両面スマホがいよいよ登場? これまでの使い方が変わる新デザインになるか

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スマートフォンの背面を活用する様々なアイディアが登場している。
アップルはマグネットを内蔵しワイヤレス充電機やサイフを張り付けることのできる「MagSafe」を大々的に採用している。類似の技術は、ほかのメーカーもいくつかのモデルで採用しているが、今のところスマートフォンの標準機能にはなっていない。

一方、普段は使わないスマートフォンの背面を表示画面にしようというアイディアもこれまでいくつか登場している。
そしてサムスンがこの技術の特許を出したことで、いよいよ「両画面スマホ」が実現するかもしれない。海外メディアの報道によると、サムスンは背面を透明にした両画面スマートフォンの特許を出したという。

スマートフォンの背面をディスプレイにするアイディアは今回が初めてではない。数年前には背面に電子ペーパーディスプレイを内蔵させて「スマホ+電子ブックリーダー」として使う製品が登場した。しかし端末の価格が高く、ほとんどの消費者は興味を持つことはなかった。
電子ブックリーダーとしては、アマゾンのKindleなどの専用端末が安く購入でき、また画面も大きいことから「スマホ+Kindle」という2台持ちをしたほうが、コストも利便性も上回っていたからだ。


初期の両画面スマホ。裏面は電子ペーパーだった


その後、今度は裏面もカラー表示可能な真の両画面スマートフォンが登場した。
しかし裏面をうまく活用するアプリが無く、そして同様にコストが高いことから数モデルが市場に登場しただけで終わっている。
こうした製品に最も注力していたメーカーはNubiaだったが、2機種を出しただけで開発を終了。その後Nubiaはゲーミングスマートフォンの開発に特化している。


NubiaのZ20は両面カラー表示可能なスマホ


Nubia以降は背面にサブディスプレイを搭載するスマートフォンがいくつか登場した。
たとえばシャオミのMi 11 Ultraは、カメラの横に1.1インチの小型ディスプレイを備え、時刻、天気、通知の表示や、メインカメラを使った時のプレビュー画面とすることで高画質な自撮りを可能とした。
スマートフォンが日常生活の必需品となり、常に通知を受けることが当たり前になったことで、スマートフォンを裏返したときも通知を知りたいと思うユーザーのニーズに応えた製品と言えるだろう。


Mi 11 Ultraの背面サブディスプレイ


サムスンの特許も、このサブディスプレイ的な使い方が想定されているようだ。
背面は透明であり、普段は内部の基盤などが見える構造になっている。内部が見えるスマートフォンとしてはNothing Phone (1)がメジャーなところだが、サムスンの両画面スマートフォンではその透明な背面の一部を表示エリアにするものだという。

たとえば通知が来れば、正方形のウィンドウが現れそこにメッセージなどが表示される。あるいはメインカメラを使って自撮りをするときにプレビュー画面を表示する、といった使い方だ。


透明な背面の一部に通知などを表示できる


この技術が実用化されれば、スマートフォンのフロントカメラは不要になる。
自撮り、あるいやビデオ会議をしたいときは、背面のメインカメラを使い、自分の顔も背面に表示できるからだ。ビデオ会議では他のメンバーも背面に表示できるようになるだろう。そしてスマートフォンを使うとき、メインディスプレイの「邪魔な」フロントカメラ領域が無くなれば、より高い没入感で動画を見ることができる。

また最近数が増えている折りたたみスマートフォンにもこの技術は応用できそうだ。
サムスンの縦折り式のスマートフォン、Galaxy Z Flip4は閉じたときにも簡単な操作ができるようにとサブディスプレイが搭載されている。

しかしサブディスプレイを搭載することで本体の厚みをこれ以上薄くすることはできない。
背面を透明化して必要な表示だけを投影できるようにすれば、本体厚みを薄くすることもできるだろう。


縦折り式スマホの背面に応用できそうだ


スマートフォンの背面が表示エリアにできれば、どんなことができるだろうか?
サムスンの特許はすぐに製品化されるものではないが、スマートフォンの新しい使い方や利用スタイルを生み出してくれるかもしれない。




執筆 山根康宏