DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

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今季、阪神相手に16勝9敗、本拠地では11勝2敗と“お得意様”だったが…

■阪神 2ー0 DeNA(CSファースト・8日・横浜)

 DeNAは8日、横浜スタジアムで行われたセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦で、リーグ3位の阪神に0-2で敗れた。シーズンでは本拠地で対阪神11勝2敗と大きく勝ち越し相性抜群だったが、まさかの完封負け。オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任した野球評論家の新井宏昌氏は「短期決戦はいかにいつも通りのプレーができるか。記録に残らないミスが出た」と分析した。

 シーズンを2位で通過したDeNAが早くも崖っぷちに立たされた。両チーム無得点で迎えた5回にエース・今永が1死満塁のピンチを背負うと、近本に中前2点適時打を浴びた。5回2失点と粘りの投球を見せたものの、打線が阪神投手陣を打ち崩せずシャットアウト負けを喫した。

 今季は阪神相手に16勝9敗、本拠地では11勝2敗と大きく勝ち越す“地の利”もポストシーズンでは通用しなかった。この日はシーズン打率3割を記録した宮崎をスタメンから外し、40歳のベテラン・藤田を「6番・三塁」で起用するなど、相手先発の青柳攻略に向けて対策を試みたが、ロースコアの展開を打破できなかった。

 143試合を戦うシーズンと短期決戦のCSは別物。DeNAの敗戦に新井氏は「藤田の起用は首脳陣の思惑通りにいったが、短期決戦ではミスをした方が負ける。いかにいつも通りのプレーができるか。大事な試合で避けたいミスが出た」と振り返った。

今永は5回2失点と試合は作ったが「左対左で三振を取れていたボールが打たれる」

 まず、新井氏が指摘するのは3回の守備。1死走者なしから中野のゴロを遊撃・森はグラブの中でボールを持ち替え送球しセーフに。記録は遊撃内野安打となり「頭の中で中野の走力が入っていたか。エラーのランプがつけばよかったが、ヒットになったことで気分よく次の打席を迎えられる」。結果的に中野は5回にも中前打を放ち先制点をアシストするなど、この日は5打数4安打1得点と躍動した。

 さらに打撃でも先制点を奪われた直後の5回。無死一塁から森に送りバントのサインもファウル、見逃しと簡単に追い込まれ、最後は空振り三振。3球三振で反撃ムードの流れを断ち切るプレーとなった。「一つのミスで流れは変わる。取れるアウト、確実に送る。本来、普通にできるプレーができなかった」と新井氏。

 先発の今永も5回7安打2失点と試合を作ったが、これでCSは7戦未勝利。150キロの直球で攻めの投球を見せるも、コンパクトに打ち返される場面も目立った。

「普段通りの心理状態でマウンドに上がれなかったかもしれない。気になったのはマウンドでの喜怒哀楽。際どい判定に少し表情を崩す場面もあった。これまで左対左で三振を取れていたボールが打たれるなど、シーズン終盤に不調だった青柳とは対照的な投球だった」

 9日の第2戦で敗れればCS敗退が決まる。三浦監督は試合後に「なんとしても切り替えてやります」と、仕切り直しを強調。DeNAは阪神の“下克上”を阻止することができるのか。まずは1勝1敗のタイに持ち込み、第3戦に持ち込みたい。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)