47年前の8月31日、今はなき中国地方のローカル線「三江線」が全通しました。

川沿いに曲がりくねるローカル線


2018年に廃止された三江線(画像:写真AC)。

 今から47年前の1975(昭和50)年8月31日。島根県の江津駅と広島県の三次駅をむすぶ全長108.1kmの国鉄ローカル線、三江線が全通を迎えました。

 三江線は江の川に並行し、中国地方の谷間を大きく迂回しながら抜けていく路線です。1930(昭和5)年に江津駅から隣町・桜江町の川戸駅までが開通したのを皮切りに、「三江北線」「三江南線」として両側から徐々に線路を伸ばしていきました。

 もともと人口の少ない地域を抜けていくルートであり、あくまで山陰と山陽をむすぶ性質の強い路線でした。しかし交通手段として鉄道が先行していた時代ではなくなっていき、経営が悪化した国鉄の廃止予定リストに、全通前からすでにその名があるほど。それでも建設は続けられ、最後の区間である県境越えの浜原〜口羽間がついに開業、ようやく全通に至ったのです。

 1978年10月時点のダイヤでは、三次発江津行きの通し列車が1日4本。逆の江津発三次行きは、乗り換え便も含めて3本しかなく、優等列車も走らない閑散路線の状態でした。

 1991(平成3)年には浜田自動車道が全通。高速バス「いさりび号」が浜田駅と広島駅をむすぶと、いよいよ三江線の命運は風前の灯となりました。2016年に全線廃止が決定、2018年3月末をもって歴史に幕を閉じました。全通まで45年かかった鉄道路線は、43年しか続かなかったのです。

 廃線跡のうち、口羽駅から県境の鉄橋を越える部分は、NPO法人「江の川鐵道」によって観光トロッコに生まれ変わっています。また「天空の駅」として親しまれた宇都井駅も、公園として保存されています。