に入ったことが確認されました。インフルエンザの流行は、新型コロナウイルス感染が拡大する前の2019年の10月以来、およそ3年ぶりとなります。
インフルエンザの流行期、気をつけることは?
インフルエンザの流行期、どのようなことに気をつけるべきか教えてください。
甲斐沼先生
みなさんご存じのように、インフルエンザは非常に感染力が高いウイルスです。そのため、流行が始まると一気に感染が拡大していく恐れがあります。インフルエンザは「飛沫感染」と「接触感染」の2つの感染経路があります。感染者がくしゃみや咳をすることによって飛散されたウイルスを、別の人が吸い込むことによって感染するのが飛沫感染です。感染者が手などにウイルスが付着したまま周囲の物(スイッチやドアノブやつり革など)を触り、別の人が物を触った後に口や鼻などを触ることで粘膜から感染することを接触感染と言います。
インフルエンザの流行期には、手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策を徹底して、できるだけ多くの人が集まる場所を避けるようにしましょう。また、インフルエンザワクチンによって発症・重症化リスクを下げることができるので、可能な限り流行のピーク前までに予防接種を受けることを推奨します。これからの年末年始は、人の移動が増える時期ですので、より徹底した感染対策が求められます。
新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行するとどうなる?
新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行することで、どのような懸念点があるのか教えてください。
甲斐沼先生
インフルエンザの流行期に入った現在も、依然として新型コロナウイルスの流行の勢いは衰えません。そして2022年、新型コロナウイルスが流行して以降、はじめてのインフルエンザ流行期を迎えたことにより、今後は医療機関体制が厳しくなることが予想されます。
また、年末年始は多くの医療機関が休診になる中、新型コロナウイルスとインフルエンザの患者数が増加することで、医療機関のひっ迫が懸念されます。急な発熱などに対応ができないケースや必要な人に医療が届かないケースも発生してくるかもしれません。特に高齢者や乳幼児、持病がある人などは、感染をしないように十分注意を払うとともに、近隣の医療機関の休診情報などを事前に調べておく必要があるでしょう。
まとめ
12月22日、インフルエンザの流行が約3年ぶりに確認されたことが今回のニュースで分かりました。新型コロナウイルスとの同時流行が懸念される中、人の移動が増える年末年始に備えて、より徹底した感染防止対策が求められます。
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